金柑種取り

ひたすらひたすら金柑の種取り。

毎週１回、わずかな時間だが近所の福祉施設へボランティアに通っている。
今日行ったら、施設の職員さんが非常に恐縮した面持ちで
「最近不況のせいで仕事ががくんと減ってて、ボランティアさんに
やってもらうと、利用者さんの仕事が無くなってしまうので・・・」
申し訳ないけどせっかく来てもらっても手伝ってもらうことがない、ということを丁重に説明された。
不況の荒波はこんなところへも押し寄せている。
「私もこのところ本業が忙しいので～それじゃ適当に折を見てまたうかがいますね～」
３０分だけお手伝いして、そそくさと戻ってきた。

帰宅して、金柑マーマレードにするための金柑を半分に切り、
竹串を使って中の種を一粒一粒取りのぞく作業をしながら、思った。
福祉施設でやる仕事が減っているなら、逆に施設の方にうちに来て仕事してもらえればいいかも・・・
金柑の種取りのような、こういう細かい地道な手作業こそ知的障害者の方にむく仕事かも・・・
一般の人は１ｋｇやると「もうだめっ」と投げ出してしまいたくなるような、
根気と集中力を要する作業だ。

余談だが、私はかつて「福祉」の世界に全く接することなく生きてきた。
子供の頃、私が最もなりたくない職業は「保母さん、幼稚園の先生、看護婦さん、スチュワーデス」だった。
人の世話をすること、他人と接することが私にとって一番苦手なことなのだ。
時が流れ、後に私のお菓子作りの師匠となって下さった方は、片足に障害を持っていた。
その師匠いわく「自分の持っている能力、時間、財産、労働、そのうちの１％でいいから福祉のために使いなさい。」

６年前に静岡のこの地へ引っ越してきてみたら、自宅の道向かいに知的障害者の方の福祉施設があった。
「あの建物って一体何？」
お隣さんが、そこでボランティア活動をされていた。
「私もやってみようかな～」そんな軽いノリで始めて、早４年が経つ。

施設に行く曜日と時間を決めて、その時間以外は極力関らないのが私のボランティアのやり方である。
「１％」を達成しているかははなはだ疑問だが。
以前、一緒にボランティアをしていた方がぽろっともらしていたことがある。
「暇な時間とか、空いた時間とかでボランティアしたいな～とは思うんだけど、
長い時間拘束されたりとか、その他の仕事頼まれたりとか、
ボランティアの役員頼まれたりとか、そういうことを考えるとおっくうになっちゃうんだよね～」
同感した。

毎週１回、この時間だけ。と決める。
周囲が忙しそうでも、その時間になったら絶対作業を止めて帰る。
そう決めたからこそ、続けてこれたのかもしれない。
週一回のわずかな時間も積もれば山となる。
ボランティア先で知り合った方の、お庭に実った金柑の実を分けて頂き、
その下処理作業をしながら思った徒然。

お声

海外在住の方からお電話を頂いた。
なかなか渋いお声の男性の方。
私と同じ市内にお住まいの、ご親戚から私のジャムを送ってもらったそう。
「今はかぼすマーマレードを食べてます。実にうまいっ」
その一言を耳にした途端、まるで背中に羽が生えたかのように心身が軽くなった。
たまった疲れが一気に消え去ったよう。
ヒトの体って不思議。そして単純。単純なのは私のいいところ。

お気に入りの店・６

十代の終わりの頃、電車での日帰り一人旅に凝った時期があった。
仙台在住の頃の話。
当時、ＪＲ東日本に「ウイークエンドフリーキップ」というのがあった。
１枚￥１６０００で週末土日の２日間、新幹線を含めたＪＲ東日本全線乗り放題の切符だった。
仙台から東京往復するだけで、普通新幹線で￥２００００くらいかかる。
父が仕事で、土曜日だけ日帰りで東京に行くことが月一回ほどあり、
ウイークエンドフリーキップが販売されてからは毎回それを使って東京出張していた。
土曜日の朝に仙台を発ち、夜に帰宅する父からその切符をタダで頂戴し、
翌日曜日それを使っていろんなところへ出かけた。
始発で出発して最終で帰宅する一人旅。
東京でケーキ屋をはしごすることが多かったが、秋田新幹線で角館へ桜を見に行ったり、
青森の下北半島の先っちょに行ったり、鎌倉散策の後逗子まで足をのばしたり、
御殿場で富士山を見ながら温泉に入ったり。
毎回朝６時頃仙台発の新幹線で出かけていたが、時刻表を見ていてふと気付いた。
土曜日の夜に帰宅する父を仙台駅で待ちうけ、切符を受け取って
そのまま夜行列車に乗れれば、もっと遠くまで行けて時間を有効に使えるかも・・・

仙台駅改札口でリレーのバトンのように東京から戻ってきた父から切符を受け取り、東京行きの新幹線に飛び乗る。
新宿を夜中に出て、松本へ向かう電車がある。
その電車内でぐーすか寝て、朝目覚めればそこは異郷の地。

長野県松本市は歩いて散策するのが楽しい町。
陶器や木工などの工芸品を扱うお店も多く、私のクラフト好きはここに端を発する。
町並みになじんだ蔵作りのお店を巡ったり、松本城に行ったり。
「一人で楽しいの？」と姉などに言われたが、足の向くまま気の向くまま好きなところへ行けるのが楽しかった。
そしてその町に古くから根付いているような、喫茶店に入るのも楽しみのひとつ。
少し緊張しながら初めて入るお店の扉を押し、コーヒーを飲みながらポケットサイズの時刻表をめくって帰りの時間を決める。

先々週、スキーで長野へ出かけた帰りにふらり松本へ立ち寄った。
１０年以上前に一人で訪れた川沿いの喫茶店「まるも」。
どれだけ時が流れても変わらない空気というものに憧れる。
変わらないものは何一つないと分かっていても。
今回も若い女性の一人客や年輩の男性グループなど、様々な先客がいた。
確か昔訪れた時は「バタースカッチブラウニー」とコーヒーを頼んだ。
ブラウニーはココア風味のものだけになっていたが、
一口サイズのこの小さなブラウニー、ふた切れ￥１５０がコーヒーのお供にぴったり。
まるで生キャラメルのようにみっしりした生地にたっぷりのくるみがちりばめられて、
しっかり濃厚な甘味を酸味強めのコーヒーがさらりと流してくれる。
ふう・・・と息をつきながら、心からくつろぐ旅先でのひと時。
一人もいいけど、人と一緒に喫茶するのもいいな～・・・
かつてここを訪れたあの頃は、静岡の人と結婚するなんて夢にも思わなかったな～・・・
旅先で一杯のコーヒーを飲みながら、頭の中でタイムスリップを楽しむ。

杏の花開花

バレンタインのお菓子を取りに足をお運び下さったお客様と
決まり文句のように「今日はほんとあったかいですね～」
と言葉を交わす、ぽかぽか陽気だったこの週末。
庭の杏の花がほころび始めた。
桜によく似た可憐な薄ピンクの花に、チュチュチュンと野鳥が集まる。
「この実を使って杏ジャムを作るんですよ～」
「いつごろ実がなるんですか？」
「大体６月末から７月にかけてくらいです。」
「じゃあまたその頃狙って杏ジャム買いにきますね。」
なんて、杏の木を指差しながら玄関先でお客様とお話する。

怒涛のバレンタインウイークも無事終了。
限定商品「ショコラ日和セット」はいかがでしたでしょうか？
先週は、あまりにもやることが多すぎて気が遠くなりそうでしたが
喉元過ぎれば熱さ忘れる、とはよく言ったもので
次の企画セットの中身や名前を考え中です。

今回は「ショコラ日和、なんて名前がいいですね。」
「ほのぼのした感じです。」
「杜屋さんらしいな～と思います。」
などと、ネーミングを褒めて下さったお客様が複数いらした。
ふふふふふ。うれしいです。
まず名前＝コンセプトを決めて、それにそった内容を作っていきたいと思ってます。



バレンタインのお菓子を全てお渡しし終えた夜、
春野町のキウイ農家さんところに行ってジャム用キウイを仕入れてきました。
酸味の強いプリンセスキウイと、味の濃いグリーンシルキウイの２種類。
農薬を使わずに栽培されたキウイのジャム、近日中に販売開始予定です。お楽しみに。

それにしても、直接お客様とお話することってやっぱり大事かも。
ショコラ日和セットと一緒にレモンマーマレードをお買い求め下さったお客様「杜屋さんのレモンマーマレードってほんとおいしいですよね。友達にもプレゼントして宣伝してるんですよ。」
「酸っぱいジャムが大好きで、レモンマーマレードと杏ジャム、そして杜の畑のゴールデンベリージャムにやみつきです。」
「酸っぱくないジャムが欲しいんですが、今在庫ある中だとどれですか？」
「前に買ったウイークエンドが私には少し酸味が強かったので、レモンじゃないジャムでウイークエンドを作ってもらうことって出来ますか？」
嗜好品である甘いモノ。その中でもお客様のお好みというのははっきり分かれる。

今回初めてお越し下さったお客様も多かった。
「ちょっと道に迷ったのですが杜屋さんのカタログ持ってくるの忘れて、電話するにも番号が分からなくて・・・でも、前の道路からのれんが見えたのでここかな～と思いました。」
「来る前にブログでのれんの写真を見たので分かりました。」
「看板は出さないんですか？」
「看板無しのこの隠れ家っぽいのがいいですよね。知る人ぞ知るって感じで。」
のれんが予想以上にお役を果たしてくれた。

「前回の「クリスマスおやつセット」を逃したので、今回の「ショコラ日和セット」は絶対買おうと思って、会社のトイレから電話しました。会社からだと私用のメールは使えないので。「注文はメールで」って書いてあったけど電話でも良かったですか？」
「いつも仕事から帰ってきて夕飯食べて、夜に杜屋さんのブログを見るので、前回は見たらもう受付終了になってて残念でした。」
「ネット通販の限定の福袋とか、夜９時とか１０時とかから受付開始っていうのが多いんですよ。主婦だと、子供を寝かしてから夜ゆっくりパソコン見る人が多いんですよね。」
今回のショコラ日和セットは、夜１０時過ぎに公表して翌日夜１１時で締め切った。このパターンの方がいいかも。
「ご注文はメールで承ります」と明記してますが、ファックスやお電話でご注文下さった方もちらほら。
メールだと、数やご住所の間違いがないのでそうしてますが、ファックスやお電話でもかまいません。
ただし作業中は電話に出られないことがあるため、その間で受付終了になってしまったら申し訳ないので、留守電にメッセージを入れて頂ければと思います。

ジャムの空き瓶をお持ち下さったお客様も複数。
「ロミパンさんでちょくちょく買ってるんです。」とたくさんの空き瓶。
空き瓶をお持ち頂ければ、ご注文の代金からわずかですがお値引きさせて頂いてます。（杜屋のジャム瓶に限ります。）
「ロミパンさんで杜屋さんのジャムとお菓子を買ってます。いつも売り切れちゃうので、第二金曜は仕事半休して買いにいったりしてるんです。」
「ロミパンさん、こないだお昼過ぎに行ったら「パン全部完売しました」って黒板が表に出ててびっくりしました。」
「開店前にお客さん並んで待ってましたよ。」
「いつもは主要なのだけ電話で予約して、後はお店に行って並んでるパンから好きなの選んで買ってるんですけどね。今日も今からロミパンさん行くのですが、今回は買いたいもの全部取り置きお願いしました。」
ロミパンさん大ブレイク中！？
ここんとこ、ジャムの納品もオットに通勤中ロミパンさん開店前に届けてもらっていて、ロミパンさんとはメールでやりとりするだけだった。
そんなに大変なことになってたとはお客様から聞くまで知らなかった。
静岡新聞に折り込まれていた「ぐるまる探偵団」に掲載された直後からだそう。すごい影響力。
そういや、また全国誌のパンの本にも掲載されるって言ってたな～
それってそろそろ発売だったっけ？聞いてみよ～っと。

それにつけても、色々なご感想やご要望をお客様から直接教えて頂くと本当に勉強になります。
ありがとうございます！

せつなさ

「よしっ！これを作ればバレンタイン用のお菓子作りは終わりだー！」
と言って焼いた最後のお菓子が失敗したこのせつなさ。
平静を取り戻して作りなおす。

パワーの源

今週は、ホールのガトーショコラなどバレンタイン用のご注文、
ロミパンさんへの納品にショコラ日和セット作りの３つが重なって、コワイほど忙しい。
忙しいのはやらねばならぬことが多いということだが、
それに加えて「緊張感」が増すので、精神疲労度がアップする。
ショコラ日和セットのお菓子の数は足りる・・・？セット数間違ってはいない・・・？発送日に間に合う・・・？
少数ずつ毎日コツコツ作るのではなく、あまり日持ちのしないお菓子を限られた日にちで
多数作るというのは、普段とは違って頭脳的神経を酷使するハメになる。
でもだからこそ、マンネリ化しがちなところから少し離れることが出来る。



あ～～それにしても肩こった～～
なんて体をぼきぼきいわせていた昨日、思いがけず県外のお客様からお手紙付きで贈り物が届いた。
「近くのドイツ菓子とパンのお店で、この時期だけ作っている焼き菓子です・・・」
じ～～～ん・・・・・・涙が出るほど感激。
このお菓子。半分チョコレートがけしたハート型のクッキー２枚でガナッシュをサンドしてある。
手の平よりも大きいそのサイズが迫力満点。
確かにこれはお客様のおっしゃるとおり、カロリー高いだろうな～と思いつつ、がぶりかぶりつく。
外側のチョコがパリッ、クッキー生地がサクッ、中のチョコがしっとり、
後からほのかなレモンの香りが口の中に広がって、うーん、これはおいしい～～！
もう少し食べよう。ぼりぼり。もう一口。ぼりぼり。・・・
無心でかぶりついてはっと気づいたら、残りわずか一口分。
こんなに大きいお菓子を１人で一気にこんなに食べてしまった。
でも、やっぱり全部食べきっちゃおう。
そして、疲れた体と頭にパワーが充満。よしっ。もう少し頑張ろう！
お送り下さったＯ様、本当にありがとうございました！

★本日、「ショコラ日和セット」送付分全て発送致しました。
メールでご注文頂いた方には、宅急便伝票番号をお知らせしています。
明日到着予定です。どうぞお楽しみに。

のれん

今日１２日から「ショコラ日和セット」のお渡し開始。
目印代わりに、玄関前の先日作ってもらった屋根にのれんをぶら下げてみました。

働く

「ほんとによく働くな～私。」
と、自分で自分にむかってつぶやく日々。

「ショコラ日和セット」ご予約終了します。

「ショコラ日和（びより）セット」２月４日午後１１時をもちましてご予約受付終了します。
たくさんのご注文本当にありがとうございます。
メール頂いた方には、必ずこちらから確認の返信メールをお送りしています。
もう少々お待ち下さいませ。

＜確認事項＞

◆ご指定のない限り簡易包装とさせて頂きます。
２セットご注文の場合、まとめて一箱の梱包箱にお入れして発送致します。
（お持ち帰りの場合は１セットずつ紙袋に入れた状態でお渡し致します。）
贈り物ギフト箱入れラッピングご希望の場合、一箱につきプラス￥２００頂戴致します。

◆宅急便発送日は２月１２日・１３日のみで、
到着日は発送日の翌日（北海道・南九州は翌々日、離島はさらに数日）となります。
直接お受取の場合は、１２日・１３日・１４日のいずれかとなります。

「ショコラ日和セット」ご予約受付開始します。

★ご予約受付終了しました！

バレンタインにちなんだ、チョコレートを使った焼き菓子のセット
「ショコラ日和（びより）セット」を来週２月１２日・１３日・１４日限定販売します。
詳しくは→こちらをご覧下さい。

★お作り出来る数に限りがあります。予定数に達し次第ご予約受付終了します。