駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

古本市場 一暼

2019年08月11日 | 

       

 

 古本は殆ど買わない、というのも周りに古本屋が一軒しかないので、買う機会が少ないのだ。尤も、amazonでは時々古本を購入する。送料があるのでさほど割安ではないが、手に入りにくい本や読めれば良いと思った時は選択している。売る方も殆ど経験がないのだが、先日捨てるのが大変というか勿体ないので取りに来て貰い、四百冊ばかり持って行って貰った。只でも良いと言ったせいか、二千円だった。高いのか安いのか、安いような気もするが手間も掛かるし、どれだけ売れるかも分からないので、まあこんなものかと思った。本棚が随分すっきりしたのだが、何かが失われた気はする。例え二度と手に取らないと思う本も眺めることはなくなるわけで、脳というか記憶の一部が無くなった感じがする。思い出せないものは無かったと同じかも知れないが、思い出す縁を失ったのは確かで、脳内がちょっと涼しくなった。

 古本屋が言うには、将棋よりも碁の本の方が売れるという。亡くなった作家の本は売れなくなるのだが、開高健は例外ですねと言う。こうしたことは古本屋でないと分からない情報で、成る程エーそんなものかと聞いた。開高健の本と言っても開高健の本ではなく開高健のことを書いた本だったんだが、それを分かって持って行ったのかな?。

 本棚には眺める楽しみもあり、内容を殆ど忘れても読んだことは憶えている懐かしい本や、いつかと思って遂に手に取らないだろう本も眺めるのは山頂からの景色のようなもので、心和むものだ。電子本ではこうした楽しみはない気がする。丸善が潰れたら、日本の否人類の明日はない気がするのだが。

コメント
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