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てらまち・ねっと



 政府や与党の年金問題対応、突然、時効撤廃の法律案が提出された。
 その中身は一概に悪いことではないとしても、そもそもの政治状況判断から突如として法律を提出、これを数日で可決して成立させようというのは、独裁政治そのものだと私は感じる。

 何でも思ったまま強行採決、思いつき放題に方向付け・・・今の日本の政治はこの状態。
 これが独裁でなくて、なんだろう・・・と思うのは私だけだろうか。

 ともかく、今回の時効撤廃のことには、時効を理由に被爆者援護法に基づく健康管理手当の一部を支給拒否したことを最高裁が違法としたことの判決(今年2月)における法律の考え方からすれば当然のことなのではないかと思う。いずれやべきこと。
 一部をこの文末に引用しておくけれど、詳しくは、2007年2月7日のブログ ◆平成18年2月6日 最高裁第三小法廷判決。地方自治法236条2項。時効なし

 今日は議会の特別委員会の会議&視察研修で朝から出かけていた。
 この投稿、朝、送信したつもりだったけど今みたら、未送信(汗)

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● 年金不足分を全額補償、与党が救済法案提出…5千万件調査  5月30日 読売
 自民、公明の両党は29日、公的年金保険料の納付記録が正しく年金額に反映されない年金記録漏れ問題について、年金額が本来より少ないことが確認された場合は、過去の不足分を全額補償することを柱とした救済法案「年金時効撤廃特例法案」を国会に提出した。

 今国会で成立させ、成立後、すみやかに施行する方針だ。
 現行制度では、社会保険庁のミスなどで受け取っている年金が本来より少ないことがわかっても、国が補償するのは過去5年分の不足分だけだ。それ以前は「時効」となり、補償されない。
 同法案は、こうした5年の時効を、年金に関しては適用しないという内容だ。
 与党が全額補償に踏み切ったのは、国会審議などで約5000万件もの納付記録が該当者不明で放置されていることが判明し、社保庁のずさんな記録管理が、記録漏れの原因であることが確実となったためだ。
 全額補償は、同法案の成立前も含めて、年金が本来より少ないとして訂正された年金受給者すべてが対象となる。
 これ以外にも同法案は、〈1〉保険料の納付期間が25年に満たない無年金者だったが、記録漏れが見つかり25年を超えれば全額補償する〈2〉受給者が死亡後に、記録漏れが判明しても、生前の不足分を全額、遺族に補償するだけでなく、遺族年金も生前の年金額の訂正に見合った額に増額する――としている。
 また、法案は、政府に対し「年金個人情報を正確な内容とするよう万全の措置を講じる」とする、責務を盛り込んだ。この規定に基づき政府・与党は、約5000万件の記録の全件調査を2年程度で実施する方針だ。
(2007年5月29日22時8分 読売新聞)

● 年金支給漏れ ぬるま湯組織が残した負の遺産  読売 (5月29日付・読売社説)
 不完全な年金記録の問題は、公務員組織のぬるま湯体質がもたらしたものだ。その点を見誤ってはならない。
 社会保険庁改革法案をめぐって国会が揺れている。社保庁を解体し、非公務員型の公法人「日本年金機構」を創設することが法案の柱だ。
 野党は、持ち主不明の“宙に浮いた年金記録”の究明が先だ、として対決姿勢を強めている。
 年金記録のうち5000万件が、だれのものか分かっていない。このままでは受け取るべき年金額が目減りするケースが相当な規模で生じかねない。制度の信頼を揺るがす重大な問題だ。年金の受給権が不当に損なわれないように、手を尽くさなければならない。
 だが、それを理由に社保庁改革を遅らせては本末転倒だろう。過去のでたらめを一掃するためにこそ、公務員の身分に安住してきた社保庁の組織を刷新する必要がある。
 年金記録の不備はなぜ生じたのか。
 1997年から、一人に一つの基礎年金番号が割り振られた。転職や結婚などで厚生年金から国民年金に移るなど、複数の年金に加入歴があっても、記録を一元的に管理する制度が導入された。

 ところが社保庁は、制度導入以降、本人の申請を呼びかけた以外に、記録を統合するための積極的な手立てを講じなかった。精査して記録統合に取り組んでいれば、基礎年金番号と結びつかない年金記録が、これほど積み残される状況は生じなかったはずである。
 窓口の対応や規定にも問題があった。あるはずの加入記録がない、と申し立てても、保険料の領収書がなければほとんどが門前払いだった。支給ミスを証明しても、過去5年を超えるものは、会計法で時効とされて支払われない。
 記録の統合を申請しない方が悪い、証明書類を保管していない方が悪い、という、典型的な“お役所仕事”が事態を悪化させたのである。社保庁改革に何が求められるかは自明であろう。

 組織を一新しつつ、正確な年金記録を整え、社保庁のミスで支給漏れが生じた人の救済に取り組む必要がある。
 政府・与党は、領収書がなくても加入記録の修正を柔軟に行うことや、特別立法で時効を適用しないなどの対策をとるとしている。
 持ち主不明の年金記録5000万件もすべて調査し、実態を明らかにするという。膨大な作業だが、国民の年金不信を解消するには不可欠だ。
 社保庁が残した負の遺産とも言うべき難題を解決しなければならない。
(2007年5月29日1時58分 読売新聞)

● 時効撤廃し満額支給へ 年金記録の不備対策   中国新聞 '07/5/30
 自民、公明両党は二十九日午後、社会保険庁が管理する年金記録の不備により、受け取った年金に不足がある受給者を救済するため、本来の支給額を過去にさかのぼって満額支払うことを可能にする「年金時効撤廃特例法案」を国会に提出した。
 一方、与党は社会保険庁改革関連法案の同日中の衆院本会議採決を見送った。両法案をセットで三十一日に衆院通過させる方針だが、野党は徹底抗戦の構えをみせている。
 年金受給に関しては現行制度でも、社保庁側が保存する保険料の納付記録に欠落があったことが後で判明すれば、正しい記録に基づく受給額との差額を受け取ることができる。しかし、会計法が定める時効により五年間分しか支給されないため、特例法案はこの時効を撤廃した。既に死亡している受給者の遺族も差額支給の対象にする。

 また記録の管理があまりにもずさんだったとの反省から、政府に対し年金の個人情報を正確な内容とするため万全の措置を講じる責務を規定した。安倍晋三首相は二十九日夜、記者団に「国民の不安をなくすことにつながる。ぜひ今国会で成立させたい」と述べた。
 提出に先立ち自民党は、年金記録の不備問題への対応を検討する緊急調査委員会の初会合を党本部で開き、約五千万件に上る該当者不明の年金記録が誰のものか確認する作業を一年程度で完了するよう政府に求める方針を決めた。
 中川秀直幹事長は会合後の記者会見で「作業は膨大で時間を要するが、行政の怠慢、不作為の問題であり、行政の責任において早急に決定し、完遂させたい」と強調。また午前の会見では年金記録の不備問題について「歴代の社会保険庁長官の責任も明確化しないといけない」と述べた。

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年金は5年、その他は2年
 
◆ 年金受給の時効  
 年金給付は、年金を受ける権利ができた日から5年以内に請求しないと、時効によって受けられなくなります。 もらい忘れの年金があり、請求すると5年分まとめて支給されます。  
       ◆ 一時金受給の時効  
 遺族に支給される死亡一時金や被保険者資格を失った外国人に支給される脱退一時金等の一時金(手当金)は、2年以内に請求しないと、時効によって請求できなくなります。  
       ◆ 保険料納付の時効  
 一般的には、国民年金の保険料は納付期限から2年以内であれば納めることができます。
 納付期限から2年を過ぎると、時効により納めることができなくなります。 また、保険料を納めすぎたときは、2年以内に還付の請求をしないと、時効によって請求できなくなります。  
 ただし、国民年金保険料の免除を受けた期間は、老齢基礎年金が3分の1に減額されます。
 満額の年金を受け取るために、免除期間の保険料を10年前までさかのぼって納める(追納する)ことができます。  
 その他、国民年金の第3号被保険者の届出についても、遡及可能なのは2年となっています。  
 保険料の納付手続など、詳しいことは、社会保険事務所にお問合せ下さい。

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2007年2月7日のブログ ◆平成18年2月6日 最高裁第三小法廷判決。地方自治法236条2項。時効なし
・・普通地方公共団体が,上記のような基本的な義務に反して,既に具体的な権利として発生している国民の重要な権利に関し,法令に違反してその行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし,その行使を著しく困難にさせた結果,これを消滅時効にかからせたという極めて例外的な場合においては,上記のような便宜を与える基礎を欠くといわざるを得ず・・・

 信義誠実の原則は,法の一般原理であって,行政法規の解釈に当たってもその適用が必ずしも排除されるものではないことは,今日広く承認されているところである。地方自治法236条2項の解釈・適用に当たってもこのことは変わらないのであって,住民が権利行使を長期間行わなかったことの主たる原因が,行政主体が権利行使を妨げるような違法な行動を積極的に執っていたことに見出される場合にまで,消滅時効を理由に相手方の請求権を争うことを認めるような結果は,そもそも同条の想定しないところと考えるべきである。


● 在外被爆者勝訴が確定 最高裁判決  2月6日 東京新聞
 ブラジル在住の日本人被爆者三人が、時効を理由に被爆者援護法に基づく健康管理手当の一部が支払われないのは不当として、広島県に計二百九十万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が六日、最高裁第三小法廷であった。藤田宙靖裁判長は「県は違法な事務で、在外被爆者の手当請求を積極的に妨げた。時効の主張は信義則に反する」と述べ、未支給分全額の支払いを命じた二審広島高裁判決を支持、県側の上告を棄却した。被爆者側の勝訴が確定した。 
 訴訟では、在外被爆者に手当を支給する際、過去の未支給分について、地方自治法上の時効(五年)を適用した県の措置の妥当性が争われた。
 藤田裁判長はまず、「海外に移住すると手当の受給権を失う」と解釈されていた旧厚生省の一九七四年通達を「根拠はなく違法」と指摘した。
 その上で、県側の時効の主張について「違法な通達に従い、手当の申請が困難だった在外被爆者に対する支払い義務を免れようとするに等しい」と厳しく批判した。
 判決によると、三人は広島で被爆後、ブラジルに移住。
 九四-九五年、日本に一時帰国した際に手当の受給を認められたが、ブラジルに戻った後、通達を理由に支給を打ち切られた。
 二〇〇三年三月、在外被爆者に受給資格を認めた大阪高裁判決が確定。国は方針転換して在外被爆者への手当支給を始めたが、原告三人には、未支給分のうち提訴時を起点に五年前までの分しか支払わなかった。
 一審広島地裁は、県の主張を認めて被爆者側の請求を棄却。
 二審は「海外移住した被爆者に手当を支払わない国の方針は誤りだった。時効の主張は著しく正義に反する」として、被爆者側の逆転勝訴を言い渡したため、県側が上告していた。
 時効が争点になった在外被爆者訴訟では、福岡高裁が今年一月、「請求権は時効で消滅した」として在外被爆者の請求を退ける判断を示し、被爆者側が上告している。

● 在ブラジル被爆者訴訟、原告の勝訴確定   日経 2月6日
 広島で被爆し、ブラジルに移住した向井昭治さん(故人)ら3人が、被爆者援護法に基づく健康管理手当の一部を時効を理由に支給しないのは違法として、広島県に未払い分計約290万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が6日、最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)であった。同小法廷は「時効を主張して手当の支給義務を免れることはできない」との判断を示した。
 そのうえで請求全額の支払いを命じた二審・広島高裁判決を支持、県側の上告を棄却した。男性らの勝訴が確定した


コメント ( 7 ) | Trackback ( )



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コメント
 
 
 
Unknown (hontino)
2007-06-01 16:16:25
TBありがとう!
自民党の独裁を許したのは国民です。
当然の報いでしょうが、今度の参院選は性根をすえて議会政治を本来の姿に返すことを考えましょう。
年金の時効そのものがおかしい制度だったと思います。こんなことが無ければ、表に出なかったとは日本の官僚の腐敗をよく表しています。
今回の特例法案も、今後をよく見ておかないと空文になる要素は多いと思います。
 
 
 
こんにちは (次世代管理人)
2007-06-01 23:48:57
 TB有難うございました。記事書いてみましたのでご覧ください。
 
 
 
政治と背景 (●てらまち)
2007-06-02 06:42:26
★hontinoさん、おはようございます。

>自民党の独裁を許したのは国民です。
当然の報いでしょうが、今度の参院選は性根をすえて議会政治を本来の姿に返すことを考えましょう。

⇒そうですね。

>年金の時効そのものがおかしい制度だったと思います。こんなことが無ければ、表に出なかったとは日本の官僚の腐敗をよく表しています。

⇒何もかも一番良く知っているのは当の官僚たち。放置してきた責任は重大。

>今回の特例法案も、今後をよく見ておかないと空文になる要素は多いと思います。

⇒特に今回の特例は、「見せ金」の感がプンプン。参議院選挙が済んだら、対策もどこかへ飛んで行くかもしれませんね。

★次世代管理人さん、おはようございます。

>記事書いてみましたのでご覧ください。

⇒拝見しました。現場官僚や職員のこと、そんな背景があったとは、との感想です。


 
 
 
TBありがとうございます (rubidus)
2007-06-04 23:59:45
てらまち様、TBありがとうございました。
時効撤廃は良いことであったと思いますが、今年、参議院選挙がなかったら、このような法案を可決したか疑問は残ります。
年金が必要な割合は、いわゆる社会的弱者というわれる人たちですが、第三者機関でそのような人の主張が通るかが今後の観点かと思います。
 
 
 
内閣の真意 (●てらまち)
2007-06-05 05:56:46
★rubidusさん、おはようございます。

>時効撤廃は良いことであったと思いますが、今年、参議院選挙がなかったら、このような法案を可決したか疑問は残ります。

⇒参院選がなければ、「無視」でしょうね。

>年金が必要な割合は、いわゆる社会的弱者というわれる人たちですが、第三者機関でそのような人の主張が通るかが今後の観点かと思います。

⇒はい、何倍にも高いハードルがあると思います。
 年明けにでも、「放棄」声明でも出すのではないかと心配しています。
 
 
 
支給漏れ (かりん)
2011-06-07 15:35:35
本人が申請していない!会社が退職者の事務処理の提出書類その届は本人の同意の必要のない脱退手当金請求書を記載する書類で誠にずさんな管理で起きた記録の問題第三者委員会に資料を提出して申し立てても請求書があると訂正を認めない。最後の一人まで救済すると言いながら権限が与えられていないと殆どの人は訂正されず再申し立てしているが2審はない不服があれば合同訴訟と言い第三者委員会は甘くないと事実の申し立てを曲げた判断する。与党も野党も知っている筈だが解決しない政治家の役目とは何か?
 
 
 
冷たい政治 (●てらまち)
2011-06-13 07:01:23
★かりんさん、こんにちは。

>与党も野党も知っている筈だが解決しない政治家の役目とは何か?

⇒冷たい政治です。
 変えたいですね。
 
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