駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

季節変動がもたらすもの

2010年10月27日 | 世の中
 爽やかな秋空の下を駅まで歩いたと書きたいところだが、今日は冬空の下を駅まで歩いた。厚い鉛色の雲が空を覆い、まるで冬の到来を告げているかのようだった。異常気象と言っても平成生まれの人にはこれが普通に感じられるのかも知れない。
 俳句界はどうするんだろうなと、季節感のぶれがもたらす思わぬ波及効果に考えが及んだ。大袈裟に言えば季語の再構成から俳句観にまで、通常気象になりつつある異常気象は影響するのではないか。
 冬の到来と共に流行するインフルエンザはというと、今のところ小児科で散発している程度で流行の兆しはない。こういう言い方をすると顰蹙を買うのだが、インフルエンザを手ぐすねを引いて待っている医療薬業関係者もおり、未だ出ていませんねと挨拶代わりに話す薬屋さんも多い。
 猛暑も勿論高齢者には大きなストレスなのだが、やはり寒さの方が恐い。肺炎というのは癌や動脈硬化性疾患の陰に隠れてきているが、今もとどめに登場することが多く油断ならない致死性疾患なのだ。健康な高齢者なら突然肺炎になることは少なく、やはり感冒、特に流感が引き金になる(今は流感はインフルエンザとして所謂風邪とは独立して扱われるようになった)。そして風邪は身体の冷えがきっかけで発症することが多く、寒さは猛暑以上の危険因子だ。人間は寒さに備える知恵を身に付けてきたのだが、たった一日で気温が5,6度ぶれる(ひどいときは10度以上)気候では、今までの智慧が追いつかなくなった。我が家でも十月になっても夏物を出したり引っ込めたりで、結局夏物がまだ用意してある。
コメント (2)
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