満天の星を飽かず眺めて、太陽系を見出すことが出来るだろうか。恒星と惑星を見分けることは出来そうだが、その動きの違いを合理的に説明する理論を見出すのは凡夫にはできそうにない。ティコプラーエとケプラーは凄いなあと思う。
平成の人は夜空を見上げることが減ったような気がする。残念ながら都会では天の川を認識するのが難しくなっている。六十年前は岐阜の市街地でも天の川を見ることが出来た。シリウス、ベガ、アルタイルなどいくつか一等星を憶えた。今でも人里離れた山奥に行けば、満天の星に感動することが出来る。地球が宇宙に浮かぶ小さい惑星であるのを実感できる。それは多分、太陽系や銀河系といった知識を持っているせいだろう。
電灯のない昔の夜は暗く、星降る夜が数多くあったはずだ。万葉の人達は月や星をどのような存在と理解していたのだろうか。三笠の山に出でし月かもと詠んだ阿倍仲麻呂の気持ちは痛いほど分かる。仲麻呂は同じ月であるのを知っていたわけだ。
都会の子供に田舎体験をさせるような学習が行われているらしい。勿論、それに何某かの効果や意味があると思うが、満天の星空を見上げさせるのを忘れないで欲しい。星空に見えるのは星だけではない。