三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

原田眞人『クライマーズ・ハイ』

2008年07月19日 | 映画

私はテレビをほとんど見ないのだが、パソコンをしている横で妻がテレビを見ているので、テレビドラマの声が耳に入る。
不思議に思うのは、登場人物がすぐに興奮して、怒ったりどなったりすることである。
テレビドラマの世界では、どうしていつも大きな声でしゃべってばかりいるのだろうか。
普通は他人に対してそんなに大声を出さないと思うのだが。
原田眞人『クライマーズ・ハイ』の予告編もそうで、とにかくけんか腰の会話ばかりなので見に行く気が失せてしまった。
たけど、「週刊文春」で品田雄吉氏が☆☆☆☆にしてたので見に行かざるをえない。

『クライマーズ・ハイ』は、1985年に起きた日航機墜落事故を報道する地方新聞の記者たちを描いた映画。
登場人物たちはみんな感情をむき出しである。
新聞への熱い思いと言えばかっこいいが。
私は会社に勤めたことがないからわからないが、編集局次長みたいに怒った口調か皮肉っぽい言い方しかしない人がいるのだろうか。
そんなのでよくやっていけるもんだと思う。
すぐに怒る、と妻や子供に言われている私がこんなことを言う資格はないのだけれども。

上司は部下をすぐにどなりつける、部下は大きな声を張り上げて自分の考えを主張する、つかみあいのケンカになる。
ヤクザ映画じゃあるまいしと白けてしまう。

日本の俳優は軍人とヤクザをやらせるとうまいと、どこかで読んだ記憶がある。
といっても下っ端である。
「日本の映画俳優は兵隊の役には適しているが、将軍など上層の軍人役を演じさせると安っぽくなりがちだ」と滋野辰彦という映画評論家が書いている。
こわもてが群がって、声高にどなる、そういう役は地で演じることができるということか。
『クライマーズ・ハイ』でも、販売局長は態度、しゃべり方などヤクザである。
販売局員たちが編集局に殴り込みをかけ、それを押し返すシーンはヤクザの出入りだし。

それと、父子の葛藤やロッククライミングのシーンは不要だと思う。
とはいえ、キネ旬のベストテンに入るのではないだろうか。

    
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