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平成21年岐阜検索審査会審査事件(申立)第5,6号
申立書記載罪名 詐欺
検察官裁定罪名 同上
検察審査会認定罪名 同上
議 決 年 月 日 平成21年10月23日
議 決 の 要 旨
審査申立人
(氏名) 寺 町 知 正
同 (氏名)
同 (氏名)
被疑者(第5号)
(氏名) 横 山 善 道
同 (第6号)
(氏名) 宮 田 軍 作
不起訴処分をした検察官
(官職氏名) 岐阜地方検察庁 検察官検事 石 崎 功 二
上記被疑者らに対する詐欺被疑事件(岐阜地検平成20年検第101860,
同101861号)につき,平成21年3月31目上記検察官がした不起訴処分の当否に関し,当検察審査会は,上記申立人らの申立てにより審査を行い,次のとおり議決する。
議 決 の 趣 旨
本件不起訴処分は不当である。
議 決 の 理 由
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/73/d792086c59bc62af74a730c1d0d1a21f.jpg)
1 被疑事実の要旨
被疑者横山善道及び同宮田軍作は,平成16年4月18日に執行された岐阜県山県市議会議員選挙の候補者であるが,「山県市議会議員及び山県市長の選挙における自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例」に基づく選挙公営制度により,山県市から選挙運動用ボスター費用が支給されることを利用して,選挙運動用ポスター費用名下に金員を詐取することを企て,
(1)被疑者横山は,同月22日,山県市役所総務課において,同課職員に対し,選挙運動用ボスターの真実の請求金額が84,000円であるにもかかわらず,請求金額欄に「368,550円」等と不正に水増しした金額を記載したポスターの作成を業とするヨツハシ株式会社代表取締役四橋英児名の請求書を提出し,同職員をして,同請求書に記載の請求金額が正規の請求金額であると誤信させ,よって,同年5月13日,ヨツハシ名義の当座預金口座に368,550円を振込入金させ,もって人を欺いて財物を交付させ
(2)被疑者宮田は,ほか1名と共謀の上,同年4月27日,山県市役所総務課において,同課職員に対し,選挙運動用ポスターの真実の請求金額が106,313円であるにもかかわらず,請求金額欄に「368,550円」等と不正に水増しした金額を記載したポスターの作成を業とする淺野収司名の請求書を提出し,同職員をして,同請求書に記載の請求金額が正規の請求金額であると誤信させ,よって,同年5月13日,上記淺野収司名義の普通預金口座に368,550円を振込入金させ,もって人を欺いて財物を交付させ
たものである。
2 検察審査会の判断
本件不起訴記録,審査申立書及びその添付書類等を精査し,慎重に審査した結果,本件不起訴処分を不当とする理由は,次のとおりである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/da/256cf39a344bb5ade7d2a64d5bc6dfd2.jpg)
(1)本件犯行が当選後に行われたということは,被疑者らは,市議会議員という自治体の代表者として,本来なら,一層,襟を正して市民の付託に応える立場になったのであるから,一般市民以上に高い倫理観が求められる。従って,本件選挙ポスター公営制度の運用について,山県市側に相応の落ち度があったとしても,選挙運動に要した費用を抑えようという動機自体,市民感情から言って,山県市に対し被害弁償済みとはいっても,余りにも公金意識をみじんも感じない悪質なものとして,酌量の余地は全くないものと思われる。
(2)被疑者横山が当選した平成19年4月22日施行の岐阜県議会議員選挙は,本件ポスター水増し事件が初めて社会に周知された同年6月以降より前に施行されたものであり,また,被疑者宮田の当選は,平成20年4月に施行された山県市議会議員選挙における無投票当選であった。
従って,上記の事実からして,果たして,検察官の主張する地域住民の選挙という民主主義的プロセスを経て選任されたものにあたるとは,到底言えないものと思われる。
以上により,本件起訴猶予の裁定は,寛大にすぎると思われるので,到底納得できない。再捜査,再検討の上,被疑者らの刑事責任を厳しく追及されるよう,上記趣旨のとおり議決する。
平成21年10月23日
岐阜検察審査会
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