駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

校長室でお茶を飲む

2009年05月15日 | 身辺記
 半世紀前、私の年代では小中学校の先生は先生であったし、校長先生は偉い人だった。恩師といえばまず小中学校の先生を思い出す。
 一昨日、中一の健康診断を終えたあと校長室でお茶を頂いた。歴代校長の肖像画を背に、校長と看護教諭を前にして、生徒の健康状態や教育現場の現状について少しお話をした。校長室からは五月晴れの青空と校庭が見え、明るい日差しが入り込んでおり、遠い思い出の中学校そのままだった。
 まさか自分が校長室で校長先生と上座に腰掛け談笑することがあるとは想像していなかったので、毎年のことだが不思議な感慨を覚える。
 アトピー、肥満、不登校、未払い等が昔とは違う問題のようだ。診察時の服装も個人情報保護の風潮から、手間を取るようになったとのこと。学校側から変革を発信することは今の体制では不可能と聞く。昔は多少生活が苦しくても子供の給食費などは親がまなじりを決して納めたと思うが、今は義務教育だろと知らんぷりの親が結構居ると聞いて驚く。甘えの構造までは良いかも知れんが、甘ったれの構造ではいかんともしがたい。多少そんなようなニュアンスのことを申し上げたら、「先生にそう言って頂くと心強い」。などとお礼を言われてしまった。何だか変だ。
 人間形成に最も重要な影響を与える小中学校が筋違いの抗議を恐れ萎縮しているのでは将来が不安だ。鳩山さんが尊敬するというケネディの言葉、Ask notを思い出す。世の中では濃淡はあっても全てが繋がっている。自分に出来ることを診察室で続けることかなと思いながら、校舎を後にした。
コメント
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