●「ニュースを斬る」/【特報】ユニクロ、パートとアルバイト1万6000人を正社員化 池田 信太朗 日野 なおみ
日経ビジネス オンライン バックナンバー2014年3月19日(水)
国内のユニクロ店舗に務めるパートタイマー、アルバイト約1万6000人を正社員として雇用する――。
カジュアル衣料チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが現在、人事施策を大転換させていることが明らかになった。ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏が、本誌取材班のインタビューで打ち明けた。
パートタイマーとアルバイト約1万6000人を正規雇用すると打ち明ける柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長(撮影:的野 弘路)
国内約850のユニクロ店舗では現在、約3万人のパートタイマーやアルバイトが勤務している。このうち、学生アルバイトなどのごく短期に務める従業員を除く、約1万6000人を正社員に転換する計画だ。
これまでにも同社には、アルバイトやパートタイマーを正規社員として登用する仕組みはあった。かつて「パートタイマー5000人を正社員化」とぶち上げたこともある。だが従来の仕組みでは、正社員に転換した場合、フルタイムで勤務することが求められた。
しかし今回の取り組みでは、子育てや介護といった多様な事情で、不規則な勤務時間でしか働けないような従業員に対しても正社員化の門戸を開き、多様な働き方を認めたままで待遇を正社員化する。既に今年3月初旬から正社員化に向けてパートタイマーやアルバイトの面談を始めており、今後2~3年の間に移行を進めていく。
日本国内では労働人口の減少が深刻な問題となっている。特に小売業や飲食店業界などでは、人材確保が喫緊の課題。そこで最近では、契約社員などの正社員化を加速させる企業が増えている。例えば、百貨店の三越伊勢丹ホールディングスやそごう・西武、GMS(総合スーパー)の西友などは、この半年で契約社員の正社員登用を拡大している。しかしその規模は、いずれも数十~数百人単位に留まる。1度に1万人以上の正社員化ともなると、日本の流通業界における労務施策の大きなターニングポイントとなることは間違いない。
今回、パートやアルバイトから正規雇用される社員は、特定の店舗や地域に勤務地が限定される「R(リージョナル=地域)社員」と位置づけられる。さらに今後は、パートやアルバイトからR社員への移行だけではなく、R社員としての新卒、中途採用も進める予定だ。
パートやアルバイトの正規雇用と併せて、既存の正社員の人事制度も刷新する。今後は、国内転勤はできるが海外転勤は望まない、もしくはその実力がない「N(ナショナル=国)社員」と、海外事業にチャレンジする意思と実力を備えた「G(グローバル=世界)社員」に分類する。N社員が8~9割に対し、G社員は1~2割となる見込みだ。
日経ビジネスでは、3月24日号特集「ユニクロ大転換 柳井正の決断」で、ファーストリテイリングが1万6000人もの正社員化に踏み切った背景と、その先に同社が実現しようとする取り組みについて全貌を明かす(日経ビジネスDigitalでは3月21日から特集全ページを掲載)。 |