駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

沸騰石とフールプルーフ

2009年05月01日 | 世の中
 突発を防ぐ沸騰石をご存じだろうか?もし化学の実験が好きだったら覚えておれれるだろう。
 サラエボの銃声で勃発した第一次世界大戦。果たしてセルビア青年の突発がなかったらどうだったか。いずれ戦争は避け得なかったとしても、もっと小規模で早期に終結していたかもしれない。豚インフルエンザからスペイン風邪を連想し第一次世界大戦に辿り着いた。
 第一次世界大戦時でなければ、スペイン風邪であれほどの死者は出なかったと言われる。軍隊では集団生活のため感染が広まり、前線では寒く碌な食べ物のもない劣悪な環境のために死亡率が高くなったのだ。多くの若い兵士が銃弾ではなく、吹きさらしの塹壕の中でウイルスに殺された。スペイン風邪はさほど強毒ではなく、体力があれば死なないで済んだ患者も多いはずだ。柔らかいベッドと温かいスープがあれば助かったと知れば、家族殊に母や妻そして恋人は耐え難いだろう。
 思えば迂闊や愚かな行為が大惨事を引き起こす。ちょっと言葉の響きは悪いがフールプルーフなシステムが事故を未然に防ぎ、沸騰石が起きた事故を小規模に留めるのに役立つ。
 いずれ豚インフルエンザは思わぬ経路から侵入してくる。これだけ警戒しているので、一部パニックになる人達は居るにしても、爆発的な流行は避けられるだろう。いつも必ず迂闊な人はいる、フールプルーフと突沸防止の小石(予知と訓練)が非常時の鍵だ。あとは、なんだ平時のインフルエンザと変わらないじゃないかと、緊張が解けた時の油断がなければ惨事は避けられるだろう。
 先のブログで恐いと書いたが、それは実際に来襲するから恐いと言ったまでで、必要な患者に必要な治療をすれば今の日本の医療の実力からすれば死亡率は0.2%以下に抑えられると思う。
 ちょっと心配なのは厚生労働省の会議にちゃんと臨床の出来る医師が入っているかどうか。患者をあまり診ない方も・・長になる世界だから。
 いずれにしても、これから非常時の国民力が問われる。
コメント
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