昼の私は、昼子博士という名の徹底した物質主義の科学者です。世界は物質だけから成り立っている。物質の法則だけで動いている。この机も、このパソコンも、そこのケージに入っている実験用の猿も、原子と分子のかたまりだから、物質に過ぎない。あそこに座っている助手のマリーも、人間だけれど、すべての人間は物質に過ぎない。物理と化学の法則で動いている機械に過ぎない。この私、昼子だって、人間の一人なのだから、同じです。こういうことは全部、今私が考えているみたいに感じるけれども、それは脳細胞の細胞膜が電位変化しているだけだから、科学で完全に記述できる物理現象に過ぎないわ。今私は、コーヒーが飲みたいけれども、それもマリーが作っているコーヒーの香りで脳細胞が電位変化しているからなのね。「私の心がコーヒーを欲しがっている」なんていう言葉は意味がない。私などない。心なんて錯覚なのだから。あ、マリー君、私にもコーヒー一杯くれる?
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