FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



欧州でドイツの積極的動きがあり進展を見せたようだが、思ったより市場心理は改善していないようだ。いろいろなところで矛盾した動きになっている。まだ大きな動きにはならないようなので、ここで、よく知られている市場心理の危険指数とでもいうものを列挙しておきたい。自分としてはこれらを総合的に見て、ファンダメンタルズを測っている。

1 米国株価

やはり米国の株価の動向は大きい。ダウの動きが目立つし市場への影響力も大きいが、S&P500の方が銘柄数が多く統計的には信頼性が高いだろう。

2 VIX指数

S&P500のオプションの動きから算出される市場参加者のボラティリティ予測というべきもの。40を超えていると危険地帯とされるが、昨晩ようやく38.8まで落ちた。

3 TEDスプレッド

3か月もの米国短期国債(T)利回りと、欧州市場(E)に於けるドル(D)の3か月先物の金利とのスプレッド(差)で、当然のことながら広がると市場は危険状態である(債券買い・ドル調達困難)。現在は37.21ベーシスポイント(=0.3721パーセント)で、リーマン時の400(=4パーセント)には比べものにならないながら、しかし、平常時としてはかなり高い値をキープし、上昇を続けている。

4 GSR,GPR

ゴールドシルバーレシオ(金銀比価)、ゴールドプラチナレシオ(金プラチナ比価)である。金は通貨性があるが、銀は弱く、プラチナにはない。それを利用して、金融市場の危険度を測定できる。GSRは50を超えると危険ゾーンであるが、現在52。GPRは今のところでは1.0を超えていると危険だろう。現在1.06。

以上はいずれも左にあるリンク集にリンクを張ってあるので利用されたい。他にはブルームバーグ端末などでわかるものとして、各国銀行や国債のCDS(クレジットデフォルトスワップ)なども利用できる。

ニュースによれば、欧州銀行のCDSは依然高止まりしているようであり、また、TEDスプレッドは昨晩、今日と、かえって上伸していることから、市場における欧州への警戒感はまったく解けていない。警戒しつつのポジション取りがいいだろう。どこから何が飛び出すかはわからない。




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昨晩は、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能拡充案があるとかで、株も戻した。いろいろ伝えられている案では、何らかの形でレバレッジを使って実際にある資金より多くの融資や担保を提供できるというもののようで、ガイトナーが前回欧州に提案したものと同工異曲のようだ。おそらく、噂の出所は、米国だろう。

デレバレッジの流れの中で、レバレッジ活用でソブリンの保証をするというあたりで、そもそも無理筋の案のような気がするが、こんな案しか出てこないところに、問題の難しさが感じられる。また、米国発というあたりで、米国への危機の伝染を恐れる米国当局の危機感も伺える。

2008年の危機の時もそうであったが、アラブ系のSWF(政府系ファンド)が出資するから問題解決したという話で株価が戻す局面がしばしばあったが、結局、無駄金に終わった。今でもアラブ系のSWFはその時の含み損を抱えているところが多いと聞く。ひとつの案ですべて上向きになるようなものなら、ここまで問題解決が長引くことはないだろう。

しかし、短期トレードはこれらの波動的動きをうまく活用していくべきであろうし、中長期的には、まだ下向きの相場であると私は考えている。

ということで、しばしのゆるみで、リスク資産に買い戻しが入ると考え、金は昨日の1600ドルで打診買いしてみた。1800くらいまでの戻しはあってもいいのではないか。ただ、まだ1500以下を試す時期もあると思うので、そこそこの利益が出たら短期で動かしていきたい。P&Fで金の上昇トレンドは崩れていないと思う。当面の目標の2500ドルは同じである。しかし、時間的には2013年くらいまでかかるかもしれない。




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金はテクニカルポイントの1650ドル、そして1600ドルをしっかりと割ってきた。こうなると1550ドルで止まるかどうかもわからなくなってきているので、自分は、ひじょうに下からのロング以外は、1650ドル、そして1600ドルあたりで順にカットした。ここまでの今年の金の儲けをかなりはき出した形になるが、相場はそんなものなのでやむを得ない。2008年のチャートを参考に、もう少し様子を見るしかないだろう。
 
為替は、欧州情勢がますます具合が悪く、ドル買いになっている。しかし、昨日も書いたように、ドル円の防波堤が切れると、円高が表に出てきて、クロス円も総崩れになるのは間違いない。スイスフラン、そして金が当面ダメになったので、今買えるのは、ドルか円だけだ。このあとドル円が下げると、特に円買いとの逆連動性が高いオセアニア通貨は、またすさまじい落下を見せるだろう。

ドル円の介入が怖い場合は、豪ドル円ではなく、対ドルで豪ドルやキウイドルを売っておくのがいいのではないか。これらはドル円が買われても影響は間接的に止まるので、介入への耐性がある。しかし、下げるときはいいペースで下げるので、利幅が期待できる。画像は、AUDUSDの2008年当時の週足の値動きであるので、参考にしていただきたい。0.97から0.6まで4000PIPS近く下落していたのである。



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ドルインデクスの動きが2008年夏・秋と近似しているということを昨日書いたが、貴金属についても同様なことは言えそうだ。
 
コメントでSould Headsさんから、銀価格の2008年と今年との週足比較チャートをいただいたが、そのあまりの近似ぶりに私も驚いてしまった。2008年も、今年と同じように、5月に一旦の大下げがあり、それが盛り返したところで、7月から暴落に入っていったわけだ。

それで、早速、2008年の同時期の金価格の動きについても、チャートを見直してみた。金の場合は、銀とは異なり、2008年5月の金の大下落は、今回は微落に止まり、再現していない。しかし、7月からの下落が、まさに今起こっていることに対応するだろう。大下落の様子は見てのとおりで、単純に下げたわけではなかった。基本は、下げて戻してまた下げるというエリオット波動の3波構造になっている(底からは、やはりエリオットの5波構造で1000ドルまで上昇している。)

5月の下落が再現していないことを見ても、前回と比較して金の底堅さは感じられる。前回と同様の3波構造とすると、今の1650を底に一度戻し、1800あたりからまた下げて、1600以下を目指すというようなシナリオが一つ考えられるのではないか。1600以下があるとしたら、ダウの下げの程度と連動するものになるはずだが、まだそこの値は予測できない。

値の予測はひとつの例に過ぎないが、2008年の金の値動きなどもう忘れてしまっているので、このチャートを見ながら、動きをトレースしてみるだけでも何かの役にはたつだろうと思って掲示した次第である。


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先週はドルインデクスが78を超えてきて強い動きを示した(画像)。TEDスプレッドも36.53とさらに大きく上伸しており、ドル需要はきわめて旺盛だ。どうみても優良資産である金が売られており、資産圧縮をすすめている金融機関やファンドもあるように見える。また、危機のシグナルであるゴールドシルバーレシオが飛躍的上昇を見せており、市場は、まるで2008年秋の録画を再生しているかのようだ。

今回はソブリン危機も含まれている点に違いはあるものの、ドルインデクスの上昇に伴って、円買いが起きているのは前回と同じだ。ドルインデクスの上昇にもかかわらず、また、介入懸念にもかかわらず、ドル円がまったく上昇しないのは円買いのためである。これから冬にかけて異常に大きな円高が起きることはまずは間違いない情勢となってきた。多くの人は日本当局の介入待ちであり、私もちょっと上に指値をして待ってはいるが、今回、介入してもまったく効かない相場であることは自明のことである。
 
ということで、ある程度の上げに対応できるポジション量で、積極的に円買いに進んでいくことも悪くはないのではないか。G20の後に、企業四半期決算に備えて介入があるという噂も多いが、逆に10月になれば、安心して円買いが進む可能性もあるだろう。先物買いではないが、円買いを計画的に進めていくべき時期になったと思う。当方は、豪ドル円ですでに一部売りっぱなしにしているが、もうすこしドル円なども増やしていきたいと思っている。



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金は、1800ドルより下に一度下げてからの上昇になるという予測を一週間前にしたばかりなのに、あっという間に、思ったよりも大きな規模での下落になったので驚いている。そこで、同じP&Fチャートを用いて、当面の底値を考えてみたい。

まず基本的に金は50ドル刻みの切りのいい数字で反転する性質がある。今回はそこで1700ドルをサポートと見ていたが、それよりも下げて、以前の停滞していたラインの1650ドルまで来た。この1650(横の赤線)は、左下から右上に伸びる水色のトレンドラインと交差しているところであり、ここがきわめて重要な底値候補の値であると知れる。もうひとつの底値候補としては、青細線のトレンドラインと、P&Fの今の下方ブレークとが交差する点、つまり1600ドルである。

現在の下げは、おそらくこのどちらかで反発すると考える。可能性としては1650が一番であり、月曜からすぐに大きく戻ることも考えられる。もう一つの候補の1600ドルまでの下げもあるかもしれないが、今までの金上昇のサポートの値のあり方、そしてダウゴールドレシオの値(1600だとややレシオが高すぎる)からして、可能性は低いと見る。いずれにせよ、そこからの反発で1800ドルは回復できるだろう。
 
その後、また底を試すかどうかはまだわからないが、ダウゴールドレシオの6.0あたりという制約がある限り、ただちに1500ドル、1400ドルなどということにはならないだろう。株価がただちに10000ドル以下に暴落するというようなことでもあれば別であるが、そちらもすぐにどうということはなさそうだ。
 
ファンダメンタルズ的には、先物金と現物金の問題や、来週からの欧州情勢などいろいろな要素があるだろうが、とりあえず、テクニカル的な面だけから、考えてみたところを書いてみた。

なお、金上昇の基本トレンドには現時点ではまったく問題がないと思っている。



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画像は、ダウゴールドレシオの日足であるが、昨晩の下落で6.48となった。ご覧のようにこのところのレンジ上限に到達しているが、レンジ外への動きではない。金価格の一日の下落幅がひじょうに大きいので、金バブル崩壊か?という見方もあるようだが、このダウ価格との比のチャートを見る限り、従来の動きを崩すものではない。もし、今後さらにダウゴールドレシオが上昇して、以前のレンジの8あたりに戻ったら(つまり今の株価のままで、金が1400ドルを割れば)、金の中長期的天井は1900で終わったということになるだろうが、今はそれを論じる段階ではないと思う。
 
昨日も指摘したようにGSR(ゴールドシルバーレシオ・金銀比価)は、株価の底の数ヶ月前に天井をつける。昨日はさらに上昇して53にまでなった。それでもやっと50か月移動平均線に到達したばかりであり、月足での観察からは、天井まではまだちょっとの上昇が必要だろう。ただ、2008年の動きでみるように、今の上昇速度なら、期間的にはそれほど遠いことでもなさそうだ。2008年の動きと、今回の動きとの相似は驚くほどだ。昨日も述べたように、あとほぼ1か月以内に金・銀は当面の底となり、GSRが再下降、金/銀は再上昇にかかると見ている。


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予想よりもかなり早く貴金属が下げてきている。今、NY昼で金が1657ドル。一日で100ドル弱の下落である。1700ドルあたりで一旦折り返して、1800ドルくらいをめざし、その後また下げるというような動きを想定していたのであるが、ちょっと早いのには驚いた。1700ドルあたりの指値もストップにかかってしまって、あてが外れたというところ。1700ドルを割ったところで、株の売りの益を使って、ロングの損失を相殺して、一部ポジションを小さくしておいた。この後の様子を見て、さらに考えてみたい。しかし、とりあえず1650ドルは反転するポイントと考えているので、1660ドルで再度買い直した。これは一時的上昇へのポジションであるが、もちろんストップを入れてある。
 
やはり、いざ困ると、金(ゴールド)ではなく、お金(ドル)がいいというのは人間心理である。金では何も買えないが、ドルなら何でも買える。この価値観が大きく逆転するためには、もう一段の米国の経済悪化、ソブリンリスクの増大という要因が加わる必要があるのかもしれない。





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今回の危機ではリーマンショック時に比べて銀が強く、GSR(ゴールドシルバーレシオ・金銀比価)は低めに推移していた(相対的に銀が底堅い動き)。しかし、一般論としては、危機が深化するとGSRは上昇する。今回の動きには注目してきていたが、ようやく昨日あたりからGSRの急激な上昇が見られるようになった。

画像はGSRの月足であるが、ご覧のようにリーマン時の前年秋に95という最高値を付けているが、その後下げており、春先の金融緩和に乗って銀が上昇し、30まで下げた。その後じわじわと上昇しており、ついに昨日48.44という値を見せた。

GSRは、2008年には、夏から秋にかけて3か月で天井に達し、危機が訪れたことを知らせたが、株価の最低値はそれから約5か月後の、2009年冬に達成している。つまり、GSRは危機の先行指標となっているということだ。また金価格はGSRが上昇を開始し天井に達したところの10月に大底の700ドルをつけている。

ということで、GSRの天井の時期を予測することが可能なら、株価と金価格の動向も予測可能である。すなわち、

1 GSRの天井の数ヶ月後が株価の大底である。
2 GSRの天井が金の大底である。

前回は50から95まで上昇したが、今回は底が低く30からであるので同じ幅での上昇なら70から75くらいが頂点になるだろうか(銀が相対的に前回より高め推移なので天井は前回より低くなるのは理屈に合う)。また、上昇にかかった時間は、前回は約4か月。今回は3月から上昇開始なのですでにかなりの時間は経っている。いろいろと考え合わせるに10月か11月に、GSRの天井が来るのではないだろうか。2008年には10月のGSR天井時にはダウは1万ドルから8000ドルまで下降している。今回もそれぐらいの下げの可能性は見ておきたい。






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先日はユーロ推進派のLEAP/E2020の話を紹介した。ユーロは、やや危機に陥っているが、これを機会に政治的統合が深化して、危機を乗り越える、というシナリオである。また、ギリシャの破綻やユーロの分解などは英米マスコミの煽りに過ぎないという、まさにユーロ派の意見だ。

今日読んだのは、まさにその英米マスコミの代表のひとつであるフィナンシャルタイムズ紙のマーチン・ウルフ論説委員の論「ユーロ圏の解体がとてつもなく難しい理由」だ。ウルフ氏の論は前にも紹介したが、ひじょうに明快だ。ユーロの今後についてきわめてよくわかる。私の見るところ、こちらの方が説得力があるように思った。

要点は、このままではユーロの存続はひじょうに難しいが、ギリシャの脱退も、ドイツの脱退も、とんでもない経済的混乱を世界中に広めることになる、というものだ。これを読むと、今、のんびりとFXなどしていていいのか?という疑問も湧くのだが、有用な論であることは確かだ。ぜひお読みいただきたい。

まさに正反対の言説となっているLEAP/E2020の論と、ウルフ氏の論であるが、実は論理的には同じようなことを言っている。つまり、「ユーロ(一部分ですら)の解体は想像するだけで恐ろしい・あり得ない」ということである。ただ、その先の結論は両者異なっている。前者は、そんなことが起きないように、欧州は英知を結集して政治的統合を深化させる(たとえばユーロ共同債の発行)と見るのに対し、後者はそれは不可能と予測しているように見える。

将来のことはわからない。ただ、ユーロ解体の及ぼす影響は、リーマンの破綻などとは比較にならないものになり、おそらくまたそれは米国の問題をさらに決定的に悪化させることにつながるのだろう。トレードするものとしては、最悪の事態が発生した場合に備えることが必要だと思う。


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