駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

バウムクーヘンを味わう

2012年04月08日 | 診療

      

 イギリスは階級社会だとかインドにはカースト制度が根強く残ると言われる。その実態や内容は複雑で厚みある解説が必要なのだが、社会の中に交わらない階級が根深くあるという意味で使われることが多い。そして言外に今の日本にはそうした階級(制度)がほとんどないという意味合いが込められているようだ。

 差別のないことは歓迎すべきことだが、人間は全くの自由空間に漂うことが不安苦痛のようで、周りを区別し自分の立ち位置を確認しようとする。元来人間に差別はなくても区別はあるので、横の広がりと上下が分かると安心する。唯、上下には区別に多少差別の感覚が入ってくる。様々な基準が用いられるが日本では学歴と収入が二大基準になっている。これには多少の流動性があるので、階級社会という意識が乏しいのだろう。

 そうして、日本に階級社会意識は乏しくても?、明らかに階層はあり、ちょうどバウムクーヘンの様に薄く幾重にも重なって流れている。

 と、ここまでどこまで正確かは分からないが、社会の教科書?の様なことを書いたが、市井の医者はこうした様々の階層の人全てと親しくおつきあいをしているということを書きたかったのだ。勿論、当医院には大企業の社長や一流大学の教授などは受診されないので、全てというと言い過ぎかもしれない。で、そうして殆どの階層の人とおつきあいするということは得がたい経験であるが、辛いこともある。まあ、それが言いたかった。恵まれない層に問題があるように響いては困るが、多くの方が知らないどうしようもないどうすればよいかわからない世界が底には横たわっている。

 私の年代ではバウムクーヘンはユーハイムなのだが、しっとりあっさり、紅茶によく合う銘菓と思う。

コメント
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