暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

カフカ

2008-05-03 | -2008
日傘を持った綺麗なご婦人
おおいやだと蜘蛛を潰した
それでもなんとか生き延びて
今度は酒場に行ってみた

蜘蛛はほんとは王子様
みんなが敬う王子様

世間知らずの蜘蛛が一匹
忍び込んだらさあ大変
見たこともない酔っ払い
酒瓶片手に騒いでる
あれやこれやの喧嘩商売
のぼり白めくたばこの煙
酒の臭いに酔わされて
蜘蛛はぜひぜひ逃げ出した

蜘蛛、君はもう
人間ですらない

蜘蛛は森へはかえらない
だって町こそ彼の配下
城が棲みかの蜘蛛だから
蜘蛛は森へはかえらない
いろんな人が生きていて
蜘蛛はもれなく疎まれた
それでも森へはかえらない
死んでも蜘蛛は王子様
町の隅で息絶えた
潰され蹴られ弾かれ避けられ
無惨な蜘蛛を魔女が拾う
高笑いの気狂い女を
みんながみんな見ていたけれど
王子様には気付かない

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