晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

8月29日の木星

2021年08月30日 | 木星
 う~ん、見えませんね~、すでに時報が20時04分を告げています。

 今日はX-37Bが西の空を駆け上がって高度60°で地球の影に入る注目コースだったのですが、
どーもフラれてしまったようで…結局逢うことができませんでした。

 まー、X-37Bあるあるなので慣れっこでなんとも思いませんがせっかく機材をセットして何も撮影しないのはもったいないので拡大撮影システムで木星を撮影してみました。と言っても赤道儀のついていないドブソニアンなので木星が視野を通り過ぎる時間での撮影となります。撮影時間は18秒ほど… どんなもんかとレジスタックスをかけてみると… え! おどろきです! ビックリするほど模様が写っています!




 撮影時間は18秒ほどですが、F値が明るいのでShutter 8.981msで2043フレーム撮れてました~。
恐るべしザ・ドブソニアン! 口径30cmの威力をみごとに見せつけられました。IR Pass Filter(685nm)を装着しているのでガリレオ衛星も大気分散すること無くシャープに撮れています。(接近しているのがエウロパとガニメデで反対側がイオです。)


 こちらはいつも使っている惑星カメラASI290MCで撮影した画像です。ASI290MCは視野が狭いので木星通過時間はわずか10秒です。Shutter 12.83msで取得フレーム数は268コマでした。コマ数の割には良く撮れていました。



 今夜は日没後に薄雲が広がる予報でしたが空を見上げると雲ひとつ無い快星となっています。こ~れは撮らなきゃもったいないオバケが出るレベルですね。木星撮影班緊急出動要請発令です!

 で、ここからはいつものμ-210での撮影です。いつものルーティーンでは土星撮影→木星撮影ですが、今宵は脳内が木星モードになっているので即、木星にロックオンです。


本日のファーストショット(Diameter=48.90" Magnitude=-2.86 撮影時高度31°)

2021.8.29 21h21m57s CMI=220.1° CMII=315.5° CMIII=141.4°
Duration=60s Shutter=12.83ms Gain=340 (56%) Autostakkert3 50% of 4672

  21時過ぎから始めた木星撮影会は22時30分過ぎに分厚い雲が突然やってきて終了となりました。事前にチェックした気流情報では250hPaが風速25m/s、500hPaが風速21m/sで特段良いというわけではありませんでしたが、雲が襲来する直前に一瞬気流が穏やかになったようです。今回撮影した全画像のGIFアニメでも最後の5~6コマの解像度が突然良くなっているのが分かります。



本日のベストショット!
2021.8.29 12h58m35s(UT) CMI=242.5° CMII=337.6° CMIII=163.6°

µ-210+powermate2×+Imaging Flip Mirror +ADC+ UV/IRcut + ZWO ASI290MC
120sec Shutter=12.83ms Gain=340 (56%) Autostakkert3 50% of 9338frames


上記写真は単独1枚画像ですが今回も複数画像を使ってDe-rotation処理してみました。

中央時刻 12h39m36s(UT)

↑ De-rotation(6枚合成)



中央時刻 12h41m06s(UT)

↑ De-rotation(7枚合成)



中央時刻 12h56m48s(UT)

↑ De-rotation(5枚合成)



中央時刻 13h05m18s(UT)

↑ De-rotation(4枚合成)



中央時刻 13h27m48s(UT) ↓ 今回のベストフォトかな?

↑ De-rotation(2枚合成)

今回は惑星カメラ撮影中に30cmドブで眼視観望もしました~
 Powermate2×と5mmアイピースを装着して600倍で覗いたのですがこれが驚くほどよく見えました。
土星はカッシーニの空隙がぐるりと一周くっきり見えて本体の縞模様もはっきり見えました。

 赤道帯(EZ)の明るいクリーム色と北赤道縞(NEB)から北極までがモスグリーン色に見えて
北極部分の六角形模様のところが濃い緑色に見えてその存在を確認することが出来ました。

 背景にはたくさんの星々も見えて深淵の宇宙に浮かんでいるリアルな土星を感じることができました。いや~こんなによく見えたのは初めてかもしれません。雲が来襲する直前だったので気流が特に良かったのかもしれません。超ラッキーです。

 木星は雲がやってきたので短時間しか見ることが出来ませんでしたが、正面に見える大赤斑を取り巻くもじゃもじゃの南赤道縞がよく見えました。気流が落ち着いて一瞬カチッと静止して見えた時の木星は画像処理で浮かび上がったデジタル画像の木星と違ってこの瞬間のREAL LIVEの木星の模様で…しかも意外にも模様がシャープに見えたので感動すら覚えました。

 今日はX-37B撮影のために望遠鏡を出したわけですが、X-37Bが見えなかったおかげで今まで見たことのない素晴らしい木星と土星に出逢うことができました。まさに「捨てる神あれば拾う神あり」ですね。