駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

料理人の才能も色々

2019年08月05日 | 世の中

        

 

 今朝は夏休みの夏空が見られたが風は涼しく一日早い立秋を告げていた。子供の頃はなんで真夏に立秋と奇妙に思っていたが年を取ると成程かすかな気配をとらえて絶妙と感じるようになった。

 世の中には微かな信号をとらえる醍醐味というものがある。五キロ先で落ちた百円玉の音や五百キロ先のライターの光を捉える耳と目を持った男がどこかの薄暗い隠れ家に座っているだろう。

 料理人の才能にも色々ある。勿論、医師の才能も色々で優れた観察眼恐るべき手先の器用さ該博な知識素晴らしい忍耐力・・、運よく向いた分野に就ければ優れた実績を挙げられるだろう、残念ながら宝の持ち腐れの人も数多い気がする。

 旨い料理をつくる能力にも、様々なものがあるだろう。料理人は客が来なければ俺は二つ星で働いていたと踏ん反り返っていても空威張りで終わるし、雑誌に載せてもらって一見さん大歓迎で一時流行っても半年もすれば閑古鳥が鳴くこともある。それと料理店は料理だけではなく接遇相性があるから、味だけでは繁盛とまではゆかないこともある。唯、味が優れていれば潰れることはないようだ。

 時々行くイタリアンのMと和食のYは勿論味はよく感じも良いのだが、もう一つ注文してからに二十分以上待たせないのが凄い。大体十五分で出てくる。その前にお通りやサラダが出てくるので、アルコールを飲まない私でも手持無沙汰ということがない。どちらも十四、五席ほどで料理人はたった一人だ。Mはフロアが一人なので、たった二人で切り盛りしている。Yは大将と女将の他に補佐がそれぞれ一人づつ居るが主菜はすべて主人が自ら作っている。この二人は準備段取りがよく一度にいくつかの仕事ができる様子だ。いつも手を動かしているが入店時と退店時の挨拶は欠かさず感じが良い。両店共とても繁盛しており、予約を入れないと席がないことが多い。特にMは廉価なので、開店四年になるが、この頃は予約が取りにくくなってしまった。開店時からの贔屓客なので笑顔で迎えてくれるが、やや足が遠のいたのは残念だ。

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