●否決議案、異例の再審査で可決 三田市議会委
神戸 2016/12/16
兵庫県三田市議会の生活地域振興常任委員会(7人)は15日、いったん1日に否決した証明書のコンビニ交付に関する条例改正案を再審査した。表決では賛否が同数となり、委員長裁決で可決。結論が覆った。一度表決された議案が本会議までに再審査されるのは極めて異例で、一部の議員は「お粗末な委員会運営。何のための委員会なのか」と反発している。(山岸洋介)
市議会事務局によると、記録が残る1992年以降で同様の事例はなく、他の議会でも「聞いたことがない」という。
地方議会には、同じ会期中に同一案件を再び議題としない原則がある。ただ、誤った資料や説明に基づく表決や、表決後に環境が変わった場合を例外とする学説もあり、今回の事例を同事務局は「問題ない」としている。
改正案は、全国のコンビニ店で住民票の写しや印鑑登録証明書、所得・課税証明書を発行するサービスを来年2月に始めるのに伴うもの。
市役所や市民センターでは現在、1通300円の手数料で交付。コンビニ交付にはマイナンバーカードが必要で、市はカード普及を目指し、コンビニ交付の手数料を200円とする案を提出した。
案は同委員会に付託され、1日の委員会で、農村部を地盤とする委員が「コンビニがない地域は恩恵が受けられず、不公平だ」と反発。賛成2、反対4で否決された。
しかし、議会内から「市民への影響が大きく、あらためて慎重に議論すべき」と声が上がり、委員長が職権で15日に委員会を開催。再審査を求める動議が5人の賛成で成立し、議長に提出ずみの委員長報告も撤回された。
再審査では、反対派の一部委員が「『半年ごとに手数料を検証する』との付帯決議がつけば賛成する」と提案したが合意できず、原案のまま再び表決。前回反対した委員1人が賛成に回り、賛否が同数となって委員長裁決で可決された。
休憩中の折衝を含め、議論は4時間超に及んだ。賛成に態度を変えた委員は、取材に「前回は私の視野が狭かった」と述べた。再審査に批判的な議員は「委員会が形骸化する。悪しき前例とならないか心配だ」と憤った。
|