暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

遺伝子

2010-10-29 | -2010
私の茎は寒々しく萎れている
私の根は苦しげに縮こまり
私の葉は黄ばんで垂れている
実りを知るには花を咲かせねば
葉のすきまから覗く蕾の芽は
ずっと胎動を止めている

たった一束の草が枯れても
営みは休むことなく活動する
体系をつなぐ線はまるで
土と水をめぐる血流のよう
私は細胞をもつ細胞であり
ただ芽吹いていただけ
活動を続けたがそれは終わりを見せ始め
脈々と受け継がれていくはずの遺伝子は
ひっそりと途絶えようとしている

花はつまり生存の意志
なぜ子を産まずに生きているのか
萎れた茎はそれでも
根から水と養分を吸い上げ葉に送る
おおきな役割を果たしながらも
ちいさな役割が捨てられて
私は酸素を呼吸している

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