駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

連休に台風で仕事

2013年09月16日 | 医療

                     

 午前九時だというのに暗い。台風十八号がお得意の大雨を降らせながら日本列島を縦断しているのだ。風はさほどではなく、雨台風のようだ。お陰で折角の連休も台無しで、昨日は出先から予定を変更して泊まらず帰宅し、今日は出かけられても極く近場になりそうだ。未だ被害の情報は不明だが、これだけ事前に警戒情報が流れれば、かなりの被害が防げていると思う。

 自宅に帰ってから仕事をするというのは大嫌いなパターンだが、今日は障害程度区分認定判定会議の資料を読むことにした。大分慣れたし大雑把にやるので一時間半くらいで終わるが、正直とても苦痛だ。役所の文書というのは、曖昧さを避けるためだと思うが回りくどく、素人にはわかりにくく、結果として曖昧だ。介護保険の認定審査も十数年やっているのだが、こちらの方は役所的文が少なく、実体験があるので審査が楽だ。酔狂で両方やっているわけではなく、逃げ回る医者が多く係の人が困っていたので、義を見てせざるは丹なきなりと引き受けたのだ。

 よくあるパターンで医者が医者の悪口を言えば、武見太郎が喝破した欲張り村の村長が減ったといっても、利がないと腰が重い開業医がまだまだ多く残っている。審査会委員には依頼を受けて成る、つまり断ることができるのだが、主治医意見書は患者を診ている限り誰もが書かなければならない。これに記載不十分期日遅延がまかり通っている。役所も困り果てて、あれこれと注意を促すのだが、全体への通知のためか、効果不十分のようだ。期日の一週間前までにきちんと書いて返信している私にまでご注意の触れが回ってくる。おいおい、遅れの常習犯記載不十分の常習犯にイエローカードを個別に出してくれと言いたくなる。しかし、これは角が立つらしくできないようだ。人間というのは自分に非があっても、注意されると反発逆上する習性があり、代わりの居ない医者には強く出にくいのだろうと思う。尤も、あと十五年もすると医者は余るというから、医者が役所にお仕事を下さいと頭を下げる時代が来るかもしれない。

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