毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 一昨日10月15日の福岡高裁那覇支部の判決。
 沖縄・泡瀬干潟を埋め立てる事業について、経済的合理性がないと差し止める判決。
 ちょうど1年前、昨年11月の那覇地裁の判決を支持した。
   判決骨子はこのブログ最後にもリンクと添付。
 
 環境問題や公共事業、司法判断も変わりつつあることが実感できる。
    10月4日 ◆鞆(とも)の浦(広島県福山市)景観訴訟/県に埋め立ての差し止め命令

 しかも政権が交代して、民主党は前向きに対応している、というより積極的。
 だから、なお、面白い。

 流れから、泡瀬干潟埋立事業は中止になるのだろう。

 ところで、今回の高裁判決に共同通信の記事にコメントしていた弁護士の一人、「住民側の御子柴慎弁護士」は、岐阜県庁裏金事件の「裏金20年返せ」の住民訴訟で弁護団のメンバーとしてお世話になっている。岐阜の若手中堅弁護士。

(1年前の地裁判決のこと) 2008年11月20日ブログ
   ⇒ ◆沖縄・泡瀬干潟埋め立ての住民訴訟/支出差し止め命令/経済的合理性欠く/原田彰好弁護士

人気ブログランキング→→←←ワン・クリック10点
今6位、7位あたり

  市民運動団体 泡瀬干潟を守る連絡会 の美しい写真から 
日本の宝、泡瀬干潟を後の世に受け継ごう!
どこにでもある人工ビーチ(埋立地)で二流の観光地を造るよりも、
生物多様性日本一の干潟で沖縄市固有のどこにもない本物の観光地へ!


●泡瀬埋め立て訴訟:高裁も差し止め 経済合理性を否定
        毎日/琉球新報 2009年10月16日
 中城湾港泡瀬沖合埋め立て(東部海浜開発)事業をめぐり、沖縄市民ら516人が県知事と沖縄市長を相手に事業への公金支出差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が15日午後、福岡高裁那覇支部であり、河辺義典裁判長は経済的合理性を否定した1審判決を支持、事業への公金支出を違法と判断し、県と市側の主張を退けた。県と市は判決文を精査する必要があるとして、上告の判断を先送りした。同事業の中断の必要性を明言した前原誠司沖縄担当相(兼国土交通相)は判決を踏まえ「わたしが疑問を呈したことをどう市長が判断するか待ちたい」と話した。東門美津子沖縄市長の姿勢が注目される。

 判決は東門市長の「第1区域は見直し前提に推進。第2区域は見直しが必要」との方針表明により市は開発計画が根本的に見直されたと認定した。その上で公有水面埋立法に照らし、現計画に変更が生じた際には、新たな埋め立て変更の認可が必要となるが「新たな土地利用計画に経済的合理性があるか否かについてはいまだ調査、検討が全く行われていない」などと指摘し「経済的合理性があるとは認められない」とした。検討されていない以上、埋め立て免許の変更許可が得られる見込みは困難として、現在の埋め立て事業も「予算執行の裁量権を逸脱し違法」と判断した。

 ただ土地利用計画見直しに向けた調査費や人件費の支出は認めた。事業に伴う環境影響評価については1審判決通り「違法とまではいえない」とした。

◆厳しい結果
 東門美津子沖縄市長の話 厳しい結果だと理解している。判決を読んだ上で国や県と協議し、上告の期限までに方針を決めたい。後日、記者会見し、市民に伝えたい。

◆極めて残念
 仲井真弘多知事の話 県の主張が認められなかったことは極めて残念。結果は予想していなかった。(上告の是非は)弁護士と相談して判断する。

◆市長の判断待つ
 前原誠司沖縄担当相の話 判決には採算性が見込めないとある。沖縄市長にも面談で言った。控訴審の中身と私の疑問をどう市長が判断するか。待ちたい。

<用語>東部海浜開発事業 中城湾港新港地区の港湾でしゅんせつした土砂を使い、沖縄市泡瀬沖合の約187ヘクタール(第1区域約96ヘクタール、第2区域約91ヘクタール)を埋め立てて人工島を造る計画。ホテルや人工ビーチ、マリーナなどのリゾート施設や広場などを整備する。
 埋め立ては国と県、土地利用は市が行う。
 東門美津子沖縄市長は2007年12月に「1区推進、2区困難」を表明し、土地利用計画の見直しを進めている。
 前原誠司沖縄担当相は就任後「1区中断、2区中止」を表明。判決後、県、市の判断を聞き、国の対応を決める方針を示している。


●沖縄・泡瀬干潟事業中断の公算大 二審も県、市の支出認めず
       2009/10/15 14:31 【共同通信】
 沖縄県沖縄市の泡瀬干潟を埋め立てて人工島を造成、リゾート施設などを建設する事業をめぐり、同市の住民ら約510人が県と市の公金支出差し止めを求めた住民訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(河辺義典裁判長)は15日、一審那覇地裁判決に続き、埋め立て費用の支出を差し止めた。

 干潟の一部を含む約187ヘクタールを1期、2期に分けて埋め立てる事業で、現在は1期工事中。前原誠司国土交通相(沖縄北方担当相)は、判決後に国の最終的な対応を決める考えを明らかにしており、再び工事にストップをかける司法判断が示されたことで、事業は中断の公算が大きくなった。

 東門美津子市長は2007年12月、1期は見直し前提の推進、2期は推進困難との方針を発表。昨年11月の一審判決はこの発言を重視し、1期工事について「見直しの内容を何ら明らかにしないまま、進ちょく状況追認の形での事業推進にほかならない」と指摘、2期は計画撤回と解釈し、「現時点では経済的合理性を欠き、支出は地方自治法などに反し違法」と今後の支出を差し止めた。

●二審も土地利用計画を認めず 泡瀬干潟埋め立て訴訟
      2009/10/15 19:34 【共同通信】
 沖縄県沖縄市の泡瀬干潟埋め立て事業で、一審那覇地裁判決に続き、県と市の事業費支出を差し止めた福岡高裁那覇支部の河辺義典裁判長は15日、判決理由で「現時点では、市の新たな土地利用計画で経済的合理性の調査、検討はされておらず、支出は地方自治法などに反し違法」と述べた。

 住民側の御子柴慎弁護士は「当然工事は中止すべきだ」とする一方「経済的合理性のある計画を今後出してきた場合、判決の効力が及ぶか微妙だ」と話した。沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事は「事業を進めるべきだと思っていたので極めて残念」と述べ、沖縄市の東門美津子市長は「判決内容を把握した上で方針を決める」と上告の有無は明言を避けた。

 計画では1期約96ヘクタール、2期約91ヘクタールを埋め立てる予定だったが、「1期は見直しを前提に推進、2期は推進困難」とする東門市長の表明を受け、市は来年3月までに1期の新たな計画を策定するための作業を進めている。

 河辺裁判長は公有水面埋立法に基づく工事について「新たな計画に経済的合理性が認められれば、暫定的に工事を継続できる」と解釈した上で、市の計画を検討。「全容が明らかでなく、実現見込みに多くの疑問点があった従前の計画を前提にしており、経済的合理性があると直ちに推認することはできない」と判断、2期に関しては「計画を事実上白紙に戻している」と指摘した。

●沖縄・泡瀬干潟埋め立て訴訟、高裁も予算差し止め支持
      朝日 2009年10月15日20時29分
 南西諸島最大の干潟といわれる沖縄県沖縄市の泡瀬(あわせ)干潟(約265ヘクタール)で国、県、市が進めている埋め立て事業をめぐり、県内の住民約500人が、需要見込みのないリゾート開発事業で貴重な自然が失われるとして、県と市に予算の支出差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁那覇支部であった。河辺義典裁判長は「市の土地利用計画の全容が明らかでない現段階では、経済的合理性が認められない」と述べ、住民側の訴えを認めた一審・那覇地裁判決を支持し、県と市に今後の公金支出の差し止めを命じた。

 事業をめぐっては、07年12月、東門(とうもん)美津子・沖縄市長が埋め立て縮小を含めた見直しを表明。市は10年3月末までの完成を目指し、これまでの土地利用計画に代わる新たな計画を策定中だった。しかし、前原誠司沖縄担当相は採算性を疑問視しており、改めて支出を違法と判断した高裁判決により、事業継続の流れに転換が迫られそうだ。

 高裁判決はまず「経済的合理性がないまま漫然と埋め立て工事を続ければ、その公金支出は違法となる」との判断基準を示し、市が策定中の新たな計画を検証した。これまでの計画に対して実現するかどうかで批判があったのを踏まえ、「相当手堅い検証が必要」としながら、「市は新たな計画に経済的合理性があるか全く調査、検討していない」と判断。「県と市の公金支出は予算執行の裁量権の逸脱で、地方自治法などに違反する」と結論付けた。

 控訴した県と市は「事業の見直しは行政の裁量の範囲内」と反論。「市長による計画の見直し表明でただちに経済的合理性が否定されるわけではない」と主張したが、高裁判決は「埋め立て事業の全面的見直しを余儀なくされるに至った現れとみるべきだ」と退けた。ただ、工事継続に必要な埋め立て免許の変更許可を得るためにかかる調査費などの支出は適法だと判断した。

 この事業をめぐっては、前原沖縄担当相がすでに着工している1期工事(約96ヘクタール)を中断し、未着工の2期工事(約91ヘクタール)を中止する方針を表明。採算性に疑問を投げかけた。

 控訴審判決を受け、前原沖縄担当相は15日夜、都内で記者団に対し、「判決の内容を東門市長がどのように受け止めて県と相談し、国に回答するかを待ちたい。控訴審判決では、私が東門市長に申し上げた通り、採算性を見込めないと書いている」と述べた。

 一方の東門市長は「判決をしっかり読んで、県、国と相談し、庁内でも議論して方針を出したい」と述べるにとどめた。また、仲井真弘多・沖縄県知事も「県の主張が認められず極めて残念。判決を吟味し、沖縄市長、国などの関係機関と(対応を)相談したい」と話した。

●沖縄・泡瀬干潟埋め立て、二審も支出差し止め 福岡高裁支部
       日経 10.15
 南西諸島最大級の干潟である沖縄県沖縄市の泡瀬干潟を埋め立て、リゾート施設を整備する事業を巡り、住民ら約510人が県と市に公金支出差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁那覇支部であった。

 河辺義典裁判長は「事業は経済的合理性に欠け、公金支出は予算執行の裁量権を逸脱し違法」として、一審・那覇地裁判決に続き、県と市に事業費支出差し止めを命じた。

 前原誠司沖縄担当相は同事業について「1期工事は中断、2期工事は中止」との方針をいったん示し、高裁判決や地元の意向を踏まえて対応を決めるとしていた。高裁判決でも県と市の事業費支出が差し止められたことで、同事業は抜本的な見直しを迫られそうだ。

 同事業は国と県が泡瀬干潟の一部を含む約187ヘクタールを2期に分けて埋め立て、県と沖縄市が土地を購入してリゾート開発する計画で、現在1期工事が進行中。東門美津子沖縄市長は2007年12月、「1期は土地利用計画の見直しを前提に推進、2期は推進困難」と表明していた。(01:49)

●泡瀬干潟訴訟の問いかけ
        特集地軸2009年10月16日(金)付 愛媛新聞

●社説 泡瀬控訴審判決 経済振興の在り方再考を/合理性問う司法判断は重い
     2009年10月16日 琉球新報
 中城湾港泡瀬沖合埋め立て(東部海浜開発)事業に対する沖縄市の住民らが事業を進める県と市の公金支出差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決で福岡高裁那覇支部は、一審を支持し、公金支出は違法とする判決を下した。

 司法は再び、経済効果の見込めない事業の停止を求めた。合理性を問う判決を重く受け止めたい。

 昨年11月の那覇地裁の「現時点で事業は経済的合理性を欠き、支出は地方自治法などに反し違法」とした判決を踏襲するもので、費用対効果のない公共事業の執行停止をあらためて明確にした。

民意重視の計画に
 事業の経済効果を明らかにするために控訴した沖縄市と県だが、高裁支部は新たな土地利用計画は調査、検討がまったく行われていない、と疑問を呈し、現行の埋め立てにも「予算執行の裁量権を逸脱している」と指摘した。

 前原誠司沖縄担当相(兼国土交通相)は、「1期(区)中断、2期中止」を表明していた。「中断」について「中止ではない。控訴審判決を見ながら、県や沖縄市と相談して判断したい」とし、控訴審判決も考慮するとの立場だった。

 加えて「仮にペイできない事業だと判断しても、沖縄市の方々がそれでも税で負担していいとの意見が出れば、考え方も変わってくる」と民意も重視する意向を示していた。

 司法の判断は二審も同様だったが、国交相も判決を受け、住民の事業に対する意向を早急に把握し、方向性を示してもらいたい。

 事業は、中城湾港新港地区の港湾でしゅんせつした土砂を使い、国と県が沖縄市泡瀬沖合の約187ヘクタール(第1区域約96ヘクタール、第2区域約91ヘクタール)を埋め立てて人工島を造る計画だ。

 沖縄市の計画を基に1988年に策定された事業は、当初陸続きで340ヘクタールを埋め立てる計画だった。地元の意向もあり、95年には沖合150メートルの出島方式となり、規模も縮小された。

 国を挙げて浮かれたバブル経済さなかの計画は、その後、空虚感が重くのしかかった経済環境と、国の財政悪化も伴い規模縮小や棚上げといった紆余(うよ)曲折もあった。

 東門美津子沖縄市長が主張してきた「市の西側は米軍基地があり、発展の場は海にしかない」との訴えは、基地の重圧を受ける自治体の悩みとして理解はできる。だが、費用対効果が認められる事業の推進が重要だ。

 東門市長は、2007年暮れに「第1区域は土地利用計画の見直しを前提に推進、第2区域は推進困難」と表明した。今年4月に市民による見直し部会、5月に専門家などでつくる検討調査委員会を設置し、土地利用計画の見直し作業を進めている。年度内の新たな土地利用計画を策定する。

環境生かすまちづくりを
 開発は、まちづくりに有効とされる手法だ。だが、恵まれた自然を残すことも、訪れる人たちの心を和ませ、まちづくりの新たな可能性を見いだすことができよう。

 韓国ソウルの清渓川(チョンゲチョン)は、環境の視点で注目された復元事業だ。朝鮮王朝時代から存在し、大雨ではんらんし、ひどい汚染で埋め立てが計画され、1976年には河川に蓋(ふた)をかぶせるように高架道路が完成した。

 道路の安全性と大気汚染、騒音公害の解消から環境に優しい都市を目指し、都心のオアシスとして復元された。交通中心から、人間中心の都市に生まれ変わるソウルの努力は、ブランド価値まで高める契機となった。

 政権交代した鳩山内閣は、費用対効果を得られない事業は認めない方針だ。民主党が総選挙で主張してきた無駄な事業の根絶として、政府は群馬県の八ツ場(やんば)ダム、熊本県の川辺川ダムの中止を矢継ぎ早に打ち出している。政府は、沖縄だけを聖域化するわけにもいくまい。東門市長の主張する米軍基地による他県にない特殊事業があってもだろう。

 まちづくりの視点も広げたい。東門市長は、市の西側にある極東最大の米空軍嘉手納基地の縮小を求め、その中で経済振興の転換を図る新たな計画を模索することも必要ではないか。

 泡瀬干潟は希少生物が生息し、琉球列島では最大級の干潟とされる。環境を軽視できない時代だ。大規模開発による「経済効果」でなく、「環境保全」によるまちづくりへの見直しを進めてもらいたい。

判決骨子
  平成20年11月19日判決言渡
平成17年(行ウ)第7号(甲事件),同第8号(乙事件)泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求事件
判決骨子
第1差止め請求(甲事件,乙事件)について

1甲事件(被告県知事)の差止請求のうち,口頭弁論終結日までに終了した財務会計行為に係る部分は,不適法として却下する。

2乙事件(被告市長)の差止請求に関し,差止請求の要件である,財務会計行為がされることが相当の確実さをもって予測される場合に当たるか否かについては,本件埋立事業の進捗状況や}被告県知事と被告市長との間の協定の存在,被告市長(現沖縄市長)が平成19年12月にした方針表明も,第1区域について,見直しの具体的な検討結果を提示することなく,本件埋立事業の進捗状況に照らして推進せざるを得ないとしていることなどに照らせば,被告市長が本件海浜開発事業に係る公金の支出等の財務会計行為を行うことが相当の確実さをもって予測される。

3現時点においては,第1区域について具体的な土地利用計画は何ら定まっておらず,また,第Ⅱ区域についても見直す(計画を撤回する)というものであり,沖縄市が行う本件海浜開発事業は経済的合理性を欠く。
また,沖縄県が行う本件埋立事業についても,本件埋立事業等の中心目的が泡瀬地区にマリーナ・リゾートを建設しようとの沖縄市の施策実現にあることからすれば,本件海浜開発事業が経済的合理性を欠く以上,本件埋立事業の経済的合理性を認めることはできない。

4以上から,各差止請求は理由がある(ただし,公金支出の前提となる契約の締結等の支出負担行為が存在し,本判決確定時までに支払義務が生じるものを除く。)。

第2損害賠償請求(甲事件)について
1前沖縄県知事稲嶺惠-に対する損害賠償請求の義務付けの請求は,監査請求期間徒過により不適法となる部分を除き,その対象となる本件支出負担行為等が地方自治法2条14項や地方財政法4条1項に違反するものとはいえず,また,本件埋立免許及び承認が公有水面埋立法4条1項1号ないし3号に違反するものということもできないから,違法ということはできず,理由がない。

2国に対する損害賠償請求の義務付けの請求は,本件環境影響評価は違法といえず,本件埋立免許及び承認も違法といえないから,国の損害賠償義務は認められず,理由がない。



コメント ( 0 ) | Trackback ( )



« ◆いまだに裏金... ◆Googleストリ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。