QE2の終了が確実になった翌日、NYはやはり下げに転じた。典型的なリスクオフの相場となり、株安・商品安(貴金属も安)・債券高・ドル高・スイスフラン高となった。昔なら、フランよりも円が強く、こういう時には円高となってドル円が急降下したのだが、すでに円にその力はない。長期円安への第一歩はもう踏み出されているのだ。とはいえ、ユーロ円、ポンド円などは下がっているのであり、まったく円高でないわけではない。今日のNYでの為替の強弱の段階は、
スイスフラン > ドル > 円 > ポンド > ユーロ
の順になっており、ドル円が上昇(円安)、クロス円では、スイス円が上昇(円安)、ポンド円やユーロ円が下落(円高)という形となった。ちなみに、サブプライム前のリスクオフ相場での為替の強弱は
円 > スイスフラン > ドル > ユーロ > ポンド
であり、ドル円の鋭い降下、スイス円を含むすべてのクロス円の下落(円高)などが見られたものであるが、このところ、リスクオフ相場でもスイス円の下落は少ない。
この、円の相対位置の変化は大きなものであり、今年後半、もし米国ソブリンリスクが相場に強く影響して、ドル安が強くなるとすると
スイスフラン > 円 > ポンド > ユーロ > ドル
のような相場が予測される(ユーロドル上昇、ドル円下落)。いずれにせよ、スイスフランが強いことには違いがなく、たとえ円が昔の感覚で買われることがあっても一時的なものに留まるだろう。ということは、スイス円の大きな下落(たとえば90円を大きく割る)はもうしばらくはないと見ていいのではないか。ちなみに今、スイスフランドル(ドルスイの逆数・掲載の画像はその月足)は1.2あたりであるが、この値のままでドル円が74円になったと仮定しても、スイスフラン円は89円までしか下がらない。
前から書いているように、このところクロス円ではスイス円の押し目買いのみをしているが、問題なくうまくいっている。今後も2013年以降、大きな円安が進むとすれば、ますますその戦略はうまくいきそうである。長期的(5年くらいのスパン)にもっとも安全な為替トレードは、スイス円の押し目買いであると見ていいと思う。
ユーロ円やポンド円、そして豪ドル円などは、いざというときに大幅下落を演じて、そこから長期円安に入るという形になり、上下動が激しいだろう。もっとも上下動が少ないのがスイス円ということだ。ただ、金利が低い国なので、ロングだとスワップ金利がつかないばかりか、場合によっては逆スワップとなることは留意しておくべきだろう。
| Trackback ( )
|