FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



ソロスの言うごとく、make-or-breakのG20となってきた。焦点は、SDR拡張案だ。これについて少しでも話が出るかどうかがカギだ。そこをもうすこし詳しく私なりの理解で説明してみよう。
 
現状では、主要各国の主張は次の通りだ。括弧内は私の想像。

ドル派

(米国)ドル基軸は揺るがない。ドルへの信頼はあつい。準備通貨の変更を話し合う余地はない。(ガイトナー:とは言え、SDRについて話くらいはしてもいい。ホントは賛成の部分もあるが立場上言えないんだ。)
(日本)ドル基軸はゆるぎない。ドルを支える。(与謝野:実際、裏でいろいろ支えています。外貨準備がパーになったら困るんだ。)
(フランス)準備通貨変更について話し合う必要はない。(サルコジ:僕は、アメリカが大好きなんだ。)
(オーストラリア)ドルの地位に変化はない。(ラッド:中国はもっと恐いよ。)
(カナダ)G20の議題にはならないだろう。(ハーバー: アメロの方がカナダにとってはいいです。)

中立派

(英国)ホスト国であるし、為替問題については安定策を論じればよい。(ブラウン:ドルよりもポンドが心配で心配でそれどころではない。)

改革派

(中国)SDRに元やルーブルも入れ、将来は商品も入れ、準備通貨に拡張してゆくべきだ。(温:いずれにせよ米国債の代わりに商品を購入しつつあるが。)
(ロシア)SDRに元やルーブルも入れ、さらに金の部分本位制も入れてゆき、準備通貨に拡張すべきだ。(プーチン:EUもそのうち共同歩調を取るはずだ。)
(インド)中国案に賛成。
(ブラジル)南米としては中国案に賛成。アルゼンチンは、中国との貿易を元決済にすることにしている。
(ドイツ)ドル中心でやってゆくのは限界だ。といってユーロの御世話にも飽きた。SDR拡張は悪い案ではない。(メルケル:米国の言うことなんか聞きたくない。)
(IMF)スティグリッツ氏の意見によりSDR拡張案をまとめて提案したい。

現状では、BRIC対先進国という対立に見えるが、ことはそう簡単ではない。あちこちで言われるように、中国案は、国連のIMF作業部会の作った案(スティグリッツが関与したとされる)と酷似しており、なんらかの関係があると見られる。これは、世界の経済の枠組みを決めている上層の支配層の中での、ドル基軸継続案と、ドル基軸廃止案との意見の対立があると見るのがいいだろう。陰謀論的に言えば、ドル廃止SDR拡張案はいわゆる世界政府(ニューワールドオーダー)派にも都合がいい話であるので、そんな解釈もあるようであるが、これはさておくとしても、ガイトナーがぽろっと漏らしたように、SDR案は突飛なものではなく、かなりの支持が広がっている案であると見られる。
 
最初に述べたように、もし、このかなりの賛同を得ている準備通貨問題(百歩譲って、SDRの活用案)がもしいっさいG20で公式発表に出てこないとなると、その失望は大きく、その後数ヶ月で世界経済が暗転するだろうというソロスやLEAP/E2020の予測が実現する可能性が極めて高いと思う。
 
今回のG20が、成功か失敗かを決める試金石、それがSDR拡張案である。




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来週は、あまりにも行事が多すぎで正直なところ予測は困難だ。ちょっとあげても、年度末要因、ケースシラー指数発表、ISM指標、G20、雇用統計とまさに目白押しである。

テクニカル的にもドル円が複雑怪奇な動きであって予測困難。ユーロドルも同じく予測困難領域(おそらく上昇だと思うが確信はない)。ポンドドルも上下どちらもあり得る。

ということで予測は放棄することにして、お題をひとつ。先週末のタイムズのオンライン版で、ソロスがポンドについての予測をしていた。

George Soros: Britain may have to seek IMF rescue(ジョージ・ソロス:英国はIMFの救済を求めなくてはならない局面に至るかもしれない。)と題する記事の中で、今度のG20が、今度の危機が1930年の大恐慌を上回る恐慌となるかどうかを決める最後のチャンスであると述べ、また、英国はその経済規模以上の銀行システムを持ってしまったという問題があるとし、英国がIMFに救済を求める可能性がある(そうなるに違いないというのではないが)、としている。またそれにもかかわらず、次のG20については悲観的であり、意見の相違により失敗するという方向を予測するとしている。

ソロスといえば、ポンド売りによってポンド危機を演出し、英国が欧州通貨制度を離脱することを余儀なくさせた人物であり、彼の英国についての発言は、通常の人の発言とはその重みがまったく異なっている。

今後の事態は、残念ながら、彼の予測するほうに進みそうな気がする。


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これは論評抜きで引用のみ。まあ、こういう見方、けっこう欧米では有力になりつつあるようです。ブルームバーグから。

(引用)

ゴールドマン:円は「極めて割高」、1ドル=114円が適正水準

3月26日(ブルームバーグ):米ゴールドマン・サックス・グループは、為替市場において円は最も割高な通貨の一つになっているとの見解を示した。

同社のアナリスト、フィオナ・レイク氏(香港在勤)は26 日付のリポートで、円の「適正水準」は1ドル=114円との見解を示した。ロンドン時間午後零時2分現在、ドルは対円で0.7%上げ、1ドル=98円26銭で推移している。

レイク氏はリポートで、「当社の調査対象通貨の中で円は最も割高な通貨の一つ」と指摘。「一方、オーストラリア・ドルは最も割安な通貨の一つとなっており、対ドルでは20%、貿易加重ベースでは25%過小評価されている」と記述した。

(引用終わり)


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このところドル円の下降はすべて、ドル安トリガーであったのでそれを予測していたところ、今回は、ドル高でクロス円下降によるドル円下降という変化球で来た。

なかなかいやらしい相場である。

ここでのドル高は、いつもの通りの欧州懸念で、欧州の金融緩和によるユーロ安予測が一因であるが、それ以上に、このところのクロス円の上昇しすぎの揺り戻しという性格が強いと思っている。なぜなら、欧州懸念だけなら、ドル高であって、円高の要素はないが、今回はドル円、クロス円すべて下がっていることから、円高の要素も加わっているからである。ファンダメンタル的に円高になる要素はあまりなく、したがって、ここでの円高は一時的な揺り戻しであると考えている。

ということでG20での一応のメドがついたところで、再度、円安・ドル安になるのではないか?



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G20をひかえて急激にSDR(IMF特別引出権)に焦点が当たってきた。ガイトナー発言もあったりして、どうも、裏でかなりの下交渉が進んでいる様相だ。
 
SDRについては、現状、次のような問題がありそうだ。
 
A 利用の様態

1 特別引出権としてのそのままの利用

これはIMFの資金供給能力を拡充して、危機に陥った国を救済できる能力を高めることができるので、それ自体よいことだ。従来死蔵されてきたSDRを活用するということになる。

2 国際準備通貨への拡張

なんらかの形でSDR建ての債券を出したり、貿易決済に使ったり、インターバンクでの取引が可能にする。

1は大いに実現可能性があると思うが、2はドルの基軸通貨制を損なうので、米国は反対だろう。特に原油のSDR決済には絶対反対であることは間違いない。

B バスケットの中味

1 通貨の配分変更

現状、ドル・ユーロ・円・ポンドであるが、これに、元・ルーブル・カレージ(中東湾岸通貨)などを加えるかどうかが問題だ。配分変更は可能性としてあるだろうし、米国も反対しにくいだろう。

2 現物資産を追加するかどうか

バスケットに現物(金・原油など)を追加するかどうか。これは大きな問題だ。ジム・シンクレアなどは、SDRはペーパーマネーなので、やはりダメだろうと述べている(英文サイト)が、SDRバスケットに現物も加えるならまたそれも異なってくるはずだ。

今の状況だと、A1とB1は実現可能であり、そのあたりまで決まればとりあえずの安心感は出るだろう。今回のG20での落としどころではないか。しかし、それが精一杯のところであり、結局はA2とB2に踏み込まない限り限界があるだろう。時間稼ぎに終わると見る。

米国のPPIP(官民毒資産買取プロジェクト)も時間稼ぎというべきものであり、これと合わせてどこまで持つかが見物である。

ただ、もしG20でSDR関係で何らかの合意ができればそれはそれで喜ばしいことであり、ドルの(当面の)安定には寄与するものと思う。リスク選好は続くと思うので、まだしばらくはドル円・クロス円の上昇にポジションを置いておいてよいと考えている。資源インフレも進みそうなので、オセアニアロングもいいと思う。



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昨晩はガイトナーが驚くべき発言をした。先のエントリーでも書いたSDRについてだ。

(引用)

 [ニューヨーク 25日 ロイター] 25日のニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨に対して下落した。ガイトナー米財務長官が、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の使用拡大についてはオープンだ、と発言したことが背景にある。
投資家は当初、ガイトナー長官のコメントを、ドルに取って代わりSDRをいずれ世界の準備通貨とする、との23日の中国の提案を支持するものと解釈した。
 ガイトナー長官の発言により、ドルは対ユーロで過去5日間の取引レンジの下限まで下落した。しかし長官がその後、ドルは最も有力な準備通貨としての地位を長く維持するだろう、と述べると、下げ幅を一部縮小した。
 エルステバンクの外為取引バイスプレジデント、ジョー・フランコマノ氏は「ガイトナー氏の発言は市場を不意打ちし、投資家はドルを売った。どのような理由でこのような発言をしたのかは分からない。中国をなだめるつもりだったのかもしれない」と述べた。
 一方でフランコマノ氏は「米国の債務額が2兆ドルに近づくなか、ガイトナー氏のコメントが軽く受け止められることはない。あのように半ば皮肉を込めて発言すれば、無責任ととらえられるだろう」と語った。

(引用終わり)

市場ではいちおう「失言」として扱われて、一時的材料になっただけのようだ。しかし、仮にも米国財務長官がドル基軸体制を揺るがす案に賛意を表したことには間違いない。これは、間違いなく、ガイトナー自身、そして米政府の持つ、ドル体制への不安感の表れだろう。このままドル体制で突き進んで世界経済を破滅に追い込むことが本当にないのだろうかと考えたら、誰でも不安になるはずである。実際のところこの頃突発的にドル安が現れる傾向が見えている。

ドル基軸に代わる案という点で、このSDR案はなかなかうまいところをついている。先にも述べたように、IMFという米にとって親しい機関をバックにしていること、また、現状のSDRはドルにとってかなり有利な条件であることなど、米国にとってもメリットがある案だ。これで一時しのぎをして、将来ドル基軸に戻すというような戦略はあり得るチョイスである。G20がますます楽しみになってきた。微細な兆候も逃さず見るべきだろう。が、SDR拡張案にせよ、ドル基軸の継続(ドル衰退)にせよ、為替的にはドル安には間違いない。そこは間違えないようにしたい。ユーロドルロング、そして、英国凋落を見越したユーロポンドロングが現在の基本姿勢であるべきだと考えている。ガイトナーのもうひとつの案である不良債権の買い取りがうまく進行せずに、GM問題、金融問題が再燃するであろう5月以降がまさに山場となるだろう。

なお、SDR案についての問題点がロイターのサイトにまとめてあるので参照されたい。




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今日のニュースによると、英国債が7年ぶりに札割れを起こして、売れ残ったそうだ。このところ、英国債の利回り上昇(価格低下)は着実に進行しており、英中銀の買いによってそのペースはにぶったが、けっして回復には至っていない。その結果がこれである。

対円ではポンドは上昇してきており144円台までつけているが、そろそろ先行きが見えなくなってきている。円はまだ安くなる可能性があるので、個人的には、このところユーロポンドの買いを少しおこなっているが、もうすこしポンドが安くなったらさらにユーロポンド買いで攻めてみたいところである。ユーロポンドはこのところ少し下げたが、下の方の節で止まっており、底がたいと見ている。

(引用)

 【ロンドン=吉田ありさ】英政府が25日実施した国債入札で応札が予定額を下回る「札割れ」が7年ぶりに起こった。景気後退で国債発行を拡大するなか、財政悪化を懸念する投資家が応札に慎重になったためだ。

 40年物国債の定例入札で応札が16億3000万ポンド(約2300億円)と予定(17億5000万ポンド)に届かなかった。札割れは2002年以来。

(引用終わり)


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G20が近付いて、準備通貨の変更、バスケット制、などという言葉が久しぶりに飛び交っている。国連筋ロシアに続いて、中国銀行の当局者もドルに代わる基軸通貨が必要で、それはSDRを拡張すべきだという発言をしているようだ。中国は、米国債を買い支えると言ったり、はっきりしないが、これが中国流のやり方なのだろう。あちこちで観測気球を打ち上げているものと見られる。中国銀行のサイトにSDR拡張案の原文(英文・ここではGoogle翻訳による日本語訳)があるので参照されたい。

さて、その中国銀行当局者が触れているのが、IMFのSDR(特別引出権)だ。これは一種のバスケット制通貨のようなものだが、通貨そのものではなく、資金をIMFから引き出すことのできる権利として定義されている。実際にはあまり使われておらずいわばお蔵入りの状態だ。しかし、これを拡張すれば、バスケット通貨に成りうるものであり、現在、ひとつの議論の焦点になっている。

現在のSDRは、ドル・ユーロ・ポンド・円のバスケットで値が決められており、その値は、現在1米ドル=0.66SDR、1SDR=1.51米ドルだ。値はいつも、このIMFのサイトで見られる。計算方法は、このサイトの表にあるそれぞれの通貨の基準値をドルに換算し、その合計額が1SDRの値となるということで、バスケットとなっている。したがって、現時点ではきわめてドルの影響力が大きい値となっているので、このままでは使えないだろう。

しかし、バスケットによるバーチャルな通貨というものがどういうものであるかをかいま見る材料にはなる。今後注意してみてゆきたいものである。



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#末尾に公開書簡のURL追加

LEAP/E2020がGEAB33号で予告していた通り、世界の指導者への公開書簡ということで、フィナンシャルタイムズに寄稿することとなった。有料読者への連絡ということで、今朝メールが届いていた。

For this reason, as already announced in GEAB N°33, LEAP/E2020 has decided to write an open letter to the leaders of the G20. Signed by our Director of Research, Franck Biancheri, it will be published in English this Tuesday, March 24th, in the Financial Times (print and global edition).

研究所ディレクターのフランク・ビアンチェリ氏の名前で24日のフィナンシャルタイムズに寄稿される。またネットを使って英語以外の言語10カ国語程度に翻訳されて公開される(日本語版が含まれるかどうかは未調査)。

G20では各国から新通貨システムへの提言も出るようである。ドル基軸体制を守りたい米国・英国・日本・中国と、その他の国との対立というような局面もあるかもしれない。とにかく、期待を持ってG20を見てゆきたい。

#公開書簡がE2020のサイトで公開された。英文版はここである。
また、コメントで、寄稿というよりも広告ではないかという指摘があった。紙面を見ていないので確定はできないが、雰囲気としては広告というニュアンスである。さらに調査したい。


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アメリカの政治家のロン・ポールは日本では知る人ぞ知る存在である。共和党に所属するが、もともと、リバタリアン党に属し、独自の自由主義的政策で知られる。共和党の大統領選挙にも何度も出馬している。また、特にインターネットでの支持率が高いことで有名だ。彼の古くからの主張のひとつは、連邦準備制度の廃止と金本位制度への復帰であるが、これまでは、ある意味、その点については孤独の人だった。いわゆる「陰謀論」の文脈でだけそれが捉えられていたからだ。だが、今は違う。ドル基軸体制を支える連邦準備制度(FRS)自体、そしてそれによるドル基軸通貨体制に今回の問題の根源があったと考える人が増えているからだ。

ロン・ポール自体も最近ではCNNなどのマスコミへの露出度もあがっているが、最近、メジャー中のメジャーマスコミのFT紙(フィナンシャルタイムズ)も彼の説を採りあげた。

Ron Paul: Believer in small government predicts 15-year depression
(ロン・ポール:小さい政府の信奉者、15年にわたる恐慌の持続を予測)

という22日の記事だ。今回の恐慌が、1910年代のものとは比べものにならなく大きなものであり、通貨制度は崩壊し、金が本来の力を発揮するようになるという彼の持論が展開されている。(彼は前述のように金本位制度こそがすぐれた通貨制度であるという意見の持ち主だ。)その主張は、ロン・ポールを知るものには目新しくはないが、フィナンシャルタイムズにこのような説がついに掲載されるようになったかというのは感慨深いものがある。15年という長さもE2020の予測する2014年以後もこの問題は継続するという予測と合致するものであり妥当性はもちろんある。

従来ロン・ポールに興味がなかった方もぜひこの記事(英文)は読んでいただきたい。手短に彼の主張がわかるはずだ。今後アメリカが混乱するにつれて、ロン・ポールの主張はますます輝きを増すだろう。日本の主流マスコミにロン・ポールの名前が出る日も遠くはないと思う。



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