FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



ようやくドル円が上がってきてポジションがまともになってきたかと思ったら、強烈なドル安となってまたもや81円台に逆戻りとなってしまった。ドル円は90円を割ったあたりから性質が大きく変わった。100円前後までは、リスク回避の円買い、リスク選好の円売りという典型的な動きが比較的短い周期で巡ってきており、株価との連動性も高かった。これは、定常的な円売り(ドル円やクロス円買い、いわゆる「円キャリートレード」と言われたもの)があってそのポジションが絶えず変動していたものと思われるが、現在はそういう意味での円の積極的なトレードはあまりないようだ。むしろ、短期の動きは、ドルの上下(たとえばドルインデクス)に連動して動いており、そういう意味で、ドル円も、ユーロドル・ポンドドル・ドルスイスフランなどのドルストレートペアの一種となったと言えよう。

クロス円は、こうなると、円そのものと、ユーロや豪ドルとの関係を直接に映すものと見ることができる。豪ドル円などは今週、大きくは下がらなかったし、スイスフラン円などは非常に安定高値(円安)である。そういう意味で、中期円安トレンドは変わっておらず、ドル安によってドル円のみが下降した1週間であった。

さて、そういうことで、原油高によるドル安に牽引されて大きく下げたドル円であるが、NY株価が復調すれば、ドルもやや高くなり、クロス円の円安にもひかれて、ドル円の上昇基調に復帰すると考えている。ただ、それよりもさらに大きな動きである本年から来年あたりに起きるだろう大きなドル安(米国ソブリンリスクがらみ)があり、それらで上下から挟まれた形となっており、ドル円が年内に88円を超えるかどうかは微妙だ。夏前に86円というところを前からの目標としているが、到達できればよいのであるが。
 
中長期的に見れば、サブプライム以前の相場のように、リスク回避で大きく鋭い円買いが起きるということはもう数年(ドル円が100円を超えるまで)ないだろう。あの円買いは、むしろ円売りポジションの損切りという側面が強かった。クロス円においてはさらにそうだ。ということで、今年か来年にNY株価が大きく崩れてドル安になり、ドル円が下がることがあるだろうが、クロス円における円買いは強くはないだろうと想像できる。もしドル円につられてじりじりと下がることがあれば、大きなチャンスだ。豪ドル円、キウイ円、スイスフラン円などは長期チャートをよく見て、ドル円75円あたりの時に大量買いすべきだと思う。そうすれば、十年以内には円売りが定常的になる、FXスワップ派全盛期がまたやってきて、安定的な収益が得られるポジションになるだろう。今年から来年のFXで一回だけトレードを許すと言われれば、そのクロス円買いがベストのトレードではないだろうか。




コメント ( 13 ) | Trackback ( )




リビア情勢の悪化が伝えられるにつれて、ミニ危機めいた様相となってきた。株価が下落し、円も若干買われている。金も債券も買われている。ということで毎度おなじみのリスク回避相場であるが、ちょっと気になる点がある。それは今回、ドル安になっていることである。一般に株安は現金化であって、ドル高になるのが通例なのに、今回はドル安・ユーロ高となっている。その理由は何だろうか。
 
これはちょっと考えれば、原油高が今回の問題の焦点であるからだとわかる。原油高は、ユーロ高やポンド高を招きやすいからだ。しかし、それは実は表面的なことに留まる。
 
今回のリビア危機はもちろん単独で起きたものではない。チュニジア・エジプトに起きた「革命」、バーレーン、イエメン、イランなどの争乱に続く、中東世界の地政学的な大きな変化の動きの一環である。これを数年前から予測していたLEAP/E2020のサイトでは、今回の動きの先にあるものをGEAB52号で予測している。それによれば、当然、この動きはサウジアラビアに波及するものだ。そして、それがすぐに王政が倒れることにつながらなくても、サウジの米国への不信感の増大という形をとってくると予測する。(親米政権のムバラクが、なすすべもなく、民主化プロセスによって打倒され、米国の助けもなかったことはサウジにとっては非常な驚きと打撃であった。)そして、その不信感が形をとり、サウジアラビアの原油取引がドル建てでなくなる時に、米ドルの大幅な減価が起きるとする(LEAP/E2020はそれを「ベルリンの壁の崩壊」に習って、「原油ドルの壁の崩壊」と称する)。
 
今回のドル安の背景にあるものは、そのような将来の動きのミニマムな先取りだと思う。ドル建ての原油取引というものは、中東産油国と米国との間に微妙な政治的・経済的バランスを保つ重要な要素であった。その政治的なバランスが崩れそうな現在、ドル建ての原油という、ドルの価値を支える非常に大きな要素も変化せざるを得ないのだ。もちろん、それは、今日明日ということではない。だが、10年先というほど将来のことでもないのではないか。
 
金や原油の大幅な上昇をともなったドル安が、数年のうち、あるいは年内にも、大規模に起こる可能性を、今回のミニ危機はかいまみせてくれるのだと思う。





コメント ( 13 ) | Trackback ( )




画像はGOLD/CRB指数レシオの日足であるが、2月に入ってからのゴールドの上昇に伴って、上昇を開始した模様である。このレシオ(比)は金価格をCRB指数で割るということだが、要するに、様々な商品価格の中で金の実質的な価格が割高か割安かを見ていることになる。金が割高になる時とは、要するに、人々が「危ない時には金が安全」と考え出したということだ。このところ半年以上下げ続けていたのが逆に動き出した点は見逃せない。

GSR(ゴールドシルバーレシオ)はどんどん低下していて、銀の方が金よりも上昇率が高いため、このGOLD/CRB指数レシオは見逃されやすいが、こちらも重要な数値であると私は認識している。GSRは単純にリスク選好相場の指標であることが多いが、このGOLD/CRB指数レシオはちょっとそれとは違う動きをする。さらに鋭敏に金に対する人々の志向を示すため、これが上昇を初めたということは、この現在の株・商品の上昇相場に黄信号が点いたということを意味するのではないか。

あと半年間もこの株の動きが継続するとは思えない。まずは軽い崩落がこれから数ヶ月のうちに見られるものと思う。もう少し、このレシオを観察していきたい(左のリンク集に入れてあります。)





コメント ( 2 ) | Trackback ( )




銀がついに1オンス32ドルを突破した。あきらかにレジスタンスを抜いたと思われる。このあと数ヶ月で40ドルを目指す動きと言える。その他、綿花・ゴムなど猛烈な高騰になっている。これら、たしかに需要増の側面はあるとは思うが、銀はどうだろう?やはりQE2による通貨インフレの影響は大きいのではないか。

株も上がり、ドルキャリーでドル安になっている。債券も買われているようだ。まさに何もかも上がる相場(ドル以外)と言えるだろう。

ドル円はドル安のために今日は下げ気味だが、円安が基調となっている動きなので、おって上昇する見込みだ。今日の83円では買っておいた。ここにきて、ようやく持ちロングポジションのドル円、豪ドル円がなんとか形になってきたが、まだ押し目もあると思われる。もう少しは買っておきたい。その後、ドル円も豪ドル円も86円を超えたところあたりから利食いしていきたい。2月末から3月初めくらいになるだろうか。


コメント ( 21 ) | Trackback ( )




久しぶりにダウを見て見よう。これは月足だが、RSIを見て見ると、まだ70には達していない。(日足・週足はすでにRSIが70越え)。前回の大暴落直前にはご覧のように、数回、月足でRSIが70を超え、それを何回か繰り返したところで最後の暴落に至った。
 
ということで、今回も似たような状況が起きるとすると、まだしばらくは株価上昇が続くという仮説は十分に成り立ちうる。
 
ということで、月足のRSIをしばらく観察してみたいと思う。

なお、為替その他の動き自体は、週初の予測どおりと言っていいのではないか。ただ、金がじわじわと上がっているのはちょっと予想外だった。うれしい誤算であるが、まだわからない。


コメント ( 11 ) | Trackback ( )




月曜からの相場は、先週と大差ないと思う。円安が相当にはっきりしてきたので、円安、そしてドル安という形で進んでいくのではないか。株高、商品高も変わらないだろう。金は横ばいの動きとなりそうだ。



コメント ( 2 ) | Trackback ( )




前回の投稿で書いた諸数値のうち、今週の動きとしては、株金レシオは下降(金の相対的値上がり=将来への不安)、金銀レシオは下降(投機活動の勢い盛ん)ということで、単純ではない。しかし、この形がどうやら2011年の基調だと言っていいのではないか。つまり、様々な将来の不安(貨幣の価値の喪失)については金で担保し、当面の投機(株価・商品価格の大きな上昇)には乗っていくというスタンスである。

この後、その二つの投資心理の乖離が大きくなるにつれ、徐々にボラティリティが高まっていき、株価の中下落・上昇を繰り返してから、何かをきっかけに大きな下落へと進行するものと考えている。

当面の中天井はそんなには遠くないだろう。多くの人が予測するところの、3月上旬、中旬あたりがひとつの転換期になりそうだ。



コメント ( 11 ) | Trackback ( )




昨晩の雇用統計は失業率と相反するような結果となり解釈が難しかったが、米国長期金利は急騰してきており、市場は何かの動きを始めたようだ。

長期金利上昇(債券が売られる)については、「良い金利上昇」(景気回復期待)か「悪い金利上昇」(米国ソブリンリスク懸念)かがよく問題とされる。今回も両様の理解があるようだが、私なりの考えを述べておこう。

「良い」か「悪い」かは、まさに心理の問題が大きいのであるが、その心理を計測できるのは、「比」(レシオ)であるところの

1 株金レシオ(ダウゴールドレシオ)
2 金銀レシオ(GSR)
3 金CRB指数レシオ
4 株価P/Eレシオ

というところだ。1は上昇すればリスク選好、2は下降すればリスク選好、3は下降すればリスク選好、4は上昇すればリスク選好、という傾向にある。理由はそれぞれあるが、ここでは省略する。チャートは左のリンク集に入れてあるので、ご覧いただきたい。

直近のそれぞれの動きは次のとおり。

1 株金レシオ 下降(リスク回避)
2 金銀レシオ 下降(リスク選好)
3 金CRB指数レシオ 上昇(リスク回避)
4 S&P500P/Eレシオ 上昇(リスク選好)

ということで完全にマッチしていないのであって、読みにくい。市場心理も割れていると見える。今回は、結論は出ないが、上の値を継続観察していけば、自ずと方向性は見えてくると思っている。






コメント ( 13 ) | Trackback ( )




画像は前から見ているS&P500のP/Eレシオ(株価収益率・日本ではPER)である。ここのところますます上昇してきており24近くとなって、2007年あたりの値にそろそろ追いつこうかという勢いである。ただ、2000年の頃の44にはまだほど遠い。

このPERは株価の割高・割安を見るのに使われる数値だが、よく考えてみると不思議なものだ。株価を1株あたりの当期純利益で割り算するというのは、なんとも理屈が通らない。まったく独立の変数同士の比に何の意味があるのだろうか。しかし、単独の株価や、あるセクターの株価の割高、割安の動向を見るのには便利なものとして広く用いられているのも事実だ。

ところで、以前このブログに書いたのだが、このPERと、ダウゴールドレシオ(株金レシオ)の動きにはひじょうに強い正の相関関係があるようだ。株金レシオが高い時は、いわゆるリスク選好的な時期であり、PERも高くなっていく。その逆に株金レシオが低い時は、不景気あるいはリセッションの時期であり、PERも低くなる。

つまり、PERも株金レシオも、投資家の、今後の株価成長への心理的期待度を、数値として示しているものと言える。そういう意味で、いずれも経済学の対象ではなく、投資心理学(というものがあるならば、それ)の対象なのではないか。心理的「割高」「割安」の「割」とは、「比」の意味であろう。
 
その他、この「比」で示されるいろいろな投資尺度には、その種の性格を持つものが多いと思う。たとえば、金銀比価(ゴールドシルバーレシオ)は、明確に、リスク選好とリスク回避と相関するし、金オイル比価も似たような性格のものだ。この種の比で示されるものは、そういう意味で純粋な経済学の研究対象としては扱いにくいものだと思う。金の価格を銀の価格で割ったものというのは、なんとも研究しにくい。

で、最後のオチとなるが、このブログの主題である為替こそ、この「比」の最たるものだと思う。ドル円、ユーロドル、ポンドドルその他、すべての為替レートは比の世界に存在するのであり、ドルや円やユーロそのものの価値というものはそもそも存在すらしない。(ドルインデクスすら、複数の通貨レートから一種の比として算出されるものに過ぎない。)「比」の世界にのみ存在する虚構の数値、それが為替レートだ。

ということで、為替が、経済学で分析しにくい理由はおそらくここにあるのだろう。一般論として、この種の「比」で示される数値の形成のかなりの部分は投資家の心理から発生しているのであり、それを分析する手法がまだ存在しないことによるのだと思う。

さて、今夜も雇用統計となった。この時の為替の動きこそ、投資家心理そのものの独演会というべきものだろう。ゆっくりと楽しもうと思う。

P.S. しかし、経済が、モノとモノの交換や、モノと労働の交換から成り立っていると考えると、その交換時には、やはり「比」が適用される。(栗10個と、魚2尾を交換、など)。とするなら、やはり経済が自然科学的分析ではおそらく完全にはわからない理由もここにあるのかもしれないなどとも思ってしまうのである。この「比」を絶対値の世界に落とし込んで制御したのが、金本位制だが、そこから踏み外し、さらにはデリバティブを産んだ今の経済はほんとうに難しくなっている。




コメント ( 3 ) | Trackback ( )




前からユーロドルの動きに注目しているが、なかなかポジションを持つことができない。P&Fでは三角保ち合いの形がひじょうに明確になってきた。以前書いたシナリオ2ということでやはり1.36あたりに収束しそうな感じだ。

その先の動きがいまもって読めないのは残念だが、昨日書いたように、ダウやCRB指数の上方ブレークの可能性からすると、ユーロドルについてもドル安である可能性が高いのではないか。いましばらく観察を続けたい。


コメント ( 6 ) | Trackback ( )



« 前ページ