駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

謎を知り過ぎると

2020年05月21日 | 小考

           

 

 今朝は曇っていて妙に涼しい、一体何月と首を傾げながら出勤してきた。

 還暦を越えて十数年、長く生きてきたことになるが、世界や人生のことがよく分かったかというと僅かなもので、ちっともと答えたくなる。

 取り敢えず身近な謎はなぜ新型コロナ対策が後手後手でちぐはぐだった日本で爆発的な感染が防げ、死亡者数が欧米の二十分の一以下に抑えられたのだろうかということ、新型コロナで景気が落ち込み倒産する飲食店や会社が出てきているのに、なぜ株価が上昇しているのだろうかということ、なぜ二十一世紀にトランプのような人物が世界最強国の大統領の椅子に座っているのかということ。

 どうもよくわからない。人間は理由や説明を求めすぎるのかも知れない。昔は祟りや恵みという事で納得していたのだろうが、この百五十年ばかり神様の代わりに科学という知恵が出回り、それで理解しようとする風潮が主流になっている。しかしながらそれは殆どの人間の手に余り、まだまだ猿知恵に留まっているということだろうか?。尤も、知り過ぎるとケ・セラ・セラの歌が聞こえてきそうだ。

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ちゃんと食べています

2020年05月20日 | 世の中

               

  

 蚤の夫婦がどんなカップルか知らないが、夫婦で通う患者さんを診ていると、余計な一言を言いたくなることがある。勿論、実際には何も言わないが、片方が太っておられるのに片方がすごく痩せているご夫婦が結構おられる。五十過ぎが殆どで、結婚された当初はどうだったのか知る由もないが、同じものを食べているはずなのにと不思議な気がする。一緒に受診された時などは痩せておられる方が、ちゃんと食べていますと弁解されることもある。二人とも太っておられるご夫婦は珍しくないが、二人とも鶴のように痩せているご夫婦は少ない。一方は太っておられなくても中肉のことが殆どだ。多分、痩せておられる人は痩せてる人を配偶者に選ばないのではないかと思う。

 蓼食う虫も好き好き、ご夫婦のことをあれこれ言うのはよい趣味とは言えないが、ああなるほどと据わりの良い相方を紹介されると心落ち着くのは確かだ。配偶者を見て本人の評価が上がることも多い。

 体格や体型と性格に関係があるのは昔から知られており、必ずそうだとは言えないが、人間理解の参考になる。微妙な発言で誤解されると困るが、小太りの効用というものがあると思っている。所謂ギスギスした人は少なくおしゃべりで楽しいタイプが多く、世話好きで組織や友人の輪が円滑になる。尤も時には悪口や皮肉が多い人も居るのでそう簡単ではないのが世の中の難しいところかもしれない。

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また混んできた、これからが

2020年05月19日 | 小考

          

 

 新型コロナの警戒宣言が解かれ直ぐに、まだ何とか座れるが、電車が混んできた。それでも皆マスクをして口数は少なく元通りにはほど遠い。

 新たな感染者数の移行を見ると八割の外出制限が守れたように見える。あるいは六割七割でも実際には効果があったのかも知れない。問題はこれからで、人出が七割戻った時点で第二波が上手く押さえられるかどうか、きめ細かな観察指導が必要だ。新規感染者数だけでなく検査数と陽性率も報告して欲しい。為政者だけが知っていれば良いというのは大間違い、医療者だけが知っていれば良いというのも間違い、国民全てが共有すべき情報なのだ。

 変わる世界で生き延びてゆかねばならない三密職種の人達に、出来るだけ多い情報を知らせ知恵を絞って貰わないと経済の落ち込みの犠牲者が増えてしまう。あの強気の孫さんも損が莫大で、これからは慎重にとトーンダウンしている。

 丁度よい機会と制度を変えるのはよいが、新学期を九月にするのはもう少し慎重に議論をと思う。桜の下で入学した者の感傷かもしれないが、国民的な議論が必要だろう。

 外交は見直すよい機会と申し上げたい。米国との友好関係は継続しなければならないが、米国一辺倒は見直して欲しい。トランプが押しだす新型コロナ薬やワクチンは眉に唾を付けて評価した方が良い。トランプは新型コロナを選挙戦略に使っているからだ。飛びつく安倍さんはどうかしているのではないか。素人が見ても要注意人物なのにプロの外務省はどう考えているのだろう?。政策はなんでもオバマの反対、外交は商取引、うまく行けば自分の手柄、失敗すれば他人や他国を責めて責任転嫁と扱いにくいけれどもわかりやすい相手なので、対トランプは新型コロナを理由に方向転換したらどうか。

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立場で変わる感覚

2020年05月18日 | 人生

               

 

 医師というのは比較的独立性の高い仕事のように思うが、多くの仕事と同じで一人では殆ど何も出来ない。無理に一人でやれば効率も落ちるし診療の質も落ちる。大小の違いはあっても九分九厘、組織で働いている。自由そうに見える開業医も数人から十数人のスタッフと働いている。開業医は医師一人が多いので、院長業も兼ねることが多い。

 私は経営的なことは苦手で家内と会計事務所に経理は任せていたが、人事、給与、働き方、診療方針などを考えねばならず院長という立場を忘れることはなかった。そのためスタッフとは親しく話をしても、同じ立ち位置になることはなかったように思う。それが院長を辞し勤務医になってから、壁が殆どなくなりごく普通に世間話をするようになった。振り返って、今更ながら院長業の大変さを感じ(自分が向いていなかっただけかも知れないが)、患者さんを診るだけの仕事は楽だと感じている。

 何だか看護婦や事務と距離が近くなったようで、若い刺激を受けて緊張が緩んで進む老化を防げそうな気もする。

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内田先生の見方

2020年05月17日 | 小考

               

 

 内田樹氏が「どうしてこんなに国民的反対があるのに政権は検察庁法改正を強行するのでしょう?と言う問いに「国民が喜ぶ政策を、ていねいに議論して、すみやかに実施すると、国民はそのような『よい』統治者に対しては畏怖の念を抱かないようになります」と心理的側面を指摘、逆に国民が反対する政策を、議論もせずに、怒号のうちに強行採決するようなことを繰り返しているとそのうちに国民も役人も与党の議員たちも『こんなに理不尽なことができる政治家には、何かわれわれの想像もつかないすごい力があるに違いない』と推論するようになります」と壮大な勘違いが生まれ、さらに「彼らのうちの相当数は『なんであれ力のあるものに従うのが生存戦略上最も合理的である』と信じているので、国民が嫌がることをすればするほど国民の中に熱狂的な支持者が生まれるという倒錯が起きる」と指摘している。

 其処まで読んで強行しているだろうかと疑問もあるが、役人や与党の議員達に恐れられているのは確かで、信頼ではなく恐怖と強権で一部の熱狂的な支持を獲得しているのは確かと思う。恐怖に打ち勝つこと寄らば大樹の気持ちを見直すことは難しいけれども、これでいいのだとは思えない。

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