ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

色彩

2013年05月17日 | 文学

 ようやっと、昼間は初夏を感じさせる陽気になりました。
 季節の移ろいが今年はゆっくりに感じられましたが、それでも着実に季節は変わっていきます。

 私は与謝野晶子の歌はあまりに情が強(こわ)すぎて好みませんが、初夏の訪れを祝って色彩感覚豊かな彼女の和歌を思い起こしました。

 ああ皐月 仏蘭西の野は 火の色す 君もコクリコ われもコクリコ

 明治末期、子供を日本に置き去りにして与謝野鉄幹を追って与謝野晶子はパリに渡ります。
 コクリコとはひなげしの花。
 コクリコの鮮やかな赤が、初夏の激しさと晶子の恋情の激しさを物語ります。
 おのれとパートナーを真っ赤なコクリコに例えるあたり、怖ろしいですねぇ。
 そんな女が追ってきたら、私であれば裸足で逃げ出すところです。



 子をすてて 君にきたりし その日より 物狂ほしく なりにけるかな

 
物狂ほしくでもならなければ、そんな所業には及べますまい。

 
赤のイメージが強い与謝野晶子ですが、爽やかな青を歌っていて、意外です。
        

 雲ぞ青き 來し夏姫が 朝の髪 うつくしいかな 水に流るる

 こちらの青は鮮烈というより清冽です。 

 同じ歌人のなかにも、様々な要素があって、それはしかし、自分自身のことを振り返ってみれば当たり前のことです。
 同じ人間の中には、善と悪、天使と悪魔が同居していることが常ですから。

 そして青といえば、

  白鳥は かなしからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ

 という若山牧水の歌を挙げなければなりますまい。
 この青と白の鮮やかな対比は、和歌史上例を見ない美しいものだと思います。

 これからは若葉の緑が鮮やかな季節となります。
 時にあまりにも鮮やかな色彩は悪趣味にも感じますが、わが国の自然は不思議と色にしても佇まいにしてもどこか控えめ。
 文鳥とインコを比べてみれば一目瞭然でしょう。

 私は毒々しさすら感じさせる鮮烈な色彩よりも、控えめで地味な色彩を好みます。

みだれ髪 (新潮文庫)
与謝野 晶子
新潮社



与謝野晶子歌集 (岩波文庫)
与謝野 晶子
岩波書店

 

若山牧水歌集 (岩波文庫)
伊藤 一彦
岩波書店

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身上調書

2013年05月17日 | 仕事

 毎年この時期、身上調書というものを職場に提出します。
 学歴、履歴、資格等を記入のうえ、現在の仕事の量や難易度を申告し、残業時間や年休の消化率を記載して、最後に希望する勤務地域や職種を書き、家庭の特殊事情があればそれを記載するもので、今後の人事異動の際の資料となるものです。

 職場復帰して3年以上が経過し、過去2年は大人しめに書いてきましたが、今回は正直に書きました。

 まず、仕事が少ないということと、あまりにも容易だということ。
 病み上がりの私への配慮はもう要らないということです。
 ただ、私の前任が、信じがたいことに月の残業時間が100時間を超えていたとかで、私の場合10時間以下ですから、仕事が少ないというのは私にとっては、ということになるのかもしれません。

 今後はがんがん負荷をかけてほしいものだと思います。
 どこが私の限界なのか、再確認したいと思いますので。
 しかし、今の私には仕事が原因で再発することなど考えられません。

 平成16年のうつ病を発症した時は明らかに仕事が原因でしたが、平成19年に再発してその後長期病気休暇を2回も取るはめになったのは、これは仕事ではなく、上司からのパワー・ハラスメントが原因です。
 平成19年においても仕事量は少なく、難易度は容易でした。

 今、同じ部署の他の連中の仕事量を見ると、明らかに私よりは少ないのに、毎日毎日残業する輩が溢れています。
 基本給が下がってしまった今、超過勤務手当が欲しいのは分かりますが、それでは基本給を下げた意味がありません。
 仕事は効率よく終わらせて人件費抑制に協力するのが公的機関に勤める者の義務でしょうに。

 今の部署も三年目。
 私の業界では概ね3年で異動するのが一般的ですから、来年の3月には異動の可能性が高いと思われます。
 とっとと異動したいものです。

 もっとも、どこに行っても楽しい仕事なんてあろうはずもありませんが。


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