暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

戻れない帰れない見つからない

2010-04-10 | -2010
私は今、
(帰ってきている?)
(遠い場所にいる?)

おぼつかない空間のすきまで
適応できなくなった魚のように揺れている
逃げるように地中へもぐれば
より一層と足は宙を掻いた

人はいずれ変わるという
けれど人並みは変わらない
街並みはいずれ変わるという
変わったからこそわからなくなる
人はいずれ変わるという
いずれといわず知らずに変わる

バスに揺すられ
視線に揺すられ
自意識は揺れ
見えない地面にこころが揺れる
日の当たる隙間に咲いた
背の高い鈴蘭はどこから来たのだろう
しなびて枯れても毒は残るか
日陰へ逃げ帰る私の道には
点々と水が滴っていた

私は今、
(帰ってきている)
(もう還れはしまい)
(遠い場所にいる)
(近い場所さえ掴めないのだから)

鈴蘭が枯れるより早く
水はすぐに乾いた

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