ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

「苦」の一字

2022年12月06日 | ノンジャンル

今年を漢字一文字でと言えば、迷いもなく「苦」の一字である。

手術ができるという事で、少しは前向きな想いで新年を迎えたが、

手術後の合併症などで恐ろしく体力を奪われた。

痛みでもうだめかと思い、苦しみでもうだめかと思い、

何とか退院した後も、様々な症状が出て、穏やかに過ごせた

日々は本当にわずかだった。

 

苦しみながら永らえるよりは、短くとも穏やかに過ごしたいという

願いも虚しく、少し楽になるとまた苦しいという日々を繰り返し、

もう早12月。ガンの発見後、苦しみながら一年を生き延びたことになる。

年内に3回目の抗ガン剤投与。本当に幸いなのは副作用に苦しめられる

ことが今のところほとんどないという事だ。

顔色や肌つやが良くなったと周りから言われるが、自分ではそれほどの

変化を感じていない。

ただ、手術後ずっと嗄れ声になって息も続かず、かすれていた声が、

少しずつ自分の本来の声に戻ってきたのは目立った変化である。

もう歌も歌えないと諦めていたのだが、何とか自分の好きな

曲を歌うこともできるようになってきた。

これは気分転換の意味では非常に大きい。

いずれにせよ、新たな年は、還暦の年でもある。

願わくは、「苦」が転じて、自身にとっても、世間にとっても

「穏」の一字の年とならんことを。

 

 


経過

2022年11月08日 | ノンジャンル

抗がん剤投与前は、もう限りがないほど副作用について説明され、

全部出るとすれば満身創痍で身動きすらできなくなるじゃないかと

言いたくなるほどだった。

吐き気に嘔吐、食欲不振に胃腸障害、口内炎、発熱、めまい、

倦怠感、筋肉痛、肝臓・膵臓・腎臓の機能障害、皮膚の重度のただれ等々。

まあ全ての症状が出るわけではないだろうが、どれが出るのかと思えば

ロシアンルーレット的な不安が付きまとう。

投与後1日経ち、2日経ち3日経ちとする中、想像していたような

強い副作用は出ず、人によっては1週間とか3週間で出る場合もあるとのことで、

今度はどんな症状がではなく、いつ頃出てくるのかの不安となった。

明日で投与後1週間となるが、今のところ拍子抜けするほど副作用はない。

多少の倦怠感はあるものの、辛いと感じるほどでもない。

抗がん剤との相性が良かったようで、予定より早く退院し、

通院ベースで継続治療ということになりそうだ。

手術のように大きくメスを入れて大きな治療効果を得るのとは

異なり、時間をかけて徐々に治癒していくというのは性分には

合わないが仕方がない。

また断酒のように、回復と快復の日々を積み重ねていくしかない。

そこに共通してあるのは、今日一日をいかに生きるか

ということなのである。

今夜は皆既月食、天王星食らしい。

昔から星宿が乱れるときは、不吉とされてきた。

何事においても、無事であるようにと今宵は

月に祈ることとする。

 

 

 

 


入院

2022年11月04日 | ノンジャンル

11月1日から入院、2日に抗がん剤の投与。

今日4日現在、特に強い副作用は出ていないが、

人によって投与翌日からとか、1週間後とか

まちまちらしい。

1月の手術のための入院と違って、今回の入院は憂鬱だった。

昔からいわゆる外科的な外傷よりも内科的な内傷に弱い。

唯一ありがたいのは、外傷がないので気兼ねなくシャワーを

浴びられることだ。

今のところ、かなり辛いと感じるほどの副作用は出ていないが、

それでもそれなりに倦怠感や不快感はある。

これがさらに強くなるのか、このまま済んでくれるのか、

それを思うだけでも、また気が重い。

考えれば、今よりも辛い状況の時も多かったが、

仕事をしている間はそれほど苦にはしていなかった。

入院というのは、当然ながらその雰囲気からして、

気が紛れるどころか、余計に気を揉むことになる。

娑婆に戻るまで、「仕方がない」というある意味

諦観で過ごすしかなさそうである。

 


再発

2022年10月21日 | ノンジャンル

ここ何年か、春と秋がすっ飛ばされているように思える。

急に暖かくというより暑くなったり、涼しいを越えて

急に寒くなったりと、身体が対応しきれない気候が続く。

1月の手術後、肺炎、膿胸と合併症を起こし、何とか退院できたものの

どこかしら不調続きで、楽に感じることは本当にまれだった。

梅雨に猛暑と、大きな試練の季節を乗り越えて、過ごしやすくなってきた

この季節。退院後、初めて楽に感じる体調の良さに、ようやく

身体の芯の力を取り戻しつつあるなと実感していた。

 

その矢先、経過観察に多少の変化が見られ、精密検査の結果は再発の診断。

今度は、抗がん剤治療のために入院、通院という段取りになる。

昨年同様、保険やら仕事の段取りやら、手続き関係と準備でバタバタしているが、

どうも他人事のように感じている。

手術を受けるときも、その後も、自分の身でありながら、自分の身でないような

不思議な感覚で、今回も、治療を受けるのが自分であって自分でないような

変な感じである。

それでも、もう痛いとか、しんどいとか、苦しいとかはもう御免である。

長い短いではなく、穏やかに自分らしく過ごせるかどうかなのである。

そして自分らしくとは、やはりできることを精一杯という、自らの生き方を

貫くことであろうと思うのである。

 

 

 


残暑

2022年09月12日 | ノンジャンル

お盆が過ぎて、さすがに朝夕が秋めいてきたかと思いきや、

また寝苦しいほど残暑が厳しい。

とはいえ、季節は中秋、お彼岸も近い。そういえば日も短くなってきた。

こうしてまた季節は巡っていく。

あとどれくらいこの季節の巡りを見送れるのか。

55歳の時に、10年の計を立てた。断酒も13年、安定期の頃だ。

それはそのまま、10年は問題なく生きるという上での計である。

60を目前にして、この5年間の計は何とか思い通りの事を達成できたかと思う。

そして次の5年。これは本当にわからない。

その日によって、まだ数年は大丈夫と思える日もあれば、

今日か明日かもしれないと覚悟するような日もある。

毎日を、それこそ規則正しく過ごしていても、その日によって

大きな変動がある。

願うのは、苦しむことのない穏やか日々で、それがどれだけ

続くかは問題ではない。

欲を言えば、次の5年もまた思い通りの事を達成できれば、

大満足であり、それ以上望むものはない。

あとどれくらい。

それがわかれば、かえって楽かもしれないと

あきれるほど明るい満月を眺めている。