晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

YUKON NRB 30x50

2010年07月20日 | 観測グッズ
ロシアの光学装置に興味があってネットを見ていたら
!?ニュートン反射鏡双眼鏡なるものが通販で売られていた。

反射式?双眼鏡?30倍?…、はて、どんな仕組みなのだろう?
値段はとてもリーズナブルである。ふむ、多分おもちゃでしょう。
と思ったが好奇心には勝てず、結局注文してしまった。

で、先日届きました。

外箱にはキリル文字が…、ふむ、ベラルーシ製と書いてあります。

開けるとこんな感じ、接眼キャップがついています。

いい感じのソフトケースもついています。中にはL字型の三脚
マウントユニットと小さなレンズ拭きが入っていました。

ネックストラップにはラバークッションがついています。いいですね~。
重いカメラなどを首から提げるときにはこのラバークッションがあると
疲労度が全然違います。このような便利グッズはありがたいですね。

しか~し、この双眼鏡…、ラバークッションストラップを全く必要としません!
見た目からは想像できないほど、軽く感じます。(中は空っぽ?)

レンズは使っているのでしょうか?プリズムは?

対物レンズ側をのぞくと紫色のフルマルチコーティングされた
薄いレンズ?のような物があります。さらにその奥を覗くと…、

ありました!凹面鏡が見えます!なんと言うことでしょう。

まったくもって奇異です。双眼鏡の奥に鏡があります。
ふ~む、ということは副鏡があるはずです。でないと鏡像に
なってしまいますよね~。う~む、軸を外したところに副鏡が
あるようですがよく見えません。ふむ、ということは、この双眼鏡
の光学様式を正確に言うと、ハーシェル・ニュートン式双眼鏡と言える
かもしれません。

あ、もし副鏡が凸鏡だったらブラキ式となりますが、それはないでしょう。

では次は、気になる使用レポートです。
届いた日は曇っていたので、2階から仙台の夜景を見てみました。
「うわ!、なんだこれ!?光軸がずれてるのか?」
どうもこの双眼鏡、目幅をきちっと合わせる必要があるようです。
「うひょ~、さすが30倍です。手持ちでは世の中すべてが震度5弱です。」
ピントはジャスピン位置を探すのが容易ではありません。
左右の視度もかなりシビアに合わせる必要があるように感じます。

しか~し、この双眼鏡…、潜在能力はかなり高い物を持っているかも
しれません。最初は、この双眼鏡は使えないないぁ~、と思ったのだが
翌日、月を見たところびっくり!とてもよく見えます。視野は1度48分
なので、月がいい具合に大きく見えます。クレーターも思いのほかよく
見えます。さらに双眼で見ているので、とても見やすく細かいところまで
よく分かります。月はすぐ雲に隠れてしまったのでそれ以上は見られません
でしたが、今後、さらにテストを重ねていきましょう。

YUKON NRB 30x50
Newtonian Reflector Binocular

対物レンズ径 50mm
倍率 30x
アイレリーフ 12mm
瞳径 1.7mm
実視界 1°48'
1000m先視界 32m
最短焦点距離 25m
視度調整 ± 5
大きさ 195 x 202 x 80mm
重さ 1.1kg
防水 生活防水

ウエッジプリズムのテスト

2009年08月30日 | 観測グッズ
8月23日の続き…

今回購入したウエッジプリズムは田中光化学工業株式会社で
販売している「ハイグレード惑星用ウェッジプリズム」です。


【仕様】
フィルタネジ径 1.25"アイピース用
有効径 22mm(レンズ外径25.4mm)
ウェッジ角度 1度及び2度
面精度 1/4λ(光学研磨)
ガラス基板 BK-7
反射防止 可視域マルチコート透過率(平均98.5%)
内部透過率 波長310nmで50%以上、340nmで90%以上

【用途】
 惑星撮影など高倍率で天体を観察・撮影する際に見られる大気分散による色ずれを補正するためのウェッジプリズムです。 ウェッジ角度は1度と2度の 2種類1セットになっており、望遠鏡の焦点距離やウェッジプリズムの位置に応じて使い分けます。 ウェッジプリズムの最適位置を計算するためのソフトウェアが付属します。
(以上、田中光化学工業株式会社のHPより、)

取り付け最適位置を計算するソフトも付属していますが
アメリカンサイズのフィルタねじが付いているので、
拡大用アイピースに取り付けて撮影して見ました。


~調整中…

う~ん、よく分かりません…、2°のプリズムを付けて見たら、
逆に青にじみが大きくなってしまったので、1°のプリズムに
変更するも、どのような位置に回しても青にじみが消えません。

とりあえず撮影してレジスタックスしてみましょう。

2009.8.23 21:54 SE200N HC Or12mm ToUcam 15fps 60sec

ふ~む、右上に色ずれが認められます。どの角度に回しても
色ずれが消えないということは、フィルターの位置を変える
必要があるということです。

そこで、付属のソフトを使ってみました。
マニュアルには次のように書いてあります。

ハイグレード惑星用ウェッジプリズム PW-12-MC
【概要】
ハイグレード惑星用ウェッジプリズムは、惑星観察時に見られる大気分散による色ずれを補正するために使います。 大気分散と逆方向にウェッジプリズムの分散を働かせ色ずれを補正します。
【使い方】
ウェッジプリズムは1.25"用アイピースに取り付けられるようになっています。 1.25”アイピース以外にのイーズピースなどにも付けることができますのでCCD カメラと併用することができます。 望遠鏡の焦点距離または合成焦点距離(バローレンズやアイピースによって引き伸ばしたときの焦点距離)と結像位置からウェッジプリズムまでの距離で分散量が変わってきます。 ソフトウェアを使って最適な位置を求めてください。

な~るほど、これは結像位置からプリズムまでの最適な距離を求めるソフトだったのです。で、さっそく数値を入力してみました。

ふむふむ、これを見ると結像位置から49mmの位置が適切のようです。

幸い、ToUcamのアダプターには内ねじが切ってあります。
ここにウエッジプリズムを入れてみましょう。

うまく入りました。ウエッジプリズムの角度は2°です。

気になるCCDからプリズムまでの位置を計測してみると…

おお~、なんということでしょう。ほぼ適正位置です!

天体高度や正確な合成焦点距離・惑星視直径によって最適位置は
前後すると思いますが、ウエッジプリズムの効果は期待できます。
早速このシステムで撮影テストをしてみましょう。
しか~し、天気が良くありません。今夜から台風の影響で大雨です。
週間天気予報を見ると台風一過の好天気もないようです。
でも落胆することはありません。今年は天気予報が全く当たりません。
雲間から好気流の木星が見えるかもしれません。期待しましょう!

おっと、そうそう、田中光化学工業株式会社が2009年3月27日より発売を
開始した「ハイグレード惑星用ウェッジプリズム」はHPによると(8月30日現在)
限定 20セット(残り5セット:追加生産予定なし)だそうです。
お値段は 1セット ¥22,050-です。購入を予定している方はお早めの方が
良いかと思います。