駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

破れる静寂

2013年09月13日 | 町医者診言

               

 劇的な自民党の勝利に終わった参院選後に不思議な静寂が続いた。静けさの中で放射能は漏れ続け、現実にはTPP交渉、中韓との緊張関係、消費税率アップなどといった内外の大問題を抱えていたのだが、不思議な静けさがあった。そう感じたのは私だけだっただろうか。

 その背景にはケセラセラという多数の国民の諦観があったような気がする。ケセラセラであれば、静かに見守り自分に有利な方向を見定めて、そちらに付くのが得策ということになる。

 それに嵐の前は静かとしたものだ。

 しかしここにきて、静寂が破られつつある。自分に有利な方向が見つからないと気が付いた人達が出てきた。そして放射能が言葉では(オリンピックでは上手く行ったが)取り繕えない相手であることが判明してきた。中韓とは衣の下の鎧を見透かされて、とても友好平和の回復は難しいようだし、既定の消費税率アップが首相自らは聞きもしない識者からの意見聴取というパーフォーマンスの後に発表され、先行きの不安が明らかになる。TPP交渉では止むを得ないと切り捨てられる人達が出てくる。

 誇りを持てる美しい立派な国を作るという心地よく響く言葉の下で、実は考えの違うあるいは足手まといの人達を切り捨てるハンマーやシャベルが活躍するとすれば、それは立派でも美しくもない国と思う。

 政治家に必須の強運と弁舌に恵まれた安倍さんの正念場はあと三カ月の年明け以降だ。国民の一人である私も、否応なく嵐に巻き込まれることになるだろう。当然、国民の正念場でもある。

コメント
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