駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

安住の地は何処に

2013年09月05日 | 小験

                                          

 埼玉で竜巻があり多数の建物が壊れた。幸い人命は、災害情報から学んだ機転で失われることはなかったようで、不幸中の幸いであった。昨日は濃尾平野で集中豪雨があり、名古屋では道路が冠水し川のようになっていた。

 山地では山崩れ、平野では洪水竜巻、海岸線では津波と世に安住の地がないように感じられる昨今だ。以前は、海岸線の不動産で津波が真剣に考慮されることは少なかったと思うが、東日本大震災以降当地では海岸線の住宅地は売れなくなってしまった。

 誰しも枕を高くして休める我が家を望むのは当然なことだと思う。その一方で、海岸線から数十メートルの家に寝起きする患者さんの中には、津波が来たら竜宮城へ行くから好いよと、笑っている爺さんも居る。まあ八十年も生きるとそうした心境になれるのかもしれない。住み慣れた故郷を捨てて今更、転居などとは思われないようだ。

 住めば都とは良く言ったもので、人間の智慧を有り様を言い表しているような気がする。二人して故郷を離れ、巡り合った土地に住んでいる身は、住めば都と思い定めている。災害の少ない土地が望ましいと言っても、何から何までと思うのは人間の錯覚かもしれない。

コメント
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