三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

青草民人「衣替え」

2005年09月28日 | 青草民人のコラム

暑さ寒さも彼岸までというが、本当に涼しい季節になった。この間までのあのうっとうしい暑さが嘘のようである。

人は、気温の変化によって生活の一部を変えることがある。今日は冷えた生ビールが飲みたいなあと思っていたのに、気温が下がると熱燗が飲みたくなる。
短パンに半袖ルックが肌寒さを感じると同時に、いつの間にか長袖、長ズボンになっている。

最も季節に敏感なのは、コンビニエンスストアであろうか。気温の変化やその日の天気によって商品をこまめに変えて販売している。昨日まであったソフトクリームやかき氷の看板が、おでんや肉マンの宣伝に変わっている。消費者のニーズに敏感に対応することが売り上げに直接結びついているのだろう。

秋といえば、何となく物悲しいというか、感傷的になりやすい季節である。一日の昼の長さも彼岸を過ぎるとどんどん短くなる。落葉樹の葉は紅葉し、やがて落ちていく。大騒ぎしていた蝉の声は、静かな秋の虫たちの声に変わる。なんとなく人恋しく演歌が聞きたくなる。

都会では、クールビズ姿よりもスーツの着こなしが気になる季節になった。町を歩く女性の装いも落ち着きを取り戻し、なにか物足りなさを感じる。頬をつたう冷たい風が、衣替えを促している。

ああ、もう秋なんだな。すごしやすさを感じつつ、過ぎ行く季節を惜しんでいる自分がいる。過ぎ行く時を惜しんでいる自分がいる。

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