今朝は曇っている。暑くもなく涼しくもなく静かで変哲のない朝だ。誰も居ないのをいいことにカラスが道ばたでゴミ袋をつついていた。私の足音に面倒くさげにちょっとだけ離れ、行き過ぎるのを待っていた。雀は居なくなったが(狡)賢い雑食のカラスは市街地を生き延びている。
山国日本は道路番号二桁三桁の路を、いくつか例外はあっても小一時間山側に走れば谷間に出る。豪雨の後でなければ、谷川が濁っていることはなく、今の季節山は黄緑から深緑の微妙な美しいグラデイションを見せている。五十年前に比べれば道路、特にトンネルが驚くほど整備され、埃が舞い上がる砂利道はなくなった。おまけに四半世紀前から道の駅というものができ、高速道路のサービスエリア顔負けの休息施設があちこちに出来ている。中にはえっこんな鄙びたところにと周りに似つかわしくないような美術館レストラン併設の施設もある。
昨日立ち寄った山に囲まれた山梨県富士川沿いの道の駅にはフレンチレストランが出来、・・のコンフィなどがメニューにあり、制服を脱げば農家のおばさんと思しきウエイトレスがコンフィというのはと聞かないのに料理法を説明してくれた。家族連れが多いせいか子供の遊戯施設も整っており、ちびっ子が駆け回っていた。
緑の山々を見渡しながら、千五百円で市街地なら二千円は下らないフレンチを戴いた。行き届いたサービスや小綺麗なウエイトレスは望めなかったが、十分満足できた。主に中部地方しか知らないが、全国津々浦々にこうした道の駅が出来ている。誰の発案か知らないが、温故知新のように思う、目立たぬヒット政策だと思う。
高速道路のサービスエリアマニアは聞いたことがないが、道の駅マニアは数多く、全国津々浦々の道の駅を踏破しようと走り回っているおじさん達が出現している。たぶん女性はいないだろう。