「ひとりの悲しみ」はあの「白いサンゴ礁」で有名なズー・ニー・ヴー(Zoo Nee Voo)の4枚目のシングル。
実は1971年第13回日本レコード大賞受賞のあの尾崎紀世彦が歌った「また逢う日まで」の元歌として有名だったようだ。
共に阿久悠作詞、筒美京平作曲でアレンジも全く同じであるが、符割りが微妙に違う、つまり曲はほぼ同じだが、詩が異なり、「詞」が異なることでまったく世間の受けが違った代表的な作品だという。
実は阿久悠と筒美京平がコンビを組んだ作品はそう多くはない。代表作には尾崎紀世彦「また逢う日まで」や大橋純子「たそがれマイ・ラブ」はあるが、デビューから連作した岩崎宏美の大ヒット曲「ロマンス」や「センチメンタル」などは、曲先行の作品に「軽業的に詞をつけていました。~こうくるとは予想もしていなかっただろう、とかね」(阿久悠作詞集「人間万葉歌」より)と阿久悠自身が述懐している。先輩にあたる筒美京平の曲に後輩(作詞家としてのデビューが遅いという意味で)にあたる阿久悠が「詞」をのせた、「ひとりの悲しみ」も曲は良いので、「詞」を再考したというのが本当のところのようだ。
ズー・ニー・ヴー(Zoo Nee Voo)からすると誠に残念なことだったと思うが、「また逢う日まで」は曲といい、「詞」も「唄」も時代を捉え、後世に残る名作になったと思う。
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