Various Topics 2

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※旧Various Topics(OCN)

モランディとモディリアニの共通点・モランディとファシスト党、そしてグリツァーナ

2016年03月20日 | 芸術・本・映画・TV・音楽

2012年3月、私はジョルジョ・モランディのグリッツァーナ(正式にはGrizzana Morandi。これはGrizzanaから名称変更。もちろんMorandiは画家の名前から。)のアトリエを訪れました。
昨日はそのジョルジョ・モランディの展覧会に行ってきました。 

東京ステーションギャラリー
ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏
会期:2016年2月20日(土)―4月10日(日)
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201602_morandi.html
 

モランディは日本ではあまり有名ではないし、イタリア人の友人の中にも彼のことを知らない人もいますが(日本人で藤田嗣治を知らない人がいるのと同じようなことか)、私は好きです。 

アースカラーと白を使った静物画(花瓶や瓶、造花)、そしてアトリエから見る家や景色の絵など。 

生涯肖像画はもちろん、景色に人や生き物を描きこむことがなかった、生涯のほとんどをボローニャとグリッツァーナで過ごし生涯独身で妹たちと共に生活してきた-そんなモランディは、「人間恐怖症で、絵葉書を見て絵を描いてきたユトリロ」を思い起こさせます。しかし、モランディの作品の雰囲気はなぜか「人間が好きで社交的、だけどちょっと破綻。人間ばかり(しかしほとんどの人物には瞳がありません。)を描き続けたモディリアニ」のものと重なってしまいます。 

モランディとモディリアニはイタリアの隣り合わせの州に生まれ、ほぼ同年代。(モランディは1890年エミリア・ロマーニャ生まれ。モディリアニは1884年トスカーナ生まれ。) 

性格も人生も正反対にも思える2人の作品が似て感じられるのは、「血」と「大地」の繋がりあってのことでしょうか。
いずれにしても、私にとっては彼らの作品は、「目」ではなく、「心」で感じ取るものに思えます。 

さて、モランディですが、今回の展覧会のパネルに、「第二次世界大戦中体制の反乱分子として1週間逮捕された」というような説明が書いてありました。 

このパネルにでは端折られていましたが、実はモランディは「ファシスト党の支持者」。ただ、アンチファシストの友人がいて、1943年にはその関係で逮捕されたのも確かのようです。

Wikipedia
Giorgio Morandi
https://en.wikipedia.org/wiki/Giorgio_Morandi 

抜粋: 

Morandi showed in the Novecento Italiano  He was sympathetic to the Fascist party in the 1920s, although his friendships with anti-Fascist figures led authorities to arrest him briefly in 1943. 

(まあ、モランディがムッソリーニの支持者であったとしても、初期のムッソリーニは、ヒトラーのユダヤ人差別を軽蔑し、芸術やフェミニズムに理解を示す「知的な指導者」と思う人も多かったので、これは非難するには値しないのではないか、と思います。
「モンテッソーリ教育」ののマリア・モンテッソーリも最初はムッソリーニの友人でした。) 

モランディは何をして捕まったのでしょうか。武器をもって闘うことをしなくても、アンチ・ファシスト(パルチザンなど)の友人を匿うなどしても、1週間で釈放されることはないでしょう。 

しかし・・・現代だったら「アスペルガー」と診断されそうで他人や外の世界にあまり関心を持たなさそうな彼が、逮捕されるくらい「ファシスト党」に盾をついたのはなぜか。 

モランディのアトリエがあったグリッツァーナ及び近郊はドイツ軍が占領しいたた土地(近くのマルツァボットではドイツ軍による村人の大虐殺がありました。)であったので、「グリッツァーナを最上の土地」と思っていたモランディは、ドイツ軍がその土地を蹂躙することが許せなかったのでしょうか。 

彼は第二次大戦中ずっと貝を描いていたといいますが、その時の彼の心はどうだったのか、知りたいです。 

(なお、「モランディは出世のためにファシスト支持をしていた」と分析をする人もいるようです。一応ご参考まで。 

ZETEO (2015.11.23)
MORANDI, RELATIONSHIPS, FASCISM, STILL LIFE
http://zeteojournal.com/2015/11/23/morandi-relationships-fascism-still-life-zeteo-eaton/ )

関連: 

行ってきます
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/2860eeb5f072d3d6dddcfdebffb58044

ただいま!
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/84ddbc7bcaf391bb39ad3944ddc0c679 

戦争責任の所在
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/fab1a347739ac13a9dc470e86fbfbf8a  

オマケ: 

モランディのアトリエ(モランディの家)の動画
Casa Museo Morandi, studio – Grizzana Morandi, Bologna
https://www.youtube.com/watch?v=pG711KO3XGc

※下記リンクへ変更↓
https://www.youtube.com/watch?v=CqUw6UNQoqk

Grizzana Morandiは、ボローニャ、フィレンツェから日帰りでもOKですが、アトリエに行くのなら現地で泊まって、宿のオーナーに手配を頼む方がよいと思います。
アトリエ見学は市のボランティアさんに鍵を開けてもらわないと入れません。無料。 

宿の一つ: 

Grizzana MorandiのB&B
(オーナーの奥様のRuthさんはイギリス人です。もちろん英語可。)

6 Stanco
https://www.homeaway.co.uk/p413114 

※上記サイトは、6 StancoのHPではありません。
ご自分で、”6 Stanco, Grizzana"で検索してください。HPが出てきます(イタリア語、英語)。

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