駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

懐かしい言葉

2013年09月10日 | 世の中

            

 今月号のサライインタビューに長良川の鵜匠の山下純司さんが出ていた。山下さんの語り口がほぼ正確に活字になっている。私は岐阜市の出身なので山下さんの岐阜弁が脳の襞に浸みこむようにわかる。山下さんは私より七歳年上だから、同じ岐阜弁で育っている。関西や東北ほど知れ渡ってはいないが、岐阜にも独特の言葉遣いがあり、故郷を離れた者には溜まらなく懐かしい。

 「人間もできるだけ小さい家に住まなあかん。諦めもあるかも知れんが、ずっと相手を見とると、ええところが見えてくるんだわ」・・・、他の土地の人にこのニュアンスが分かるだろうか。

 言葉の働きは不思議だ。意味以上のものを伝える力がある。特に、方言(それで育った言葉)には意味を超えた伝達がある。言葉と意味などと言い出すと、とても私の手に負えない複雑で奥深い研究があるのだが、単純素朴に言葉が運び伝えるものには意味を超えたものがあると感ずる。

 英語を日常生活に困らない程度には話すことが出来るのだが、正にその程度だと宣告されたことがある。四十年近い昔のことだが、アメリカで裕福な息子の母親がナーシングホームに入ると聞いたので、えっと驚いた顔をしたら 「アイ テイク  イット フォー グランテド」と答えられた。「なるほど」。と口走ったら「日本人のあんたにこの意味はわからないわ」。とぴしゃりと言われてしまった。

 東洋から来た若造に仕方がない?など受け取られてはプライドが許さないという側面もあったように思う。本当のニュアンスはWASPに生まれなければ分からないのかもしれない。

 

コメント
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