「坂の上の雲」を見ないで終わってしまった。恐らく、貴重な作品を見損なったのだろうと思う。見なかったのに、司馬遼太郎は国民的作家?と呼ばれ広く読まれているようだが、ちゃんと理解されているのだろうかという僭越な感想が浮かぶ。
私は司馬遼太郎のよい読者ではないし、該博な歴史知識を持ち合わせているわけでもない。ただ、彼がこの国のかたちで述べている戦車兵士としての体験に基づいた述懐に深い共感を覚えている。私の理解や認識が不十分なのか、その視点は司馬さんの滑らかな明るい語り口と俯瞰的な説明描写のせいか、忘れられているように見える。
野田首相は司馬遼太郎の作品から多くを学んだと公言しておられるようだが、まさか本題の周りを彩る群像の物語性からではないでしょうな。司馬さんが書こうとして書かれなかったことから学んでおられるでしょうか。