三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

フィンランドの教育

2009年03月06日 | 日記

某氏に「市民生活」Vol.37をもらう。
松坂知恒広島市議会議員の「フィンランド、ヘルシンキ市の教育行政」という文章が載っている。
フィンランドは学力が世界一だというので、フィンランドの教育がもてはやされている。
教育はフィンランドに学べということなのか、松坂氏たちはフィンランドに視察旅行をする。
そして、ヘルシンキ市教育局のペンティラ氏から説明を受ける。

フィンランドでは教育費は公立、私立ともに無料で、義務教育では教材費、給食費も無料。
高校では教材費が自己負担。
総合大学や専門学校でも授業料は無料。
子どもを退学させることはないし、塾も存在しない。

第二次世界大戦敗戦後、貧困家庭の子どもは学校に通えないほどで、教育水準は最低だった。
大戦後、女性は強制的に社会参加を促され、その結果、30代、40代の女性はほとんどが大卒か高等専門学校卒である。
一方、大学を卒業する男性は45%と、男女の学歴格差が問題となっているそうだ。
高校に進学しない子どもが6%いて、これも問題。

先生が家庭で教えるようなマナーを教えている。
学校には生徒を預かる義務があるからだという。
フィンランドでは両親が働いているので、家庭教育も学校が担わざるを得ないのだろうと、松坂氏は言う。

ペンティラ氏への質問に対する答えをいくつか。
「義務年限の第九学年をこえて、第十学年に進む生徒が毎年600人から700人いる。多くは男子である。フィンランドの教育の問題点はこの男子生徒のおちこぼれである」

「大学生の70%は女性であり、これも問題である。なぜなら第一子出産が30歳を越える」

「(大学の)入学試験はなかなか難関で、みな二浪も三浪もしている。入学が22才で、修士課程は6年かかる。へたをすると、卒業して就職するのが30才を越えてしまう。これも問題である。なぜならば、年金取得には40年間の勤務が必要であるからだ。定年退職までに40年間勤められるか問題である」

「大学卒に高い価値観を抱いているので、高校をドロップアウトしてしまうとダメージが大きい。これも男子学生に多いのである」

「日本とフィンランドの共通の課題として、自殺率が高いことがあげられる。高卒の若い男性が特に自殺する。20才から25才までの男性の死因のトップは自殺である。これは教育政策に問題があるからだ。女性は20才から25才で進学している。それに女性は結婚相手に低学歴の男性を選ばない。シングルマザーも多いが、女性は男性を必要としないのである」

「自殺の要因のひとつに両親が共働きであることがあげられる。3才になると育児手当が支給されなくなるため両親とも職場に向かう。そのためフィンランドの子は3才になると厳しくしつけられ、自分のことは自分でやれと言われる。甘えを許さない。小さな子供に社会の要求が強すぎるのである」

「自立を強いられた末、自立できない男の子が自殺する」

というわけで、フィンランドだって問題がないわけではないということです。

コメント (8)
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