駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

家族もいろいろで難しい

2016年08月24日 | 診療

       

 Kさんは七年前から通院されている九月には94歳になる大人しいお爺さんだ。最初足が浮腫むと受診された。血圧が200もあり、心陰影が拡大し、BNPは1400くらいあった。総合病院受診を嫌がったので、高血圧性心不全と考え、降圧剤と利尿薬を投与したところ、血圧は下がり浮腫も消失した。以来時々浮腫が出ることはあったが、薬の量を調節してなんとか自力で通院できていた。腎機能低下による貧血にもエリスロポエチン製剤投与対応でき、自分としては非常に上手く治療ができていたと思っていた。

 塩分を控えさせなければならないので、食事のことを聞くと自分で作っていると言われるので、一人暮らしかなと思ったら、そうではなく息子が居る様子だった。本当はもう少しきちんと家庭の状況を聞いておくべきだったのだが、話そうとされないのでついそのままにしていた。半年ほど前から少しづつ痩せて歩行がおぼつかなくなり、打つ手がなくなり困ったなと思っていたら息子が付いてくるようになった。付いてくるといっても、まるで、手のかかる犬を散歩させているようで、父親に対する態度とは思えない。Kさんの倍くらい体重のある何だか偉そうな私と同年配の男で、診察している脇で腕組みをして「ちょっと筋肉が付いて元気になる注射はないのかね」とロシア政府のような難しい注文をする。この年でこの状態ではとても、なんとか食事が進むようにできれば一番いいんですと、と話をしたのだが、ふん、そうかと言う顔で帰って行った。

 年内どうかという状況をどう説明してゆけば良いか、一緒に住んでいる?のに、今まで大した世話をしていたとは見えない。嫁さんも居ない様子だ。介護保険を申請させたいのだが、どうしたものか。病気だけを診ていればそれで良いとはゆかないので、頭が痛い。

コメント
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