駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

シエラザードが教えてくれること

2019年08月17日 | 世界

        

 

 今日はようやく台風一過の晴天を仰ぎ見ることができた。またしばらく暑い日が続くのだろうか。10号の被害はさほどでなかったようで、雨が助かったと言われる農家の人も多かった。

 アラビアンナイト、千夜一夜、の成立のいきさつをご存じだろうか。女性不信に陥ったペルシャの王の夜伽を志願した女性シエラザードは夜ごと物語を語り、続きはまた明日の夜と王の心を捉え、ついに千夜を生き王の子を宿し正妻となった。そうして紡がれたお話が千夜一夜と伝えられる。この話の鍵は何処にあると思われるだろうか。シエラザードの知恵を称賛されるだろうか、賢い妻が一番と思われるだろうか。

 私はシエラザードが教える一番肝心なことは人間は物語に捕らわれるということだと思う。思うというのは不正確でそう考えるようになった。人間は物語に動かされて組織され幾多の危機を乗り越えて一万年の歴史を生き延びてきたのだ。これが私がサピエンス全史を読んでハラリから学び取った人類理解の鍵だ。そう考えると猛威を振うフェイクニュースの謎が解けてくる。楽しむ手品の種は知らなくてもよいが、人間社会の先行きを左右するフェイクニュースの仕掛けには気付いた方がより良い選択が出来るだろう。

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする