昨日は、院内例会でした。
珍しく、息子がついて行くというので、私を独占できなくなった
娘は少々不満顔でしたが、3人で出掛けました。
相変わらず盛況で、少し遅れた私達は、隅の方で、丸椅子に
座る事になりました。
いつもお見掛けする方々もいましたが、新患の方々も多く、
さすがに2年以上経つと顔ぶれも変わってくるものだなと、
感じると共に、そろそろ良い機会なので、指名されたら、今まで
子供達には話さずにいた、病院へ行くまでの経過、つまり、自身の
最も苦しかった時の事を話そうかと考えていました。
今回は、ご家族の参加が多く、奥様、娘さんのお話も数多く
聞く事が出来ました。
その中で、父親が断酒20年を迎えた、娘さんの話がありました。
20年といえば、それだけを聞くと、実に大したものだと感服
させられる内容かと思っていたら、それは、現実生活の中で、
限りない地獄を見続けてきた娘さんの、魂を絞るような
お話でした。
飲んだくれて、暴力をふるい、し尿と嘔吐にまみれている
父親の姿を小学生の頃から見せられ、暴力に耐えかねて母親は
家を出てしまい、帰って来ない。祖父母と、妹と、その父親との
4人と共に、地獄の日々を過ごされてきたのでした。
彼女の10代は、父親を呪い、この汚い、臭い、暴力をふるう
事しか能が無い人間を、いつか殺してやろう、或いは、早く
死んでくれと考える事ばかりの毎日であったそうです。
お酒を飲んで、糞まみれ、尿まみれになり、飲んでは吐いて、
汚物にまみれ、気に入らなければ暴力をふるう。
何故死なないのか、早く死んでくれ、いっそ殺してやろうと、
刃物を手にして、寝ている父親をつついた事もあるそうです。
それが、病気である事を知って、病院へと繋がった時に、
院長先生より、病気が回復すれば、必ず立ち直るから、共に
頑張っていこうと励まされ、通院が始まったとの事。
私しかいないとの強い気持から、毎日父親を引きずるようにして
通院した事。もう片手で引っ張りまわせるほど、衰弱していた
父親に、飲んだら殺すと言い続けながら、付き添って通院した
日々。壮絶な病気との闘いの日々は、彼女に泣くという、
ごく当たり前の心の現われを消滅させてしまった。
凄まじい内容であるにもかかわらず、彼女の目には涙は
無かった。多感な10代に、想像を絶する悲惨な経験を
してしまったようです。あまりの壮絶さに、もらい泣きという
事もなく、ただただ皆息を飲むようにして、話に聞き入って
いました。
今、彼女は40歳。何度もスリップで裏切られながらも、父親を
立ち直らせる事に青春を捧げ、二十歳になってから、父親の断酒が
軌道に乗り始めて、今年断酒20年を迎える事が出来た。
院長先生のおかげを持って、迎える事が出来た以上、そのお返し
として出来る事は、自らの体験を語る事でしかないとの思いから、
今回院内例会に出られたようです。
そばには、娘と息子が座っています。人それぞれ、状況も、
気付きの時期も違うでしょうが、子供達を見ていると、よくぞ、
あのタイミングで気付き、病院へと自身を繋げたものだと、
いまさらながら、胸をなでおろす思いでした。
少しの狂いで、私も、自分の娘を、彼女のようにさせてしまって
いたかもしれません。胸を締め付けられる思いで、聞かせて
頂きました。
例会の後、息子は、父親の事を死んだらいいのにとか、
殺してやりたいと話していた彼女に、それはあかんやろと、怒って
いました。娘は、なんか、すごいねと、また違った感慨を
持ったようです。
男と女、姉と弟の差はあるものの、素直に真っ直ぐ成長し続けて
いる子供達の姿に、どれほど幸せを感じたか知れません。
二人の青春を傷つけ、奪ってしまうような父親となる、すんでの
所で踏み止まれた事に、心からホッとする事が出来たお話でした。
これからも、25年、30年と断酒を継続していく事で、娘さんが、
自身も、お父様も、生きていて良かったと、幸せを積み重ねて
いかれる事を、心から祈ってやみません。
それはそのまま、私が、娘と息子に、幸せになって欲しいと願うのと
同じ事なのです。
珍しく、息子がついて行くというので、私を独占できなくなった
娘は少々不満顔でしたが、3人で出掛けました。
相変わらず盛況で、少し遅れた私達は、隅の方で、丸椅子に
座る事になりました。
いつもお見掛けする方々もいましたが、新患の方々も多く、
さすがに2年以上経つと顔ぶれも変わってくるものだなと、
感じると共に、そろそろ良い機会なので、指名されたら、今まで
子供達には話さずにいた、病院へ行くまでの経過、つまり、自身の
最も苦しかった時の事を話そうかと考えていました。
今回は、ご家族の参加が多く、奥様、娘さんのお話も数多く
聞く事が出来ました。
その中で、父親が断酒20年を迎えた、娘さんの話がありました。
20年といえば、それだけを聞くと、実に大したものだと感服
させられる内容かと思っていたら、それは、現実生活の中で、
限りない地獄を見続けてきた娘さんの、魂を絞るような
お話でした。
飲んだくれて、暴力をふるい、し尿と嘔吐にまみれている
父親の姿を小学生の頃から見せられ、暴力に耐えかねて母親は
家を出てしまい、帰って来ない。祖父母と、妹と、その父親との
4人と共に、地獄の日々を過ごされてきたのでした。
彼女の10代は、父親を呪い、この汚い、臭い、暴力をふるう
事しか能が無い人間を、いつか殺してやろう、或いは、早く
死んでくれと考える事ばかりの毎日であったそうです。
お酒を飲んで、糞まみれ、尿まみれになり、飲んでは吐いて、
汚物にまみれ、気に入らなければ暴力をふるう。
何故死なないのか、早く死んでくれ、いっそ殺してやろうと、
刃物を手にして、寝ている父親をつついた事もあるそうです。
それが、病気である事を知って、病院へと繋がった時に、
院長先生より、病気が回復すれば、必ず立ち直るから、共に
頑張っていこうと励まされ、通院が始まったとの事。
私しかいないとの強い気持から、毎日父親を引きずるようにして
通院した事。もう片手で引っ張りまわせるほど、衰弱していた
父親に、飲んだら殺すと言い続けながら、付き添って通院した
日々。壮絶な病気との闘いの日々は、彼女に泣くという、
ごく当たり前の心の現われを消滅させてしまった。
凄まじい内容であるにもかかわらず、彼女の目には涙は
無かった。多感な10代に、想像を絶する悲惨な経験を
してしまったようです。あまりの壮絶さに、もらい泣きという
事もなく、ただただ皆息を飲むようにして、話に聞き入って
いました。
今、彼女は40歳。何度もスリップで裏切られながらも、父親を
立ち直らせる事に青春を捧げ、二十歳になってから、父親の断酒が
軌道に乗り始めて、今年断酒20年を迎える事が出来た。
院長先生のおかげを持って、迎える事が出来た以上、そのお返し
として出来る事は、自らの体験を語る事でしかないとの思いから、
今回院内例会に出られたようです。
そばには、娘と息子が座っています。人それぞれ、状況も、
気付きの時期も違うでしょうが、子供達を見ていると、よくぞ、
あのタイミングで気付き、病院へと自身を繋げたものだと、
いまさらながら、胸をなでおろす思いでした。
少しの狂いで、私も、自分の娘を、彼女のようにさせてしまって
いたかもしれません。胸を締め付けられる思いで、聞かせて
頂きました。
例会の後、息子は、父親の事を死んだらいいのにとか、
殺してやりたいと話していた彼女に、それはあかんやろと、怒って
いました。娘は、なんか、すごいねと、また違った感慨を
持ったようです。
男と女、姉と弟の差はあるものの、素直に真っ直ぐ成長し続けて
いる子供達の姿に、どれほど幸せを感じたか知れません。
二人の青春を傷つけ、奪ってしまうような父親となる、すんでの
所で踏み止まれた事に、心からホッとする事が出来たお話でした。
これからも、25年、30年と断酒を継続していく事で、娘さんが、
自身も、お父様も、生きていて良かったと、幸せを積み重ねて
いかれる事を、心から祈ってやみません。
それはそのまま、私が、娘と息子に、幸せになって欲しいと願うのと
同じ事なのです。