百姓通信
自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!
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エビ養殖者のなかには、マングローブを破壊するのは沿岸につくられる粗放池であり、水の管理が可能で生産性が高い集約養殖は「持続可能な」養殖方法であると主張する人もあり、国連食糧農業機関(FAO)の報告書も、集約池については「環境・資源に関わる問題を緩和する」と好意的だったりします。
また、集約養殖をさらに集約化し、倉庫や工場のような閉じた空間の中で水を循環させ、排水をまったく外界に放出しないでエビを生産する「スーパー集約養殖」が持続可能だとも考える人もいます。しかし、建設費・操業費の高さを考えると、これもまた一般化するにはまだまだハードルは高く、なにより、設備があるということと、実際にきちんと水処理をおこない、汚染排水を出さないように操業しているということは、全く別のことであって決して自動的に保証されるものではないことを承知しておく必要があります。
エビ養殖が批判される理由のひとつは、エビ養殖事業が巨大なアグリビジネス企業と、それを後押しする政府の介入なくしては成り立たない点が挙げられます。具体的にいうと、集約養殖を行うために必要な大量の飼料や薬品はアグリビジネスが寡占的に供給しています。また同時に、ポンプで水を入れ替える集約養殖では、電力が安定して供給されなければなりません。そして、収穫された大量のエビを冷凍加工して輸出するためには、冷凍庫・交通・港湾施設の整備も必要です。世界銀行・アジア開発銀行・FAOなど国際機関が経済開発のために、日本の政府と商社はエビの開発・輸入のために、政府開発援助(ODA)によって資金・技術を提供してこの構造の土台を築いてきた過去があります。
これらの養殖産業は、農業と同様、大量のエネルギーと水をついやすモノカルチャー(単一種栽培)であり、種苗(種子)・飼料・薬品(化学肥料)の供給から流通までを、アグリビジネスが完全に支配し、それをODAが支える構造は、第三世界の農業を席巻した「緑の革命」に似ているため、アジアのエビ養殖は「青の革命」と呼ばれているそうです。
モノカルチャーで生産効率を上げる事が、実は環境負荷をかけ、どうしても自然の循環を阻害する結果となることから、持続可能であるとは安易にいえない、それは規模問題だけではないような気がします。


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