ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ウェルテル効果

2013年05月12日 | 文学

 ゲーテの名作「若きウェルテルの悩み」が発表されるや、ウェルテルの真似をして多くの青少年が自殺したことから、著名人の自殺を模倣して後追い自殺をする者が急増することを、ウェルテル効果と呼ぶようになりました。

 2年前の今日、貧乏アイドルを売りにしていた上原美優が首つり自殺を遂げました。
 享年24歳。
 若すぎる死としか言いようがありません。
 この日から一週間、20代・30代の若者の首つり自殺が急増したことから、ウェルテル効果と見られています。
 ウェルテル効果の特徴は、単に後追い自殺するにとどまらず、その自殺の方法まで模倣することにあるようです。

 古くは人生を不可解として華厳の滝から投身自殺をした一高生の藤村操
 彼は明治36年に自殺しましたが、この後40人もの若者が華厳の滝から身投げして亡くなっています。
 事態を重く見た警察が華厳の滝周辺をパトロールし、自殺志願の青年を150人ちかくも保護。
 彼らが全員死んでいたら、じつに190人もの若い命が無駄になっていたことになります。

 また、1986年には人気絶頂のアイドル、岡田有希子が18歳で四谷のサンミュージック社屋から飛び落り自殺。
 多くのファンが有希子のところに行く、と称して後追い自殺しました。

 わが国では毎年3万人もの人が自殺します。

 誠に痛ましいことです。

 私も31歳の時、27歳の後輩を自殺で失いました。
 ひどいショックを受けたことを思い出します。
 とくに彼が私の後任で、最も忙しい年度末に命を絶ったことから、彼がおかれた状況が手に取るように分かり、彼の隣に私が座っていれば、決して自殺などさせなかったものをと、傲慢なことを考えました。
 困難は私が引き受ける、と。

 しかし、失った命が戻ることはありません。
 私は生涯、後輩の自殺というきつい現実を背負い続けなければなりません。

 そういう私も、うつ状態がひどい時にはたびたび自殺衝動に駆られました。
 それを乗り越えたのは、ひとえに死という不明の状態が怖かったから。

 ウェルテル効果といのは、自分の命ですら流行りで捨て去る、一種の熱病のようなもの。
 私がたびたびこのブログに書いてきたように、教育の目的の主眼は、醒めた人間を作ることだと確信します。
 醒めた人間は熱病に浮かされたように自殺することはなく、また、損得を考えずに戦争を仕掛けたりしません。

 損得で動く人間とは交渉可能であり、おのれの小さな正義だか信念だかに凝り固まった人間とは、話し合いの余地がありません。

 しかしこの世の中に絶対的な正義や真実など存在せず、地域や時代によって、それらは異なります。
 極端に言えば、60億の人間がいれば60億の正義が存在し、それを頑なに主張すれば、社会は混沌に陥り、際限のない争いに突入せざるを得ません。

 だからこそ利害を中心にして外交交渉は行われ、利害を求める相手とは交渉が成り立ちます。

 そうであるなら、基本的な社会常識を教えるのは当然としても、教育の最も重要な要諦は、熱くならず、醒めた態度で利害を調整できる人間を作ることであるに違いありません。

 多くの青春ドラマは、そういう意味で間違ったメッセージを青少年に送っていると言わざるを得ません。
 冷酷な大人の社会では、子供じみた熱い正義など通用するはずもありません。
 青少年が熱くなりがちなのは事実ですが、だからこそ、冷静でい続けることの重要さを、教え込むべきでしょう。

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)
高橋 義孝
新潮社

 

ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~ [DVD]
アレクサンダー・フェーリング,ミリアム・シュタイン,モーリッツ・ブライブトロイ,フォルカー・ブルッヒ,ブルクハルト・クラウスナー
Happinet(SB)(D)

 

若きウェルテルの悩み (まんがで読破)
ゲーテ,バラエティアートワークス
イースト・プレス

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外相整えば

2013年05月12日 | その他

 今日はまた、昨日とはうってかわって良い陽気でした。

 昼飯は近所の蕎麦屋で済ませ、そのまま近所を散歩しました。
 約2時間。
 1万歩を超えて、軽く汗をかきました。
 帰りの近所のスーパーに寄ったら、たくさんカーネーションが置いてありました。

 今日は母の日でしたね。

 私は一週間くらい前に、今日実家に届くようアマゾンでブリザーブドフラワーを注文しました。



 ブリザーブドフラワーは生きた植物の樹液を有機保存液に置き換え、自然な形、弾力、ボリュームを残したもので、2年間くらい鑑賞できるという長所があります。
 生の花ではすぐに枯れてしまいますし、造花ではあんまり色気が無いので、ここ数年母の日はこれを贈っています。

 ちょっと高いんですけどね。

 父を亡くして一年2か月、母はいまだショックから立ち直ってはいないように見受けられます。
 学生時代に出会って50年ですから、それも仕方ありますまい。
 時期を待つ他ないでしょう。

 時間こそ、悲しみから立ち直る最良の薬。

 生きている者がいつまでも亡くなった者に執着していては、死者も成仏できますまい。

 まぁ、この1年2か月で24キロも体重が落ち、一向に増加に転じない私が言えた義理でもありませんが。

 近しい人が死ぬということが、これほどダイレクトに私に影響を与えるとは想像もできませんでした。
 不幸中の幸いは、メンタルをやられて仕事に行かれなくなる、という状況には陥らなかったこと。
 同居人はそれを心配していたようです。
 毎日きちんと出勤できていれば、体重が落ちても問題ありません。

 そういえば先日、夏のスーツのウエスト直しを依頼したら、断られてしまいました。
 ウエストを18センチもつめたら、型がおかしくなってしまうそうです。
 ずっと前に買った夏のスーツを引っ張り出したら、サイズは良いのですが、あまりにくたびれた感じで、あんなものを履いて職場に行ってもやる気がわきません。

 外相整えば内相自ずから熟す、と言いますからねぇ。

 夏のスーツは購入するしかなさそうです。

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長い

2013年05月12日 | 仕事

  今日は午前10時からマンション管理組合の理事会でした。
 12時半まで、2時間半もかかりました。

 長い。

 それもそのはず、9月から12月に予定している大規模修繕工事の契約を6月1日にひかえて、契約書・仕様書の文言を一言一句確認したのです。
 請負業者の住友不動産が用意してきた原案が杜撰で、誤字脱字だらけ。
 そんなことを理事会が一々チェックしなければならないのだとしたら、重要な案件の審議などできようはずもありません。
 しかも疑問点を住友不動産の担当者にぶつけても答えられず、社に持ち帰って検討する、と言うばかり。

 4千万円の契約にしては、いい加減すぎやしないでしょうか。

 住友不動産はマンションが建ってから13年間管理業務を請け負っており、それに胡坐をかいているとしか思えません。
 大規模修繕工事の請負業者を住友不動産に決めたのは前年度の理事会ですが、複数社から見積を取って決めたとは言うものの、これでは先が思いやられます。

 どうも4月の人事異動で担当者が替わり、前任者との引継ぎがうまくいっていないのと、管理組合を素人集団となめてかかり、契約書も仕様書も黙って了承するものと思い込んでいたようです。

 大きな間違いです。

 理事長は銀行員で書類を精査するのは得意技。
 私は職場で長く契約事務に携わり、その手の仕事に抜かりはありません。
 おまけに理事の一人は建築家とあって、専門的な細かい質問をぶつけます。
 さらにもう一人の理事は校正のプロらしく、誤字脱字や日本語として不自然な文言は見逃しません。
 くじ引きで選んだとは思えない、最強の布陣です。
 うるさ型が揃っているのですから。

 結局最終案を5月21日までに管理組合のメンバー全員に送付し、5月25日までに意見を集約して6月1日の契約にこぎつけようということになりました。

 何事によらず、仕事は人。
 メンツさえそろえば、大手の住友不動産であっても怖れるに足りません。

 せめて誤字脱字が無ければ、あんなに細かくチェックしなかったものを。
 担当者が作成した原案、社内で誰もチェックしなかったそうです。
 それじゃあミスだらけにもなりましょう。

 わが業界では軽微な書類であっても、最低課長までは決裁を取り、二重三重にチェックしています。
 スピードはなくても万事遺漏が無いお役所仕事というものは、そういったチェックの上に成り立っています。
 そういう意味では社会保険庁の杜撰さはご同業として信じがたいものです。

 どこの職場にもゴミ捨て場とも言うべき、無能な人間を送り込む部署が存在します。
 もしかしたら、厚生労働省にとっては、社会保険庁がゴミ捨て場だったのかもしれませんねぇ。
 国民の老後を預かる大事な部署だと言うのに。

 昨日は雨と微熱でゴロゴロし、今日は今日とて午前中を理事会でつぶされました。
 これで明日からまた仕事とは、やれませんねぇ。

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