-
今月号のサライに藤沢周平が載っていた。作品は殆ど読んでいないが、顔写真を見たことはあり、その人となりは仄聞している。尊敬するS先生が昼休みに読んでおられたのを思い出す。
自慢しない 見栄を張らない 謙虚に感謝の気持ちを忘れず慎ましく生きるのを信条として居られたようだ。。自分もそうした心境に憧れるが、黙っていられない性分は度し難く、中々慎ましくとはゆかない。
尤も、川本三郎さんが過不足なく解説しておられるように、心の中には修羅があった。昭和の始め庄内鶴岡の農家の次男に生まれ、成人してから病や身内の不幸を体験し、実直カタムチョな性格の内に某かの鬱屈葛藤があったと思われる。
庄内は意外と言うかやはりと言うか、多彩な得がたい人物を数多く世に送り出している。いつか訪れてみたい土地の一つだ。先年亡くなったが、患者さんに鶴岡出身のお婆さんが居た。よく故郷から送られた農産物などのお裾分けを戴いた。何処かカタムチョなところがあり、四十年住まわれた当地に十分に馴染めないところがあったようで、よく電話で鶴岡の姉と話をすると言っていた。たいしたことは出来なかったが、あれこれ話を聞いてあげることは出来た気がする。