お茶・菓子・果物・野菜・素材・酒・酒菜・肴などについてのひとりごと。http://moriya.chagasi.com
杜の茶菓菜 (もりのさかな)
庭の甘夏柑
うちの庭に1本ある小さな甘夏柑の木。
この5年くらい背丈がほとんど変わってない気がする。
同時期に植えた花柚子は、あっという間に物置の屋根を越えるほど大きくなったのに。
木のサイズに対して実をつけ過ぎているせいかもな。これでも摘果したのに。
今年もぶらぶら実った果実がだいぶ重みを増して枝がたわんできたのでやっとこさ収穫。
今年はちょっと小ぶりだけれど、香りもよく爽やかな果肉の味もおいしい。
自家栽培「杜の畑の甘夏柑マーマレード」は酸味と甘味、ほろ苦味のバランス良く軽やかな味わい。
製造記録ノートを読み返したら、ちょうど1年前も全く同じ日に甘夏柑マーマレードを作ってた。
何となくもうそろそろやらなくちゃ~という気配が木から漂ってくる今日この頃。
花
春爛漫。
庭の杏、梅、紅梅、プラムが終わり、お次はボケと木苺、ムスカリの花が次々と開花中。写真は庭のボケ。
一昨年お隣に新しく引っ越してこられた奥様はとてもお花のお好きな方で
うちの玄関までの通路の横が常時季節折々の花々であふれていて嬉しいやらありがたいやら。
今日は恒例のボランティアへ。毎週1回1時間だけと決めて続けて早や10年以上経つ。
毎年年度末にボランティアに対して感謝の集いがあったのだけど
いつの間にか継続しているのが私だけになってしまったとのことで
ボランティア作業の合間に、お花のアレンジメントをプレゼントして頂いた。
年をとってもお花をもらうってやっぱり嬉しい。眺めているだけで気持ちが和む。
皮膚感
![]() |
第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界 |
クリエーター情報なし | |
朝日出版社 |
読みたい田口ランディの本が地元の図書館にはわずかしかなかったので
半年ほど前からは市内5カ所の図書館蔵書をネット予約してから借りに行っていた。
予約した翌日か翌々日には入荷のお知らせがメールで届くので便利に利用していたが
久々に事前予約無しでふらりと図書館に立ち寄る。
シンプルな迷路のような棚の間をするすると歩きながら
そういえば先月テレビでやってた今ブームのアドラー心理学の本ないかな~
とふいに思い立って心理学コーナーに行くが見つからない。
好きな作家、興味のある本以外の本を借りるきっかけは?
ずらりと並ぶ格式ばった本の中で背表紙がキラリと一瞬ひかり、
これ読んでみてーとかそけき声が聴こえるような本がたまにある。
とりあえず手にとってぱらりとめくり、興味を持ったら借りてみる。
それがこの本。「第3の脳-皮膚から考える命、こころ、世界」。
化粧品会社に勤務して皮膚の研究をしていた著者の話は
私が好きな田口ランディの物語にも通ずるような、皮膚感覚、肌に存在する心、
頭の中にある脳の前に指先が判断している、という話にとても興味をひかれた。
人間の持つ五感、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のうち、
四つを失い、どれかひとつだけ残すとしたら?
触覚を失ったら生きることが出来ない。
それにしてもたまにこういうサイエンス本を読むと、
これだけ進歩しているように見える科学万能世の中でも
いまだ解明されてないことって結構いろいろあるんだな~と思う。
「第2の脳=腸」「第3の脳=皮膚」について、そして腸内細菌、体表常在菌や微生物の働き。
楽しみ
![]() |
蛇と月と蛙 |
田口ランディ | |
朝日新聞出版 |
気がつけば前回ブログ更新してから10日も経ってしまった。
春分過ぎて庭や畑の草木の新芽がぐいぐい伸びてきた。
先週もけっこうな量の焼き菓子作ってたし、また保健所行って新しい営業許可証もらってきたり
地元小学校の卒業式に出たり友人と夜カフェしたりオットの誕生日祝いしたりとささやかに充実してた。
久々に外のお店で女子トークしてたら「杜屋さんの楽しみはやっぱり読書?田口ランディ?」と聞かれた。
楽しみか~確かにお菓子作りジャム作りと庭畑作業という仕事に関わること意外の楽しみって
今は読書くらいしかないかな~最近映画館もほとんど行かないしDVDレンタルもしないしな~
図書館と本屋に行くこと意外の楽しみって何かあったっけ・・・
先日磐田の保健所へチャリで行った時、ついでにその先の磐田図書館まで足を伸ばした。
とりあえず田口ランディ本コーナーを眺めてみたら、うちの近所の図書館ではお目にかかれない位
ずらーりと著書が並んでいたけれど、よく見たらほとんど全て読んでいた。
市内図書館間のネット取り寄せで読破。
私が田口ランディにはまるきっかけになったのは、尊敬する内田樹先生のエッセイの
「田口ランディさんの”モザイク”という小説の中に出てくる合気道家のお祖父さん」
の話がきっかけなのだけど、代表作「コンセント」「アンテナ」「モザイク」の長編3部作よりも
それ以後に書かれた小説のほうがおもしろかった。
それにしても田口ランディさんのツイッターの、まるでお坊さんのような生きるヒント的の
慈悲深い言葉からは想像しがたいほど著作にはキワドイ表現が多々あるので、
「田口ランディにはまってる」とブログで公言するのも憚られる気がする。まぁ今さらどうでもいいけど。
私はひとりの作家にはまったら、大体1年間その作家の著書ばかり読むことが多かった。
遠藤周作、高橋克彦、石田衣良、宮部みゆき、そして田口ランディ。
磐田図書館に並んでた本でまだ読んでなかった「蛇と月と蛙」短編集。
この1冊には著書のテーマが粋のように詰まっている。
生命と死、目に見える命と目に見えない命、テレパシー、皮膚感、身体感覚。
命の「働き」というもの。それに魅かれて田口ランディ本を読み尽した。
味噌は新月に仕込むと美味しくなる。そういう話はやっぱりおもしろい。
芽吹き
5年前と同じ、自宅の中でひとりで過ごす3月11日午後。
あの日と同じ金曜日、同じ寒い日。
言葉にならない思いはあれど、平穏な今日という日に感謝と祈りを。
写真は新芽を出し始めた畑の桑の木。
秋に落葉し、枝だけで冬を過ごし、春に芽吹く。
落ちた葉は土を肥やし、木に栄養を与える。
1年のサイクルを繰り返す植物達の季節折々の変遷、
特にこれから4月にかけて清らかな緑の新芽が毎日伸びる様は神々しいほど。
毎年同じ1年に見えても、木の身長は1年毎に少しずつ大きくなっている。
1年毎に年輪が増えるように、ゆっくりとでも確実に新たな街へ再生することを願ってやまない。
ナミヤ雑貨店の奇跡
![]() |
ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫) |
クリエーター情報なし | |
KADOKAWA/角川書店 |
これはおもしろかった!あまりにおもしろいので最後まで読み終えてまた最初から読んだ。
東野圭吾は昨年末からまだ数冊しか読んでないけれど、これは傑作。
小さな雑貨店を営むお爺さんが地域の子供達のたわいのない悩み相談に答えているうちに
いつしか深刻な悩み相談が来るようになる。
相談事を書いた手紙をナミヤ雑貨店の郵便ポストに入れておけば
翌朝までに裏口の牛乳箱の中に回答を入れておいてくれる。
夜逃げ一家の男の子は、その後どんな仕事についたのか。
水商売で稼ごうと画策していた女の子は、どうやって乱世を生き抜いてきたのか。
魚屋に生まれたミュージシャン志望の男は、この世界に何を残すのか。
妻子を持つ男の子供を妊娠した女は、子を産むかどうか悩んだ末にどんな選択をしたのか。
時間、空間を飛び越えた話の行き来に頭の中の想像世界が鮮やかに広がる。
悩み相談に来る人は、心に穴が開いていて大事なものがそこから流れ出ている。
悩み相談に来る人は、大抵答えをすでに自分で持っている。
悩み相談の回答をどう人生に生かすかは、本人の気持ち次第。
ひょんなことからお爺さんの代わりに相談を受ける側になった少年3人の回答に爆笑しつつ
それぞれの登場人物の縁、交差にひきこまれる。
なぜみんな児童養護施設の丸光園に関わりがあるのか?答えは空の上からの祈り。
最後のエンディング、白紙の手紙に対するナミヤ爺さんの希望に満ちた解釈の回答が素晴らしかった。
人生は、どんな態度で立ち向かうか、どんな姿勢で取り組むかが大事。
絶望のどん底でも希望と感謝に満ちあふれ、光輝く。
庭の杏の花
1週間ほど前から咲き始めた玄関前の杏。
桜に似た薄ピンクの可憐な花がとてもきれい。雨にも強風にも負けず毎日次々と咲いている。
枯れ葉が地面を覆ってモノトーン中心だった庭の様子もこの一月で様変わり。
杏と梅の花が咲き、木苺の新芽がぐんぐん伸びてきた。
この冬は猫の額ほどのうちの庭でレモン、花柚子、シークワーサー、そして金柑まで収穫出来た。
あと残すは甘夏柑。これもそろそろ採らないと果実の重みで枝がたわんで木がつらそうだ。
例年だと今頃は、連日の柑橘マーマレード作りとバレンタインからホワイトデーにかけての大量のお菓子作り、
昨年までは暮らしの菓音イベント企画も3月にやっていたのでその準備と実行で
自分のご飯の支度すらままならないほどの忙しさで、
やってもやってもやることが山積している徒労感で疲労困憊し
大体冬期間に最低一度は(去年は菓音の1週間前)風邪ひいてバッタリ寝込んでいて
日記にも「つ、つ、疲れた~~」とよく書いていたけど、今年は体調だけは万全。
うららかな春の日差しを浴びながら庭の杏の花をぼーっと眺める位の気持ちの余裕がある。
でもさすがにホワイトデー前のご注文がたて込んできた。
大事なのは集中と弛緩。お昼ごはんを食べると眠くなるので、
午前中お菓子を焼いて午後は包装とラベル貼りやメール返信など事務作業。
合い間にコーヒー飲みながら庭散策。ラジオや音楽聴きながら夕飯のおかず作り。
夜にお風呂に入りながら読書して、ストーブであたためた湯たんぽだっこしてぐっすり眠る。