茶・菓子・果物・野菜・素材・酒・酒菜などについてのひとりごと含めた杜屋(もりや)のブログです
杜の茶菓菜(もりのさかな)
レモンマーマレードの作り方
公私共々お世話になっているご近所の方から、今年もご自分の畑に実ったレモンを
たくさん分けて頂いた。いつもありがとうございます!
休日にオットを伴って自転車で出かけ、畑におじゃまする。
1本の木に鈴なりに実った果実を摘ませて頂くところから始まった今期のレモンマーマレード作り。
何事もまずは洗うところから始まる。
無農薬でもとてもきれいな果実。
小さな黒い斑点やキズをナイフで取り除く。
半分に切って果汁を絞る。
片手でぎゅーぎゅーやってると段々手がつりそうになる。
絞った果汁は下処理が済むまでタッパーに入れて冷蔵庫へ。
皮の内側のワタをくり抜く。このワタからペクチン液を抽出する。
皮は包丁で刻み、水にさらしてもみ洗いする。しばらく水に漬けておく。
皮を一片かじってみて、苦味をみてみる。
苦味が強い場合は沸騰湯に皮を入れてゆでこぼす。
マーマレードは、苦味が少なすぎると物足りなくなるけど、
苦味が強すぎると食べた時の後味に、いつまでも苦味が残る。
ワタもよく水洗いして苦味抜きのためにゆでこぼす。
ワタに酸が残っているとゆでこぼしと同時にペクチンが流れるため、洗ってからゆでこぼす。
水をきったワタに新たにかぶるくらいの水を加え、弱火でコトコトと
とろとろに柔らかくなるくらいまで煮てザルでこす。これがペクチン液。
下処理した皮、ペクチン液、果汁、砂糖を計量して用意する。
基本的には皮1:ペクチン液1:果汁1:砂糖0.6くらい。
割合は好みで加減する。酸っぱいの好きなら果汁を多めに。
ただし砂糖量を減らしすぎると酸っぱくなりすぎる上に
ペクチンの力がうまく働かなくなる。
ペクチン力は、糖と酸と熱によって発揮される。
銅やホーローなどの鍋に皮とペクチン液と果汁半分を入れて火にかける。
沸騰したら砂糖3分の1量と残りの果汁半分を入れる。
浮いてくるアクはこまめにすくい取る。
砂糖と果汁は15分おきくらいに計3回に分けて加える。
一度に砂糖を入れると皮の中まで砂糖がしみ込まない。
3回目の砂糖と果汁を入れて少し煮て、火をとめて一呼吸おくと表面にオブラートのような薄い膜が張る。
その膜が出たらペクチンがしっかり作用している証で、
蜂蜜よりもサラサラのシロップ状態でも冷めると固まるので火をとめる。
煮詰めすぎると冷めた時にカチカチに硬くなる。
瓶に詰めている最中は「やっぱりもっと煮詰めた方がいいかも・・・」と不安になるほどだけど
完全に熱が冷め切った作った翌日には、逆さにしても微動だにしないほどしっかりとゼリー化している。
レモンのペクチン力は目をみはるほど強い。
ちなみに、私の場合マーマレードを炊き上げる時間は4kgほどのレモンで1時間弱くらい。
その点は、作る量、鍋のサイズ、火力によって異なってくる。
余談だが、果実を洗ってから瓶詰めするまでの全工程において
実際にマーマレードを炊くのにかかる時間は6分の1以下。
下処理までが完了したら、マーマレード作りは終わったようなものである。
炊き上げる時間はどんな種類でも1時間前後とあまり変わらないが、
下処理にかかる所要時間は無農薬の果実を使う場合、その状態によって全く異なる。
逆に言えば、その手間さえ惜しまなければ安全を得ることが出来る。
*このマーマレードの作り方は、あくまでも私が今やっているやり方で、
まるごとゆでて水にさらしてフードプロセッサーで刻んで砂糖を入れて煮るとか、
もっと手軽な作り方もたくさんあります。
「マーマレードの作り方」で検索してみて下さい。
柚子マーマレードの作り方
杜屋定番の本柚子を使った柚子マーマレードは昨年中に作製済み。
本柚子の方が柚子らしい芳香が強くて皮の苦味が少なく柔らかい。
それに比べるとうちの庭にある小柚子は粒が小さめで果汁が多く酸味も強い。
本柚子は毎年県内の柑橘農家さんから無農薬のものを分けて頂いている。
宅急便の箱が着いた途端に芳しい香りが漂う。
中には手の平サイズのとっても立派なサイズの柚子も。
こんな大きな柚子見たことない。
流水できれいに洗ったら、ところどころにあるキズや斑点をひとつひとつナイフで取り除く。
皮ごと使う無農薬の柑橘を使ったマーマレード作りは、この工程は省くことの出来ない大事な作業。
でもその手間さえ厭わなければ、薬の心配のない安全なマーマレードを食べられる。
キズをとってきれいになった柚子の皮をむき、果肉と皮に分ける。
皮は刻んで水につけ、何度か水をかえてさらす。
皮の一片をかじってみて、苦味や渋味が強く感じられる場合は、一度ゆでこぼす。
毎年頂いているこの農家さんの本柚子は、苦味が少ないのでゆでこぼしはしない。
果実によって苦味の強さは異なり、また苦味は強すぎても少なすぎてもよくない。
自分の舌と好みで判断して、苦味をどれだけ残すかは
ゆでこぼしの有無や水にさらす時間を変えて調整する。
果肉はザルの上で絞って果汁と種とワタに分ける。
ワタに水をかぶるくらい入れて中火で加熱し、繊維がとろとろにとろけるまで煮て
ザルでこし、小さな種を取り除く。
焦げやすいのでゴムベラで鍋の底をよくかきまぜながら煮る。
鍋は酸に強い素材のものを使用する。
鍋に、下処理したワタと皮を入れて火にかけて沸騰したら砂糖を3回に分けて入れる。
砂糖は柚子重量の40~50%割合くらい。酸味が強い時は砂糖も多めに。
砂糖を入れ終えた後、とっておいた果汁を加える。
果汁を加えてからあまり強く煮詰めない方が、果実の香りが残る。
マーマレードの炊き上がりにあわせて加熱殺菌しておいたジャム瓶に
なるべく熱いうちに詰めてフタをする。
常温保存を意識せず、すぐに食べきるのなら煮沸殺菌しなくても冷蔵庫に入れておけばそれでOK。
常温保存する場合の煮沸殺菌時間は温度、糖度、量によって異なる。
開封しないでどのくらい日持ちするか、どのくらい月日が経ったら色やとろみ、
味わいがどう変化するかは、自分の観察眼をもって実験してみるのが一番確か。
網焼きパン

いつものことだけど、夕方の微妙な時間にお腹がすく。
そんな時の手軽なおやつがジャム付きパン。
でも、これだけのパンをトーストするためにオーブンを熱するのは電気代がもったいない。
ガスコンロの直火にお餅用の焼き網を乗せ、スライスしたパンをひっくり返しながら弱火で焼く。
フチの焦げ加減がカリッと香ばしくて、中がもっちりして
意外に普通にトーストするよりもおいしいかも。
しかし木のお箸でひっくり返すと、箸が燃えやすいのでご注意を。
指でつまむとヤケドするし。
ステンレスのトングがおすすめ。
分かっているけどまた箸焦げた。
「杜の畑のブラックベリージャム」の作り方
漆黒のツヤが消えかけた瞬間、つまんでぽろっといとも簡単に取れるくらいまで置くと、完熟した黒ぶどうのようにとっても甘くなる。少し赤みが残っていると酸味も残るが、加熱してジャムにする場合はちょっと酸味があるのを混ぜた方がいいような気がする。
2・一粒ずつ点検しながら洗う。量が少なければ冷凍して貯める。
農薬を使わずに戸外・露地で育てたブラックベリー。丈夫で頑強に育つとはいえ、虫や蜘蛛の巣がくっついてないか、泥や砂がついていないか、一粒一粒念入りに点検しながら水洗いする。
無農薬で農作物を育てることって、育てること自体ももちろん手間や知識が不可欠だけど、収穫・選別・洗浄という加工に至る前工程の作業にもそれに違わぬ手間がかかるということが、自分で育ててみて身にしみて分かった。

3・鍋に入れて加熱する。
ちょっと加熱すると果肉がくずれて種を濾しやすくなる。レシピによっては、加熱前にミキサーにかけてから濾す、という手段もある。
熱が入ると黒い色がサーっと赤くなるのは見もの。

4・種を濾す。
ちょっと加熱すると果肉がくずれて種を濾しやすくなる。

5・濾した果肉と果汁を再度鍋に入れて火にかける。
アクを丁寧にすくい取りながら加熱する。

6・沸いたら砂糖を加え、さらにアクをすくいながら加熱する。
砂糖量はブラックベリー自体の酸味と甘味を考慮して、種を濾した果肉の50%程度。
アクは取り切ったと思っても、砂糖を入れるとまた浮かび出る。

7・再び沸騰したら火を止めて加熱殺菌した瓶に詰めて脱気殺菌して完了。
鍋の火を止めて一瞬冷まして表面に薄い膜が張ったら、ペクチンが上手く作用している証。蜂蜜よりもサラサラな状態でも冷めるとしっかり固まる。
ブラックベリーのジャム作りは、以下のような化学実験的おもしろさがある。
・加熱すると黒い色が赤くなる。
・ペクチン力が強いので、脱気殺菌直後はサラサラでも1日経つと逆さにしても落ちないほどしっかり固まっている。
・瓶に詰めると黒く見えるけど実際は赤紫の色。
特に、ブラックベリーのペクチン力の強さはレモンマーマレードに匹敵するほどで、
熱が冷めるとどうしてこんなにプルンとしっかり固まるのか、フシギな程だ。
最後の7の工程で、表面に張る膜を私は「成功の証」と勝手に呼んでいる。
この時点でとろみがつかないからと更に煮詰め続けると冷めた時に固すぎるジャムとなる。
それにしても、果物そのものに含まれるペクチンのその力。
果物が未熟でも過熟でもペクチンの力は弱くなり、ちょうどよく熟した状態の時が最も力が強いという。
「ペクチンの不思議」というテーマで、論文1本書けるのではないかと
作った翌日にジャムを逆さにしながらいつも思うのであった。
甘夏柑マーマレード
甘夏は夏みかんの枝変わりで夏みかんよりも早く酸が抜ける品種。
夏みかんは元々、山口県の海辺に流れ着いた種が発祥といわれる。
その発祥の地、夏みかんの原木を見に行ったことがある。
どこからともなくやってきた一粒の種が今や日本全土に広まっているというロマンに思いをはせる。

甘夏は八朔や文旦、レモンなどに比べて皮の苦味少なめなので作りやすい。
それでも苺ジャムに比べて倍の手間と時間がかかる。
まずは皮をよく洗ってむき、キズや斑点を取り除く。
今回頂いた甘夏は無農薬のわりにとてもきれいだったので、
いつも一番時間のかかるこの作業は楽だった。
皮の内側をうすくそいで厚みをそろえて千切りし、何度か水洗いする。



実はナイフでひょうのうから果肉を取り出し、種は別にとっておく。
ひょうのうを絞って果汁をとる。



皮は一晩水につけておき、味見して苦味が強ければゆでこぼす。
種は小鍋に入れて水をはり、沸騰しない程度に加熱してザルで漉してペクチン液をとっておく。



果肉・果汁・ペクチン液・苦味抜きした皮の用意ができたら炊く準備。
砂糖は甘夏の50%~70%。
砂糖の量を控えすぎるとペクチン作用が働かずとろみがつきにくくなる。
銅鍋は使う直前に塩と酢で洗っておく。
鍋に果肉と果汁半分を入れて加熱し、ほぐれたら皮を入れる。
皮が柔らかくなったら砂糖を3回に分け入れる。



砂糖を入れ終えたらペクチン液を入れ、木ベラでかくと鍋底が見えるくらいになったら仕上げに残った果汁を加えて一煮。
煮沸消毒しておいた瓶に手早く詰めてフタをし、鍋で煮沸して脱気殺菌して完了。
今回はひょうのうを煮出したペクチン液を入れず、種ペクチン液だけで作ってみた。
少量だと種のペクチン液でもとろみがつく。

甘みと酸味、皮の食感のバランスのいい爽やかな味わいのマーマレード。
トーストにもヨーグルトにもよく合う。
金柑マーマレードの作り方
種取りに手間はかかるけど、なめらかで濃厚な味わいで作る価値あり。


1・一粒ずつ丁寧に水洗いし表面の汚れを落とす。ヘタを包丁角で取り除く。
2・横半分に切って竹串等で種をとる。種はとっておく。金柑の正味量を計る。金柑の重量の40~50%量の砂糖を用意する。
3・かじってみて苦味が強ければ、一度ゆでこぼす。金柑により苦味の度合いが異なる上、生食で苦くなくても加熱すると苦味を感じる場合もあるので、2、3粒煮てから苦味具合を味見した方がいいかもしれない。
4・種を小鍋に入れ水をかぶる位入れて弱火で加熱し、ザルで漉す。漉した液がペクチン液。


5・金柑を好みの幅に切る。
6・ホウロウか銅鍋に金柑と4のペクチン液を入れ、水をひたひたに加えて果皮が柔らかくなるまで20分~30分煮る。焦げやすいので注意。
7・指で果皮をつぶしてみて柔らかくなっているのを確認してから砂糖を2、3回に分け入れる。最初から砂糖を入れると皮が柔らかくならない。
8・レモン汁を入れ、鍋底を木ベラでかくと底がやっと見えるくらいまで煮詰める。全てのマーマレードは冷めると固くなる(ペクチン力の度合いと酸度によるが)ので煮詰めすぎないように気をつける。
9・煮沸殺菌した瓶に熱いうちに詰めてフタをし、脱気殺菌処理して保存。
柚子茶のように、熱湯で割って金柑茶もいいです。
フレンチトーストとマーマレード

フレンチトーストにゆるめのマーマレードをとろり。
これもなかなかいけます。
チーズとマーマレード
頂いたコメントは→こちら。

たまたまクリームチーズが余っていたのでそれに八朔マーマレード、ポンカンマーマレード、そして柚子マーマレードの3種をそれぞれのせる。
ちぎったクリームチーズにただマーマレードをのせただけ。
ワインは白。
チリ産シャルドネの1996年ワイン。(何故か398円で投売りしていた。)
クリームチーズとマーマレードだとやはりお菓子のようだ。
意外なほどワインがすすむ。あっという間に1本空。
激安の割りにバニラミルクの香りとスモーキーな香りをほのかに感じ、とてもおいしいワインだった。
八朔は皮の厚みと酸味と苦味のバランスが最もマーマレードに向くのではないかと思う。
ポンカンはそのまま食べると皮の苦味が後から来るけど、チーズに乗せるとオレンジのような香りが引き立つ。
柚子はワインに合わないかと思ったが、チーズと一緒だといけるし香り高さは一番だ。
次は是非マーマレードにカマンベールチーズと赤ワインでやってみたい。
でその次はブリーチーズとまた別のワインで、
そしてブランデー、グランマニエ、コアントローなどなど、際限なさそう・・・。
マーマレードの作り方(レモン編)
マーマレード作りのポイントは苦味の抜き加減と煮詰め加減。
苦味を抜きすぎるともの足りなくなり、煮詰めすぎると固くなる。
1 農薬の心配の無い、新鮮なレモンを入手する。
2 流水で果実をよく洗う。
3 果実の重量を計ってメモしておく。
4 横半分に切り、果汁を絞る。
5 残った皮を縦半分~4等分に切る。
6 皮にキズや斑点がある場合は、ナイフで取り除く。
7 皮の内側の薄皮と白い部分を薄くそぎ、全体の皮の厚みをそろえる。そぎとった部分はとっておく。種は別にとっておき、ダシパックに入れるかガーゼで包む。
8 皮の重量を計る。
9 皮を1ミリ~2ミリ厚さに千切りにし、切るそばから水を入れた大ボールに漬けていく。
10 水をかえながら、皮をもみ洗いする。
11 たっぷりの水に一晩漬けておく。
12 大きい銅鍋(もしくはステンレスかほうろう)の鍋に皮の量の20倍量の水を入れて火にかけ、皮を入れてゆでこぼす。(水の量が少ないと苦味が抜けない)
13 皮をかじってみて苦味加減をみる。苦味が強い場合ゆでこぼしをくりかえす。(レモンの皮は苦味が強いのでゆでこぼし回数は多め)皮を指ですんなりつぶせる位の柔らかさまで煮ておく。
14 7の残った薄皮を水で洗う。(酸味が残るとペクチン成分が流出するため)
15 この薄皮を20倍量の沸騰水でゆでこぼして苦味を抜く。
16 湯を切って新しい水をひたひたよりちょっと多めにはり、沸騰してから弱火で30分ほど煮る。(焦げないように注意。)指でつぶすとズルッととろけるまで。
17 これをザルでこす。こした液体をさらに半量近くになるまで煮詰める。これがペクチン液(ゼリー化させる成分)となる。ペクチン液の分量を計る。
18 皮・果肉・果汁・ペクチン液の総重量が元の果実全形の重量と同じくらいになるように加減する。その60~70%の重量のグラニュー糖を用意し、3等分しておく。(レモンは酸味が強いので、他の柑橘よりも砂糖を多めにする。)
19 前述の鍋に果汁・ペクチン液・皮・ガーゼで包んだ種を入れて強火にかける。
20 浮かんでくる泡(アク)は丁寧にすくう。
21 木べらでまぜながらグラニュー糖を3回に分け入れる。10分~15分、間をあけて入れる。(一度に入れると皮の内部まで砂糖がしみこまない)
22 3回目の砂糖を入れて一煮したらとろみチェックをする。
23 煮上がりにあわせて殺菌しておいたジャム瓶に手早くマーマレードを詰め、フタを軽くしめて蒸し器に入れて脱気・殺菌する。
レモンはペクチン力(ゼリー化する力)が非常に強いので、
苦味さえ上手く抜くことが出来れば、マーマレードを作りやすい。
ただし、ペクチン液は苦味も強いので、全量を入れると苦くなりすぎる場合もある。
私は5kgのレモンでマーマレードを作るのに、苦味抜きした皮、ペクチン液、果汁、砂糖を炊き込む時間は約50分。
「ゆるいかなー」と思っても、瓶詰めして冷ましてみるとしっかり固まっていることがレモンの場合は多かった。
レモンマーマレードはそのまま食べてもおいしいし、お菓子の材料にも使える。
ホットレモネードやレモンティーなど、活用範囲も広いので作る価値は大。
レモンマーマレード紹介記事は→こちら
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