FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



さて、月曜日からの予測である。数日のドル高はまず問題ないと思う。ユーロドルや豪ドルが続落する展開だ。ただし、コメントでもご指摘があったように16日のFOMCで何らかの転機があることは予測される。それがどちらの方向かは、現状では皆目見当が付かない。気をつけていくしかないだろう。

その後は、ドル高・円高を予測していたが、どうも思ったよりリスク懸念が弱く、ドル円が上昇してきている。この傾向がいつまで続くかも予測しにくいので、ドル円は短期の動きについていくだけである。円高に進めば84円以下を再度試していくこともあるだろう。まずは14日のドバイ企業債務の問題を注目していこう。

最後に、問題のドル高であるが、もし金価格が年末から大きく反発するというテクニカル予測が当たるならば、どこかでドル高は一段落して、ドル安が再発しなくてはならない。現状ではなかなか考えにくいが、金価格のテクニカルからは、そうなると思う。自分としては、現在のドル高のテーマは、再度ドル安のテーマに置き換わり、年度内は金の上昇が続くという方に重きをおきたい。したがって、金の底値は1060ドル程度までという予測にもとづき、年末にかけて徐々に金は分割して買っていく。ただし、底を確認するまでは分量は少なめである。ユーロドルの買いは反転を見越してからでもいいだろう。テーマの動きは、ドル高→ドル安→ドル高とめまぐるしく変化する、と見る。
 
ただし、ドル高・ドル安それぞれの動きに論拠があり、どちらが強く出てくるかは予断を許さない。今回の雇用統計のように、突然のドル高の浮上により、利上げが実施されるというようなことも可能性としては排除できない。前にも書いたように、このあいだのドバイ問題発生からは、サブプライムに発する世界経済危機の第二幕に入ったという認識である。非常時であるから、何が起こっても不思議ではないと思っている。経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)はどうか、市場の現在のムード(テーマ・空気)は何か、値動きの変動のパターンはどうか(テクニカル)を繊細に分析することで、自信のあるトレードを目指したいものである。


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昨日の記事についてコメントでダンボさんから質問をいただいた。若林氏のように3月に米国の利上げがあると予測している人もいるが、どうなのか?ということである。これについては、ありうると考えている。昨日のエントリーでは「利上げは夢物語」と書いていたではないかと思われるかもしれないが、それが「テーマ」の持つもうひとつの側面だ。
 
「テーマ」は、別名「空気」ともいう。「空気」にはそれに反し難い力があるということは、山本七平(イザヤ・ベンダサン)の名著『空気の研究』(文春文庫・第二次大戦中の日本などを例にした「空気」についての政治学的研究)に詳述されている。かつて、日本が「大東亜共栄圏」という空気(テーマ)に突き動かされて、経済のファンダメンタルズを無視して、無謀な戦争につき進んでいったのは、今ならば、山本氏の指摘のように誰もがその無謀さを理解できることだ。しかし、その当時に、それに反する言動をしたものは、「空気読めない」わけで、それを当時は「KY」どころではなく「非国民」とまで言われたのである。それほどに、時代の「空気」というものは人を盲目にするし、恐ろしい力がある。悲惨な結果を招いた多くの戦争の背後にそのような時代・地域の「空気」があった。近いところの例では、9.11の後のアメリカの「空気」と、その後の中東戦争との関連を考えるとよくわかることと思う。

今回のアメリカの「ドル高」テーマも、経済回復指標・FRBの資産劣化・FRBへの議会の不信などいろいろな周辺諸条件があり、バーナンキが利上げ(その他の出口戦略)を実行しないと言えば、それが逆に「空気読めない」ことになってしまう可能性もある。ヘリコプター・ベン(空から紙幣を撒く)のあだ名を持つバーナンキが無理やり出口戦略(ヘリコプター停止)を行わせられることになるか、あるいは、彼が議会の圧力によって辞任させられるというようなことも十分にありうるだろう。そして、もし春に利上げがあれば、超ドル高、株・商品各種市場の崩壊につながるだろう。いずれにせよ、この「ドル高」テーマの行方については十分に考えておく必要があると思っている。それと合わせた中長期の相場予測についてはまた夜にでも時間があれば書いてみたい。



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