駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

半沢で思い出したこと

2013年09月09日 | 小験

            

 今は昔のことだが、後任の内科部長がOBのM先生と私を招いて秋の味覚を楽しむ会を企画してくれたことがある。内科医師の紹介を含め、ちゃんとやっていますこれからもよろしくという趣向だったのだろうと思う。

 五分前にはほぼ全員揃い、談笑していたのだが時間になっても女医さん二名が来ない。暫く待ちましょうと話をしていたのだが、五分過ぎから部長に苛立ちが見え始めた。七八分ほどして、しれっと二人がやってきて席に着いた。やおら立ちあがった部長が近づき二言三言強く叱責した。女医さんは謝る風でもなく、不愉快そうな顔をしていた。一人は卒後6,7年の中堅もう一人は卒後三年くらいの研修医だったと思う。女性は二人きりだったせいもあるだろう、たぶん待ち合わせてきたために遅れたのだろうと思う。医者は生きている患者さん相手だから、どうしても遅れることは時にある。立ちあがってお辞儀をして謝れば済んだことだ。

 乾杯をして席が始まった矢先、二人は突然立ち上がるとハンドバックを小脇にあっという間に帰ってしまった。どっ白けになってしまったが、そこは大人、何事もなかったのように宴は終わったのだが、折角の土瓶蒸しは、食べてもらえることもなく冷えてしまった。

 こうしたことが実際に銀行員の社会であり得ることかどうか知らないが、医者の世界も半沢的?と思い出した。数年後、部長も女医さん達もてんでに病院を辞めて行かれた。風の噂では若い方の女医さんは強気やり手で名を馳せておられるようである。

 楽しい思い出ではないが、医者の社会にも旋風は吹いているようだ。

 

コメント (2)
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