診察を待っていると、Yさんがお母さんと叔母さんと共に
相談室からCWに伴われて出てきた。
一目で再飲酒したことがわかるほどボロボロであった。
確か私と同じ頃に病院へ繋がったはずで、その後も病院や
例会で顔を見かけることも多かった。
確か以前も再飲酒しながら、その後改めて3ヶ月だか6ヶ月
だかの断酒表彰を受けていたはずである。
今回は入院を前提とした再診察であったろう。
お母さんは高齢ながら、お元気な様子ではあったが、
叔母さんが付いてきているところを見ると、身体も思うように
動かないのかもしれない。
Yさんは、本当に人の良い人で、対人恐怖があるのかとさえ
思えるほど、他人に対してはおとなしく慇懃で、腰が低い。
ところが、母親に対しては別人かと思えるほどわがままで、
横柄な態度だ。今朝飲んだとの事だったので、まだ酔いが
抜けていないのかもしれないが、それでも見た目も態度も
言動も全く別人である。
もう高齢で、痩せた腕でYさんに触れながら話をする母親に
ぶつぶつと不平を言いながら、具合が悪いのか辛そうに
している。飲めばこうなってしまうという、お手本のような
姿である。心配そうに見守る母親に、自分が飲んでしまうのは
その母親のせいだと言わんばかりの態度にあきれて、叔母さんが
母親に、「干渉し過ぎるからや、ほっとけばいいねん。」と
たしなめていた。
「診察も本人と医者の対々の話で、あたしらがどうにかできる
事と違うねん。」と、さばさばした感じで、そういう考えの人が
そばにいることにかえって安心した。
駄々っ子じゃあるまいし、いい歳をしていつまで母親に甘ったれて
いるのかと腹が立ったが、それは以前にも似たような事があった
時に私が感じた嫉妬というか、やっかみであろう。
年老いた母親に心配をかける息子に腹を立てながら、いくつに
なっても心配してくれる母親がいることに対するやっかみである。
何もしてくれなくていい、ただ生きていてくれたらといまだに
心のどこかで思っている自分に気付かされる。
黙って一緒にいるだけで、心配してくれている事もわかるし、
心の底の方で安心感というか安らぎのようなものを感じていた
自分にとっての母親の存在を思い出す。
しっかりしろよという苛立ちと共に、羨ましさもあるのだろう。
見守ってくれている事を感じながらも、せめてもう少しこの世に
いてくれたらななどと、複雑な思いであった。
翻って、自分のカミサンと、息子を見るにつけ、母親と息子の
関係に安心感があるのだが、それが時に羨ましく思う事もある。
いくつになっても、自分自身がまだまだガキという事であろう。
相談室からCWに伴われて出てきた。
一目で再飲酒したことがわかるほどボロボロであった。
確か私と同じ頃に病院へ繋がったはずで、その後も病院や
例会で顔を見かけることも多かった。
確か以前も再飲酒しながら、その後改めて3ヶ月だか6ヶ月
だかの断酒表彰を受けていたはずである。
今回は入院を前提とした再診察であったろう。
お母さんは高齢ながら、お元気な様子ではあったが、
叔母さんが付いてきているところを見ると、身体も思うように
動かないのかもしれない。
Yさんは、本当に人の良い人で、対人恐怖があるのかとさえ
思えるほど、他人に対してはおとなしく慇懃で、腰が低い。
ところが、母親に対しては別人かと思えるほどわがままで、
横柄な態度だ。今朝飲んだとの事だったので、まだ酔いが
抜けていないのかもしれないが、それでも見た目も態度も
言動も全く別人である。
もう高齢で、痩せた腕でYさんに触れながら話をする母親に
ぶつぶつと不平を言いながら、具合が悪いのか辛そうに
している。飲めばこうなってしまうという、お手本のような
姿である。心配そうに見守る母親に、自分が飲んでしまうのは
その母親のせいだと言わんばかりの態度にあきれて、叔母さんが
母親に、「干渉し過ぎるからや、ほっとけばいいねん。」と
たしなめていた。
「診察も本人と医者の対々の話で、あたしらがどうにかできる
事と違うねん。」と、さばさばした感じで、そういう考えの人が
そばにいることにかえって安心した。
駄々っ子じゃあるまいし、いい歳をしていつまで母親に甘ったれて
いるのかと腹が立ったが、それは以前にも似たような事があった
時に私が感じた嫉妬というか、やっかみであろう。
年老いた母親に心配をかける息子に腹を立てながら、いくつに
なっても心配してくれる母親がいることに対するやっかみである。
何もしてくれなくていい、ただ生きていてくれたらといまだに
心のどこかで思っている自分に気付かされる。
黙って一緒にいるだけで、心配してくれている事もわかるし、
心の底の方で安心感というか安らぎのようなものを感じていた
自分にとっての母親の存在を思い出す。
しっかりしろよという苛立ちと共に、羨ましさもあるのだろう。
見守ってくれている事を感じながらも、せめてもう少しこの世に
いてくれたらななどと、複雑な思いであった。
翻って、自分のカミサンと、息子を見るにつけ、母親と息子の
関係に安心感があるのだが、それが時に羨ましく思う事もある。
いくつになっても、自分自身がまだまだガキという事であろう。