倍返しの半沢直樹とは何者、何だか凄い人気らしい。私がサッカーや碁将棋を見ている横で女房が小さい画面に食い入るように熱心に観ているので、ついに先日録画を観てみた。
銀行員の半沢が人を陥れようとする卑劣な悪党どもに屈せず、粘り強く抵抗し、最後には尻尾を掴まえて見返す顛末にカタルシスを感じ、人気の一端を理解した。
最初に浮かんだのは、現実にこんな事があるのだろうかという疑問だ。しかしまあ、疑いながらあるのだろうなとも思った。生きてきた医者の世界ではここまでの話は直接には知らないが、意地悪や鞘当ては経験がある。聞いたところでは教授や院長を決める時には、怪文書が出回り、ドロドロした争いも稀ならずあるらしい。
さて、そうした現実があったとしても、半沢のように頑張ることの出来る強い男は少ないだろう。半沢に肩入れしながら、半沢には成れず、表だっては半沢側には立てないのが、平均のサラリーマンかなと推測した。
半沢が人気を博すのなら、視聴者にもできることがあるだろうとも思った。半沢のように頑張るのは難しいかもしれないが、半沢から学ぶ事は多い。学んで欲しいと強く思う。四分の一半沢でいい、クオーター直樹であって欲しいと声を掛けたい子供達が居る。いじめを傍観しない。いじめられたら閉じこもらないでと肩を撫ぜてやりたい。
いじめを見たら、いじめられたら、助けを呼んでほしい。半沢半沢と唱えながら、校長室に駆け込め。校長はドアを開けて仕事をしていただきたい。「**くん、**さんどうした」。五百人程度の顔と名前が覚えられない校長は教育者と呼ばない。
大人、確かに大人の世界には校長は居ないかもしれない。しかしまあ、まだ本分を忘れないジャーナリストが少しは残っているだろう。