FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



QE2の終わりも明確になり、またギリシャ問題もとりあえずの結論が出て、相場はリスクオン(リスク選好・安定)時期に向かっているようだ。前のQE1の停止の時も、終了してから一ヶ月は普通に穏やかな相場が続いたが、一ヶ月後から急降下が始まった。今回も8月以降に危険な時期に入ると見ている。

さて、最近の相場は、もちろんドル主体の動きであるが、おもしろい特徴がある。先日までのリスクオフ(リスク回避・危機)時期には、ドル高となるが、主要3通貨の上下関係は、次のように、

ドル > 円 > ユーロ

となり、ドル円上昇、ユーロ円下落、ユーロドル下落という形だった。それに対して、今日のようなリスクオン時期には、ドル安となり

ユーロ > 円 > ドル

の形で、ユーロ円上昇、ドル円下落、ユーロドル上昇となる。前にも書いたようにサブプライム以前はこれとは、違っていて、

危機時 円  > ドル > ユーロ  (ドル円、ユーロ円下落)
安定時 ユーロ > ドル > 円  (ドル円、ユーロ円上昇)

のようになっていた。つまり、以前はリスクオンオフに応じて、円がドルを間にして、積極的に動いた(円高・円安)のに対し、現在は、リスクオンオフに応じて、ドルが動くのである。危機時の円高・ドル高は同じなのだが、ドルと円、どちらがより強く動くかという点が違う。

この原因は、前から書いているように、円が円高から円安へのちょうど過渡期(円高の天井期)にあって、以前の円安時のような強い円高への動きを見せることがなくなったためだと思う。つまり、現在、円はその限界まで高くなっている。もうこれ以上は無理なのである。

そういう意味で、為替の動きだけで見ると、現在もっとも激しく動く通貨は、昔の円に代わって、ドルとなっている。したがって、もし、ドル円が大きく下落するとすれば、先の論理でその原因は円高ではなく、また、リスク選好によるドル安でもそれは無理であり、やはり、ドルの一時的信頼喪失が、今後ドル円の大きな下落をもたらすという以前からの持論となるのである。日々の為替の動きからの推論であるが、どうであろうか。



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この掲示したチャートをご覧いただきたい。上段は、フィラデルフィア銀行株指数、下段は、ダウゴールドレシオのそれぞれ日足である。2月がピークでその後上げ下げして下降していること、あまりにもよく似た動きをしているのに驚かれるだろう。もちろん、どちらも株がらみではあるが、ダウ自体のチャートはまったく違うところにピークがあり、この類似は、単に株関係だからだということではない。

上段の、フィラデルフィア銀行株指数は、米国主要銀行24銘柄の調整時価総額加重平均指数で、金融セクターのパフォーマンスを表すとされるのはご存じの通り。下段のダウゴールドレシオはすでに何度も述べた株と金の価格比(株金レシオ)である。

ということで、それぞれまったく異なった原理から算出されたチャートが同じ動きをするということは、この両者に何か共通したものがあるからだと思われる。前から述べているように、株金レシオは、金を基準にした株の価格であり、ドルの強弱に関わらない本質的な株の価値を指すと思われる。銀行株指数は、あきらかに金融の基礎力を示す。ということで、この両者が同じ動きをして、2月をピークに下降しているということは、米国経済の本質的部分が下降線に入っていると見て間違いないと思う。また、その両者は、相関しており、よく言われるように、金融がダメなら株もダメということなのだろう。

直近の数日では、銀行株指数は下げ、株金レシオは上げで、やや方向性が違うが、おそらく、近いうちにまた揃ってくるだろう。バーナンキが、米国の経済指標の弱さが日本の震災のせいだと述べているが、このチャートを見れば、そんな表面的なことではないとすぐにわかるはずだ。さらに注目していきたいと思う。


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先週あたりから、一部のブログで、米国で金銀取引が禁止になるという記述がある。気になったので、調べてみた。なかなかいいソースがなかったのだが、このロイターの記事が一番まとまっているようだ。
 
要するに、ドッド・フランク法(金融取引規制法)により、適格者以外の取引が禁止になるため、米国において、金銀のスポット価格や先物価格によるCFDなどのデリバティブが、個人を対象として、施行日の7月15日からできなくなるようだ。すでにForex.comはそれについてのメールを顧客に発送しているが、米国のCFDや先物業者はこれにならうことになるのだろう。この新しい規制の詳細が決まれば、取引は再開される可能性が高いように思うが、当面は中止となる公算だ。

個人の地金取引や金貨・銀貨取引や、業者間のデリバティブ取引が禁止になるわけではないようだが、条文じたいに曖昧性があるため、個人の金地金取引などについては、今後若干の疑問が残るように思える。

米国の法律なので、米国在住の者だけに適応されるが、なんとも不可解な規制である。十分に今後の動きに注意しておくべきだろう。




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週末も、株安、ドル高、フラン高で終わった相場だったが、貴金属価格の下落がけっこう大きかった。ピークから見ると、コーンその他の下げも大きくなっており、途上国の需要が多くなったため商品価格が上昇したという一時の説明がおかしかったことがよくわかる。銀の超上昇時にも書いたが、要するにいつものごとくの投機相場だったのだ。
 
さて、QE2の終了に伴うぐずつき相場はもう少し継続しそうである。特になんという大きな要因もないのであるから、7月から8月には自律反発に移ると思うが、10月くらいからは次の大きな下げがはじまりそうだ。その要因は米国リスクをネタとした株価下落になると考えている。

週末の読書で、前からご紹介している若林栄四氏の新刊の「デフレの終わり 2012年に千載一遇の買い場が来る」を読んでいる。基本的には、前著の「10年大局観で読む2019年までの黄金の投資戦略」と同様に、2012年と2013年とにダブルの底が来るという見込みであるが、ちょっとそのニュアンスは異なっている。前著では、2012年が株の大きな下落、2013年が米国ソブリンリスクという読みであったが、今回は、2012年が米国ソブリンリスク、2013年が欧州ユーロリスクというふうにその要因を差し替えてある。
 
しかし前著で2009年2月の段階(サブプライムの底直前)で、2011年8月~9月に、ドル円74円と予測したのは見事としかいいようがない。(実際はやや早く3月の震災直後に76円をつけた。)今回の著では、あらたに2012年2月に二番底が来て74円をつけると予測している。(これはドル安が中心となり、ユーロドルは1.5程度まで上げると見ているが、同感だ。)

全体として、リーマンショックが大底であって、これからは二番底、三番底となり、日米とも回復に向かうという基調で書かれているが、このあたりは議論が分かれるところだろう。全体としてすでに日本が長期円安に向いているということは同意できるが、ここからの谷の深さについては、さらに慎重に考えていきたい。

金については前著よりもマイルドになっており、2012年に2000ドル、下げた後、その後2015年に向かってさらに上昇と見ている。ただ、氏は前著の方針に従って自分で金売買をして、日柄の誤りから大きな損失をしたと公言しているようなので(前著の内容は日柄がまったく間違っていた)、金価格の予測はあまり信用しない方がいいだろう。
 
日本株価については、長期円安予測から上昇を予測しており、内需関連株を推奨している。このあたりは私は専門でないので、識者のご教示を得たい。

ま、いろいろ書いたが、とにかくおもしろい本だ。しかし、個人的感想としては、前著の方が切れ味がよかったように思う。

なお、くれぐれもお願いしたいが、この書の言う通りの日柄で売買するのは危険だ。相場の流れをよく見てトレードしていただきたい。




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QE2の終了が確実になった翌日、NYはやはり下げに転じた。典型的なリスクオフの相場となり、株安・商品安(貴金属も安)・債券高・ドル高・スイスフラン高となった。昔なら、フランよりも円が強く、こういう時には円高となってドル円が急降下したのだが、すでに円にその力はない。長期円安への第一歩はもう踏み出されているのだ。とはいえ、ユーロ円、ポンド円などは下がっているのであり、まったく円高でないわけではない。今日のNYでの為替の強弱の段階は、

スイスフラン > ドル > 円 > ポンド > ユーロ

の順になっており、ドル円が上昇(円安)、クロス円では、スイス円が上昇(円安)、ポンド円やユーロ円が下落(円高)という形となった。ちなみに、サブプライム前のリスクオフ相場での為替の強弱は

円 > スイスフラン > ドル > ユーロ > ポンド

であり、ドル円の鋭い降下、スイス円を含むすべてのクロス円の下落(円高)などが見られたものであるが、このところ、リスクオフ相場でもスイス円の下落は少ない。

この、円の相対位置の変化は大きなものであり、今年後半、もし米国ソブリンリスクが相場に強く影響して、ドル安が強くなるとすると

スイスフラン > 円 > ポンド > ユーロ > ドル

のような相場が予測される(ユーロドル上昇、ドル円下落)。いずれにせよ、スイスフランが強いことには違いがなく、たとえ円が昔の感覚で買われることがあっても一時的なものに留まるだろう。ということは、スイス円の大きな下落(たとえば90円を大きく割る)はもうしばらくはないと見ていいのではないか。ちなみに今、スイスフランドル(ドルスイの逆数・掲載の画像はその月足)は1.2あたりであるが、この値のままでドル円が74円になったと仮定しても、スイスフラン円は89円までしか下がらない。

前から書いているように、このところクロス円ではスイス円の押し目買いのみをしているが、問題なくうまくいっている。今後も2013年以降、大きな円安が進むとすれば、ますますその戦略はうまくいきそうである。長期的(5年くらいのスパン)にもっとも安全な為替トレードは、スイス円の押し目買いであると見ていいと思う。

ユーロ円やポンド円、そして豪ドル円などは、いざというときに大幅下落を演じて、そこから長期円安に入るという形になり、上下動が激しいだろう。もっとも上下動が少ないのがスイス円ということだ。ただ、金利が低い国なので、ロングだとスワップ金利がつかないばかりか、場合によっては逆スワップとなることは留意しておくべきだろう。




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相変わらずのぐずつき相場であるが、ドル高からドル安で、ドル円が上下しただけだった。しかし、表面上の動きはさほどでもないが、ダウゴールドレシオは下げ、ゴールドプラチナレシオは上げで、あやしい動きになっている。まだ6月中はさらにボラティリティの大きな場合がありそうだ。しかし、全体としては、「ドル高」ということで考えておけばいいのではないか。ドル高ならば金は下げのはずだが、ユーロ圏の危機もあってひじょうに底堅い。そろそろ反転のきざしと考えてもいいかもしれない。

さて、ちょっと前に話題にした若林栄四氏であるが、昨日のストックボイスのネット放送にちょっと出ていたようだ。オンデマンドで、ここで見られるようなので興味ある方はどうぞ(1分ぐらいの所から開始)。ドル円は夏に85円、来年冬に74円、その後大幅円安、ユーロは当面1.3、その後冬に1.5、それから1.0割れを目指すとのこと。

そういえば、LEAP/E2020も56号が出ているが、米国債危機は、ずばりこの10月に開始されるとのご託宣だ。

いろいろあるが、今年の後半からは要注意と考えておいてよいだろう。








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先週は予想通り下げ相場がやや強くなって終了した。ダウも当面予想した12000ドル割れまで到達した。テクニカル的反発はあってもいいところだが、問題は、その後になる。まだ6月末から7月に向かって下げる可能性が高いが、それがひじょうに大きくなると、現在のドル高(ユーロドル安・ドル円高・クロス円安)に、円高が加わって、ドル円とクロス円の下降が大きくなることが予想される。
 
6月末でQE2が終わることについては、先日のバーナンキ演説ベージュブックなどで、米国の最近の経済失速が、日本の大震災の影響を受けていること(だから一時的なことだというニュアンス)を述べるなど、米国としては、今年後半からの経済の再上昇を信じている様子(少なくとも、表向きはそういうポーズ)なので、すぐに政策変更があるとは考えられない。7月からただちに利上げなどということはもちろんないが、緩和的姿勢を見せつつ、様子見をすることになるだろう。ただ、現在のペースのマネタリーベースの供給が絶たれた場合、銀行の準備預金残高が急激に減少し、また、国債の売れ行きが鈍る(現在、米国債の所有残高はFRBは1兆3400億ドル。QE2により半年でほぼ倍に増加したのだ。ちなみに、中国も日本も7500億ドル程度で、比較にならない。)など各方面に及ぼす影響は甚大だ。次の政策が打たれるまで、株価は上下しつつ下落していくものと思う。QE1停止の時も一ヶ月すこしで株価は大きく下落した。
 
したがって、為替も、ドル高に続く円高の傾向が強くなっていくものと見ている。ドル円もおって下降に向かうだろう。




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週初の予想通りいろいろなものが下げてきている。株価、商品、クロス円などから徐々に資金が逃げている様子だ。まだこのまま下にいきっぱなしとは考えにくいが、6月中は下向きと思われる。当初から下げ気配だった、金鉱株指数(HUI)に、昨晩、P&Fでダブルボトムの下方ブレークシグナルが出ている。今日もNY開始から大きく下げている。金鉱株指数は、金価格に先行することが多いため、やはり1550ドルあたりが当面の金の小天井だったのではないか。全体に今のぐずつき相場はやや規模を大きくした形での下げ相場となって6月を終了しそうな気配である。

為替の方は積極的に入りづらい動きなので、特に大きく売り買いはしていないが、ドル円は戻り売りでいいのではないかと思っている。唯一ロングしているスイス円であるが、上昇したところでかなり売ってしまったので、残しているものは少ない。長期めあてに残すべきかどうかかなり迷っているところだ。

株・金は、株ショート、金ロングで問題ないだろう。ここから少なくとも半年は、

1 株下げ、金下げ(リスクオフ)
2 株上げ、金上げ(リスクオン)
3 株下げ、金上げ(米国ソブリンリスク)

の可能性があっても

4 株上げ、金下げ(米国景気本回復)

の可能性はひじょうに減ってきている。よって、株ショートと金ロングの組み合わせで対応可能と思っている。株が上がった時に戻り売りで、金が下がったところで押し目買いでと、タイミングをずらしつつ両ポジションを組み合わせて増加させるべきところだろう。



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米国有名ファンドのポールソンが金を買っているというのはよく知られているのだが、その根拠に、米国のマネタリーベースと金価格は比例し、その計算では金は2400ドル、さらにオーバーシュートして4000ドルになると言っているということを前に紹介した。その時は自分ではきちんと計算しなかったのであるが、今回、改めて自分で計算してみたのでご紹介したい。
 
まず、一般論として、金本位制の時代には、中央銀行は、保有する金(資産)と等しい額の貨幣(負債)を発行し、バランスシートが平衡していたということがある。金本位制が終わった今は、保有する国債等の債券(資産)と、発行する紙幣(負債)が平衡するのが原則だ。今のFRBは、膨大な紙幣(マネタリーベース)を放出するのと引き替えに、市中から国債等を買い入れてきてB/Sを保ってきたということになる。
 
さて、その膨大に発行されたマネタリーベースが、金価格との比較でどのように薄まっているかを計算する方法であるが、次のように考えるのがひとつの方法ではないか。

まず、金本位制時代の最後の頃である1960年の米国マネタリーベースは約200億ドルで、その時代の金価格はオンス35ドルである。

それで、現在の米国マネタリーベースは2兆6000億ドルで、当時の130倍となっている。したがって、もし現在が金本位制であるとすれば、それと釣り合うだけの金は2兆6000億ドルとなり、1960年当時の130倍の全体価格が必要なのだ。したがって、もし、中央銀行に保管されている金の分量が変わっていないと仮定すると、金のオンスあたり価格も130倍になっていなくてはならない。つまり、35×130で4550ドルとなる。

つまり、FRBが保管する金の量が変わっていないとして(米国の金貯蔵庫のあるフォートノックスには金が既にないという説もあるのだが、それは置いておいて)、そして、もし米国が今も金本位制ならば、金は4500ドルでなくてはならない。現状の1500ドルとの差が今後の金の暴騰を意味していることになる。

実際に、中間の1985年で見てみると、マネタリーベースが2000億ドルで10倍であり、金価格もやはり10倍の350ドル程度であり、だいたい計算はあっているのである。

ポールソンの計算の詳細はわからないが、おおよそ上の計算と似たようなことをやっているに違いない。この考えにはいくつかの仮定が含まれるが、もっとも重要なのは「もし今も金本位制なら」という部分である。つまり、ドルに信頼が十分であれば、この仮定は無意味であり、金を買う必要はない。しかし、ドルへの信頼が弱くなれば、この金本位制時代の記憶がよみがえってくるというわけだ。

掲出した画像のように、今月もQE2の最後の勢いで米国のマネタリーベースは急上昇している。金価格の考え方のひとつとして上の計算をご参考にしていただきたい。



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米国の景気にいよいよ黄色信号が点いてきた。ここからは、上げ下げはあるものの、今年後半から来年に向けて大きな危機を迎えるというのが、本ブログの主張でもあるが、その論拠の大きな部分となっているのがサイクル論である。そのうち、ドル円のサイクル論について、従来、日本でもっともきちんとした主張を続けているのは若林栄四氏であることは言うまでもない。氏のサイクル論は、時期がずれる場合もあるものの、おおよそいい線をついていることは、従来の著作を読んでいる方には納得されるものだ(旧著「10年大局観……」は、左下の本紹介にも入れてある)。私も何度も書いているが、大いに影響を受けている。

その氏が、来年2012年に向けて景気の大底が来ることを説いた新刊が6月末に刊行される。ぜひ読んでみたいと思っているが、アマゾンでは内容紹介がそろそろ出ているので、以下にリンクページを貼り込んでおく。今回も楽しみな中味であるようで、期待して刊行を待ちたい。

デフレの終わり 2012年に「千載一遇」の買い場がくる
若林栄四
日本実業出版社



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