さて、先のエントリーで、チャーリー中山氏らの新著をご紹介して、氏の言葉を引用した。
「ドル円の相場は、今の値動きが続く限りは、未来永劫ずっとゼロに向けて近づいていくしかないという、外国為替市場で今まで一度も見たことのない恐ろしい相場展開になっているのだ。」
氏の論を前から知っていればこの意味は明確なのだが、コメントで、ちょっとわかりにくいというご質問があったので、補足しておこう。
まず、氏には、20年から30年以上の長期スパンとしては、米ドルの全盛期はすでに過ぎたという認識がある。つまり、米国基軸通貨体制はこれから徐々に弱くなり、21世紀後半には次の通貨がだんだんと強くなるとする。ECBを高く評価する中山氏は、それはユーロであると考えているようだ。また、円については、波はあるものの日本経済は心配ないとの見解だ。まあ、どの通貨が強くなるかはともかく、したがって、ドルの衰退につれて、ドル円は今後徐々に安くなり(円高ドル安)、上下の波を持ちつつ、70円、50円、40円とさがっていくという予測となる。(=「未来永劫ゼロに向けて近づく」)。ただし、今週の相場から、直ちにすぐドル円が単純に下げていくという意味ではない。あくまでも超長期の話だ。
ところで、中期的には、氏は2000年頃から、いっさいドル円をロングにしたことがないと言う。つまり、ドル円は構造的に下がるので、どこでもショートにして持っていればいつか益が出るという考え方だ。で、かれがドル円をロングにするかもしれない時は、その長期ドル衰退の中の、一時的ボトムということになるが、それは、市場参加者が、めいっぱいドルショート、円ロングにするとき、つまり、今もよくあるドル円の底狙いのロングがなくなる時だと言う。彼は具体的数値を示していないが、私の推測では、たとえばドル円が70円を大きく割りこめば、それに近い状況が現出してくるだろう。新聞にはおそらく、ドル円は50円以下を目指すというような大見出しが出て、FX評論家が、みなドル円をショートに推薦する時である。中山氏は、そこでは一時ドル円をロングにしてもいいとする。
その後のことは彼は触れていないが、おそらくそこからのリバウンドのドル円上昇があったら、また次の下降に入り、次の段階のボトムが来るとみるのだろう。
若林氏などが見るように、ドル円のサイクルからして、2011年あたりにかなりの底になる超円高があることはかなりの確度から言えそうだが、それがその、皆が円買い一色になる時かどうかはまだわからない。また、その後、どの程度のリバウンドのドル円上昇になるかも、まだわからない。ドルの衰退・米国の衰退をどう見込むかどうかでそのあたりは異なってくる。氏の長期ドル円下降という見方はその中で、ひとつの見解として貴重なものであると考えている。
なお、来週のドル円は買いと考えている。90円あたりは、上から降りてくるときの重要なサポートラインであったので、現在はレジスタンスとなっているが、ここを抜ければ予定通り一時的上昇に乗ってくると考えている。
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